ネコは猫
ー契約完了ー
その言葉通りその日から猫がリリアナと毎日一緒にいた。
猫の言う通り国王も徐々に回復し、まだベッドから起き上がれないものの、普通に会話できる状態までになった
「その後、救世主様の様子はどうだ?」
「特に変わりはありません。毎日日向ぼっこしたり、蝶々を追いかけたり、木で爪とぎをしたり...お父様、こんなことを言うのは失礼だと承知で申し上げますが、やはり救世主の儀は失敗してしまったのではないでしょうか?」
リリアナは申し訳なさそうに言った。
でも、現状を見れば誰もがそう思うであろう。
国王が王国を救うべく命を賭した儀で召喚されたのは、猫。
確かに喋る猫というのは、大変珍しいがただそれだけである。
しかも、契約完了と言っておきながら特に何かが変わった訳ではない。
しかも、国王の部屋には絶対に入らないと決めているらしく、その理由は
「息が臭いから」
で、ある。
理由が理由なだけに、国王には救世主が国王の見舞いに来ないことを聞かれても、なんだかんだではぐらかし続けてる状態だ。
本当に自由な猫である。
いや、猫だから自由なのか?
そんなことを考えつつ、国王の部屋を後にし、猫がいつもいる庭に向かった。
「リリー!遅かったにゃん!ネコはリリのことをずーっと待ってたのにひどいにゃん!!お詫びに早く抱っこしてなでなでするべきにゃ!」
「はいはい...もぉー、ほんとーに自由なんだから。」
リリアナを見つけた猫はダッシュで走ってきておねだりをしてきた。
まさに、猫まっしぐら。
「そういえば、あなたの名前きいてなかったわね?名前はなんと言うの?」
猫は不思議そうな顔をして、
「ネコはネコだにゃ?ネコはネコ以外のなんでもないにゃ!」
?????
「つまり、あなたの名前はネコ。そして、姿も猫。...うん。単純で覚えやすいね(笑)」
そういうと、ネコは何だか嬉しそうにリリアナに擦り寄った
最近はバタバタする時間が多かったせいか、なんだかネコを見ているとすごく癒される
リリアナにとってネコと一緒にいる時間はとても心地よかった
ふと、リリアナは思い出したかのようにネコに聞いてみた
「ネコは、本当に救世主なの?そんな小さい体で世界が救えるなんて思えないんだけど...」
どうせ、
「そんなのネコに聞かれてもわかんないにゃー」とか言われるのだろうと思っていた。
それがわかってて聞いたはずだったのに
「ネコは救世主だにゃ!体の大きい小さいなんて関係ないにゃ!ネコはとーっても強いのにゃ!ネコの猫パンチは岩を砕くこともできるし、必殺技だってちゃーんとあるのにゃ!でも...リリは大っきい体の方が好きなのかにゃ??」
「ま、まぁこんな小さな体のネコも好きだけど、大っきい体のネコだったら一目で救世主ってことがわかって魔王も逃げ出すかなーって、そんなこと思っただけよ(笑)
ごめんなさいね!変なこと言ってしまって、今のはなしよ!小さい体のネコ、とっても可愛いから私は好きよ」
そうリリアナがネコに笑いかけたとき、そこにはネコはいなかった。
「え?ネコ??どこいってしまったの?ネコーー?」
すると、
たぷんっと柔らかいものが背中に当たった。
そして、背中から抱きしめられた。
リリアナがその腕の中から逃げて、振り返ると
そこには知らない少女がいた