8話 訓練
遅れました。すいません。
「ふぁー」
私は、朝方裸で目がさめた。隣には、まだ寝ている裸の優也がいる。
夢じゃなかったんだ。
私は、異世界に召喚された。あり得ないと思うけど不安も絶望もなかった。
理由は、優也が居たから。優也が居れば不安も絶望もない。だから、夢じ
ゃなかったと思うのは別のこと。
思い出すのは、つい3時頃までやっていた男女のあれこれ。
とにかくすごかった。途中で見つけた:称号・夜の王:の効果がなかったら気絶
して魔法を維持出来なかったかもしれない。
優也の頭をおもむろに撫でる。ゆっくりと。
なでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなで
ああ、かわいい。ちょーかわいい。ずっとなでなでしたい。
けど、もう起こさないと。
「優也起きて」
・・・・・・◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇・・・・・・
時は変わって朝と昼の間ぐらい。
私達は訓練場にいた。
「さあ、お前ら訓練をを始める!」
騎士団長のガーバルさんの声が響く。実は、この人平民で実力だけで騎士団長に上り詰めたすごい人だ。
周りには、王様やクラリスさん、あとは、騎士団の人達がいる。
朝食の時通達され数名が不満を漏らしたが丁寧に命のためと説得されたら閉口せ
ざるおえなかったみたい。
...ちなみに、王様とクラリスさんはそれを聞いて素早く執務を終わらせて見に
来た。優也が「王族、フットワーク軽過ぎない?」と言っていたけど本当にそう
思う。
「では、今からお前らの事を知りたい。まず、体力からだから10Km走をして
してもらいたい。二分間準備体操したら始めるぞ!」
「あのーちょっといいですか?」
優也がガーバルさんに問いかけていた。
何だろう、とても名案が浮かんだような顔、端から見たらとっても悪い顔してい
る。こっちを見て、頼むぜ!みたいな顔をされた。心配だ。
「俺と香里は、武術の経験があって体力もあるから訓練は必要無い。けど、ガー
バルさんなら分かると思うが王様達は別だ。だから、何か、課題を出してくれま
せんか?それをクリアしたら自由時間をください」
ガーバルさんを除くその場の全員が呆気にとられるなか優也の考えが分かった
私は、ナイス!と思った。
「おい!なに生意気言ってやがる」
騎士の一人が怒声を浴びせてくる。
それは、善意でだと思うが今は邪魔だ。私は、優也の目配せでやることを
理解して、この場の王様、クラリスさん、を除く全員に気配操作で自分の気配
を周りに魔力を込めて放った。
ちなみに、私と優也は昨日の内に魔力を属性に変換する事こそ出来なかったが
魔力の放出だけは出来るようになってこれは、防音魔法のおかげだ。
「「「「「ひっ」」」」」
クラスメイトは腰を抜かして、騎士の殆どは震えている。無事なのはガーバル
さんと数名だ。
《技能・威圧を手に入れました》
あれ?
昨日も思ったけど称号の効果だけで技能がこんなに早く習得出来る訳が無いよ
ね。どうしてだろう?
