第二章 魂喰 3
「ねえ、お姉ちゃん! 早く行こうよ!」
「ふふ、もうちょっと待っててね。そろそろ昭三おじさんが車で迎えに来る頃だから」
そわそわとリュックを持って騒ぐ恒星くんも可愛らしい。私はその無邪気な姿に微笑みを浮かべる。
「海の家って大きいのかな~。お姉ちゃんは行った事がある?」
「う~ん。行った事は有るけど、私も小さい頃だったから、忘れちゃったわ」
坪面積は30坪。スタッフは五人、恒星くんが怖がらない様にスタッフは全員、特殊な訓練を受けていて、人を安心させる所作をマスターしている。
「楽しみだね~昭三おじさん。早く来ないかな~」
「ええ、そうね」
『ピリリリリリリ』
「あら、そんな事を言っていたら、もう着いたみたいよ」
私はバックから携帯電話を取り出した。
『俺だ、着いたぞ……まあ知っているだろうがな』
「あら、おはようございます昭三さん」
『何だその話方は……ああ、恒星が居るのか。相変わらず猫かぶりが激しいな』
「ふふふ、昭三さん、冗談ばかり。今から恒星くんと一緒に行きますね」
私は電話を切って恒星くんの小さく柔らかい手を握る。
「それじゃあ行きましょうか?」
「うん。行こうお姉ちゃん!」




