特訓篇2ーー巨岩操る村一番
遅くなってしまいました(一週間遅れとか信じられん…)
言い訳は後書きにて
タロウ兄ぃ。
彼は村の子供衆の最年長である。
文句を言いつつも、いつも後ろで見守ってくれている存在。
かといって遊び惚けている訳でなく、二日に一度は木こりである父と共に森へ潜る。
そんな出来る男タロウ。であるが・・・
そんなタロウ兄ぃにも、やはり大きな課題がある。
「タロウ…兄ぃ…だったか?君はまず、能力の発現速度を上げる特訓から始めるべきだね」
何度目かの組み手のあと、リリオさんは徐にそう言った。
「君の能力は使い方と応用次第では、かなり化ける類のそれだ。だが、だからこそ今のままでは容易に崩される」
タロウ兄ぃの能力は、周囲の岩や石を人の形に組み上げる、という一連の作業を要する。
それはただ火の玉を灯すゴンタとは違い、複雑かつ時間の掛かるためにスキが大きい。
如何に強力なゴーレムを作ったところで、その間にタロウ兄ぃ本人を狙われては意味が無い。
「けど発現速度、なんて運命値の上昇以外で速くなるモノなんですかね?」
だがタロウ兄ぃの疑問も最もだと思う。
運命値とはそもそも、その人の『強さ』の序列の様なモノで、運命値が低ければ当然、能力の速さや威力も劣ってくるのでは?
首を傾げ、納得いかない僕らにリリオさんは。
「はぁ・・・・・ゴンタくんにも言った気がするが、威力が無いなら無理矢理に圧縮して濃くすればいい」
詰まるところそれと同じだ、と呆れた様に言う。
「遅いならば時間の掛かる部分を削るなり、方法はいくらでもある」
そのための特訓であり、自分で加えた改良の欠点を、リリオさんとの組み手のなかで見つけることで、次の段階へ進む。
「・・・つまり、能力の発現を僕は無意識に制限している。という解釈でいいのかな?」
リリオさんの説明を、珍しく真剣な顔で聞いていたタロウ兄ぃは、何やら納得のいった顔で頷く。
「そう言うことだな。特に君の能力は応用性を意識すれば、格段に進歩するだろう」
リリオさんも、理解が早いな、と嬉しそうである。
「・・・ごめんタロウ兄ぃ、解説を。リリオさんでも可」
不意に理解不能になったタロウ兄ぃ。
その突然の飛躍について行けない僕らを代表して、見学していたユウタがおずおずと手を上げる。
「要するに、僕の今のゴーレムには、省けるところがたくさんある。ってこと・・・であってますよね」
クルッと振り返ってリリオさんに確認しなければ、凄くカッコ良かったですよ、タロウ兄ぃ。
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と、言うわけでゴーレムの簡易化に挑戦するタロウ兄ぃだったが・・・・
パーツを減らそうとして、
「あ、歩けない・・だと」
動いた拍子にバランスを崩したり。
速さを追求し過ぎて、
「ヤッター、自己記録更新!!・・・グジャ」
簡単に崩れて生き埋めになったり。
常時ゴーレムを発動させっぱなしにして、
「ごめんよ、かーちゃん」
家を壊しかけて怒られたり。
見ていて哀れなくらいの惨敗っぷりだった。
だから、何となくふと感じた疑問を口に出してみる。
「・・・何で人型にこだわるんだろ?」
そんな僕の、何気ない独り言が引き金となり。
「なるほど・・こんなのはどうだ!!」
それは、いい感じに砕けてた岩を組み合わせた、巨大で禍々しいフォルムを余すことなく見せつけていた。
「アホだ・・・タロウ兄ぃ、あんたはアホだ」
デーンと村外れに姿を表す巨大なマキマキウ○コ。
「テヘっ。トイレに行きたかったんだぜ」
何より彼は、村一番の大アホである。
言い訳
学生特有の青春への憧れをこじらせてました。
・・・バカな理由で、本当にすいません
しかも久しぶりに投稿したらオチは下ネタとか……
取り敢えず平常運転再開と言うことで、これからも(生温かく)見て行ってくれれば幸いです