優也がこっちを見てきた。優也も習得出来たんだろうな。頷いておく。
「はっははははは、良いだろう。元々、うちの騎士団の奴と戦わせるつもりだ
ったが少し軽く見ていた、すまん俺が相手になろう。おい!お前ら用意しろ!」
ガーバルさんの大声を浴びた騎士達は、我に返って特に反論もする事無くクラ
スメイトや王様達を優也と香里の側から離していく。
「武器は、そこにある中から選べ。勿論刃は潰してあるぞ。ハンデとして2対1
でいいからな。ああ、俺のステータスは平均2000な」
はぁ!?私と優也は、割と高いステータスに目を丸くした。
どう考えてもそこらの騎士と練度が違いすぎるからだ。
...まあ 私のお父さんや優也のお父さんだったら軽く4000ぐらいは到達して
そうだけど。
「あの、一回だけ水とか火とかの魔法を見せてもらえませんか」
私は、ガーバルさんに魔法を見せてもらうことにした。
自由時間に魔法の練習をするつもりだし今の戦いでも使いたいしね。
「いいぞ、使えるかどうかは知らんがな。ただ、言っておくが俺は肉弾戦が得意
で魔法は期待すんなよ 『我、願うは燃え盛る炎の球〈火球〉』ほれっ」
ゴウッ
ガーバルさんの手のひらから魔力をたいして込めていないのだろう拳ぐらいの火
の球が出現した。みんなが、おおぉと言っている。
一応補助系魔法以外の魔法のやり方が解った。まだ、私でも時空魔法は無理だろ
うけど優也にも伝えておく。
「ありがとうございました。あと私は、弓と短剣にしますね」
「俺からもありがとう。俺は、この剣かな」
魔法のお礼を言って到底小太刀や刀とは言えない武器を選ぶ。
そして、ガーバルさんに短剣と刀を簡単に小太刀と刀の形状に切ってもらう。
「かなり技術のいる剣だな、それ」
「ええ、ですが慣れると最高ですよ。では、お願いします」
私と優也は、ガーバルさんの近くから離れて訓練場の端まで行く。
「では、今からガーバル騎士団長対柊さん神薙伎さんの試合を始めます。始め」
何故か、クラリスさんが審判を行っているがまあいいか。
まずは、いつも通り優也が敵と対峙している間に弓矢で急所を狙う。
弾かれた。
ちっ、なら今度は魔法を使うか。
香里は、軽くみているが弓矢を弾くだけでもキツく結構ガーバルは開始早々精神
的に辛かった。
おっ、おいおいなんだよこいつら!?
こいつの剣術は俺以上だし変則的で読めねー。それに、なんだよこのいやらしい
矢の狙い所は。
ステータスの差でなんとか避けてるけどこれ、1000越えのステータスじゃね
えか。
実は、神之愛の相思相愛の能力を使っていて1000は越えていた。
てっ、なんだあの魔法は!?
「ふぅー、『我は願う。蒼炎なる炎球の嵐、燃えよ焼けよ爆ぜろよ炎球、彼の身
を滅し、この地に炎の静寂を〈火球〉複数展開』」
魔力がごそっと減った感じがしたが優也が止めてくれたおかげで火の球が放てた。
優也が火球が放ったの確認して後ろに下がったのを見ながら私は、優也の間をぬ
って火球をガーバルさんに叩き込む。
《技能・火魔法を手に入れました》
《技能・詠唱破棄を手に入れました》
《技能・複数展開を手に入れました》
なんか手に入れた。優也に報告しとこ。
「優也、技能の詠唱破棄と複数展開ってやつを手に入れたよ」
「なんだそれ?名前のまんまなのか?」
「そうみたい、詠唱破棄が詠唱破棄の威力低下と魔力の必要量増加を抑える技能
で、複数展開がまんま魔法の複数展開の演算補助だって」
周りの人達が唖然としている。
どうしてだろう。
「おーいてて。容赦ねーな神薙伎さん。で、その技能の話は本当か」
「はい、そうですが...多分優也もすぐ手に入れますよ。ほら」
私が、みんなを優也の方に促すと優也が魔法を発動させようとしていた。
「『我は願う。水の球なんかいろいろやりまくれ〈水球〉複数展開』」
「ねっ」
何故か、さっき以上に唖然としていてる。
「はぁー。やめだやめ。その技能はこの国の宮廷魔法使いも持って無いんだぞ。
それに、どうせこのままやったら俺は負けるしな。今回はお前達の勝ちでいい。
今度ステータスが同じぐらいになったら1対1でやろうぜ。」
こうして私と優也は自由時間を獲得したのであった。
ちなみにこの後、バカが数名居たそうだがガーバルさんに叩き伏せられて私達
の自由時間中にクラスメイト達共々扱かれまくり午後予定の勉強は出来なかっ
たそうだ。
ーーー続くーーー