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入学式

4月8日、午前8時00分



自分が違う自分になってから一週間が経った。


一週間である程度今の自分について調べた。


*


名前は平井都ヒライミヤコ


2月27日生まれの15歳


高校一年生


親と妹がいるが今年から通う高校が実家から遠いことで現在一人暮らしを始めたらしい。


掃除はしているようで部屋はキレイに整頓されているが、料理はしないのか出来ない模様。冷蔵庫の中にあまり使われていない調味料と飲み物があるだけだったのには驚いた。

ゴミを見る限り普段は菓子パンやラーメンやレトルトカレー、スパゲティを食べるか外食のようだ。


趣味は調べた範囲では分からなかった。

特に本が一杯あるわけでもなく、楽器やスポーツ用品も全然持っていない。

衣服は女性にしては少なすぎるほどだったし、写真も賞状やトロフィーなど実績を表すものもない。

ゲームもなく普段何をしているのか全く分からなかった。

パソコンを調べても何も出なかった。

はっきりいって異常なレベルである。


それと、平井都はどうやら忘れっぽい人間だったのか、机の中にパスワード張なるものがあった。

中にはパソコンのIDとパスワードや携帯のロック解除のナンバーやらが大量に記述されていた。

通帳のものまであったのを見てさすがに馬鹿じゃなかろうかと思ったが生活費を下ろすことが出来るのは正直ありがたい。


女の子にしては無骨な黒い携帯電話のメモリには家族と仕事と名前の欄に書かれた人間の連絡先しかなかった。


高校から携帯電話を買ったのだろうか?


昔から持っててこのアドレスの少なさだとしたらかなり普通ではない女の子だが……


仕事と書かれた連絡先があるということはアルバイトのようなことでもやっていたのだろうか?


そう思って一度電話をしてみたが繋がらなかった。


*


調べた結果余計分からなくなった気がする。



「っと、そろそろ家出ないと拙いな」



壁に掛けられた時計を見て立ち上がる。


今日から学校が始まるらしい

学校の場所自宅からの通学路は調べてある。

徒歩で所要時間は15分、自転車だと5分で通学が可能だが自転車を持っていないので歩かなくてはいけない。


多少恥じらいを覚えながらもパジャマを脱いでキャミソール、ブラウスと着てネクタイを結ぶ。

ネクタイの他にリボンもあったが元の自分で慣れているネクタイを選んだ。

仕方ないんだと自分に言い聞かせながら赤と黒のチェックのスカートを穿き、ブレザーを着る。

ブラウスやブレザーのボタンが男性用のものと逆で多少手間取ったが着替え終わった。


玄関にある鏡でおかしな所がないか確認し家を出た。




















「ん~どうしよ……」


自分がどこのクラスなのかを調べたいのだが掲示板の前には大量の人、人、人。

もっと早く来るべきだったと思う。


背伸びしても跳んでみても前にいる人の頭しか見えない。


今の自分がいかに小さいかを思い知った。


「困った」


人が減るのを待ってから自分のクラスを探し始めたのでは時間に遅れてしまう。


チャイムの鳴る5分前だというのに掲示板の前には相変わらず人垣がある。


強引に入っていくしかないかと思っていると肩を叩かれた。


振り返ると髪を後ろで縛った――俗に言うポニーテールの女の子――が立っていた。



「えっと、違ってたらごめんね。

 クラス割り見えなくて困ってるんじゃないかと思って声掛けたんだ」



これ見なよと言って彼女は赤い携帯電話をこちらに差し出した。


受け取って画面を見るとどうやら張られているクラス割りの紙を携帯のカメラで取ってくれたらしい。



「あ、ありがとうございます」



頭を下げて携帯を操作して写真を変えて自分の名前を探す。



「あ、ありました」



1年5組、出席番号(男女混合)27番のところに自分の名前があった。


携帯を彼女に返し、もう一度感謝をする。



「そんな感謝してくれなくていいよ。

 私、蕪木京カブラギミヤコ1年5組」



「平井都です。

 私も1年5組です。よろしくお願いします」



これが自分と蕪木京との出会いだった。

高校一年で始業式前なのになんで生徒手帳持ってんだと書いてから思った。

きっと春休みの間に定期購入のために学校側が送ってくれたのだと思います。


苦しいね。


誤字脱字、質問などありましたら気軽にどうぞ

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