そこには猫がいた。
翌日。
リリアナは昨日のことを思い出していた
ー救済の儀ー
父にもしものことがあったら...
そんな不安で昨晩はなかなか寝付けなかった
「もしも、お父様がいなくなってしまったら、私がこの国を守っていかなければいけないのよね...」
リリアナは王国のために今日までたくさん勉強はしてきた
でも、まだまだ国王のレベルになるまでには全く達してないと自分でもわかっていた
「なのに...」
不安ばかりがリリアナを包み込む
コンコン、
「リリアナ様。国王が昨日の件を行うので地下にくるようにとのことです。」
ドア越しにそんな声が聞こえた
パンパンッ!
「ダメダメダメ!お父様が決心なさったことなのに私が不安になってどうするの!今は私に出来ることを精一杯やるだけ!やるのよ!リリアナ!」
自ら頬を叩き、リリアナも決心をした
「さぁ!救世主様にこの世界を救ってもらおうじゃないの!」
国王は地下の部屋の中にいた。
「待ってたよ。リリアナ。」
父がもってきたであろう、蝋燭を除いては光はなく誰も手入れをしていなかったため、埃っぽかった
まるで、忘れ去られた倉庫の中のようだったがそれと違うのは床に魔法陣が描かれていたことだった
「リリアナ。今日まで私と一緒にいてくれてありがとう、お前からはたくさんの幸せを貰ったよ...さぁ、今度はお前が幸せになる番だ。そして、その幸せを我が国民と一緒に分かち合いなさい。きっと、みんなお前を助けてくれるから。ユヅルナ王国を、民を頼むぞ。」
国王は笑顔でそういった
あぁ、これがお父様の最後の笑顔かもしれない
そう思うと、すごく泣きたくなったけど
リリアナは「はい!お父様!」と笑顔で返した
お父様が最後に見る私も笑顔であって欲しかったから
「では、儀式に入る」
リリアナは父から頼まれた通り父の隣で祈りを捧げた
たくさんの国民の笑顔、お父様の笑顔
そして、それらを全て守りたいと必死に祈った
国王が呪文のような言葉を唱えると魔法陣が光りはじめた
それと同時に国王は呪文を唱えるごとに苦しそうな声になっていく
リリアナは必死の心で泣くことを耐えた
そして
パァァァン!!!!!
光が一気に弾けたような音がした後、隣にいた国王が倒れた音がした
そこでようやく、リリアナは目を開き国王の元へ駆け寄った
「お父様!お父様!お父様ー!」
国王はピクリとも動かない
あぁ、お父様は使命を果たされたのだ
そんな乾いた気持ちがリリアナの心にあった
「にゃぁん」
リリアナは国王を抱き締めてただただ静かに涙を零していた
「にゃぁーん、にゃぁーん」
(お父様、大好きでした。花嫁姿みせられなくてごめんなさい。)
「にゃん、ゴロゴロゴロ」
(そういえば、お父様猫が好きだって言ってたなぁ。
私がウサギのほうが良いって言って、結局猫を飼うことを諦めてたっけ...猫飼えばよかった...)
「にゃーにゃー?この人お昼寝中かにゃ?お昼寝するなら、もっとポカポカしたところでする方が最高だにゃー」
「お昼寝じゃないのよ...お父様はもう...!?」
(待って待って待って待って
私今誰かと話してなかった?
この部屋には私と国王しかいないはずよね?
そして、国王は私のそばに横たわってて
あれあれあれー??
私あまりのショックにおかしくなっちゃったのかしら?)
「にゃー。ここは埃っぽくてやだにゃー。」
!?
(また、声が聞こえた!今度は幻聴とかじゃない!)
サッと、声がした方を見れば
そこには、猫がいた。