第7話
おとといに投稿したはずなのに……
「――やけに騒がしいな?」
戦士ギルドが入っている酒場に行くと、レイアが言った。
「どうせ喧嘩だろ?酒場はもめ事が多いからな」
「※%×♂&!」
ランサムが言うと同時に、聞き取れないような怒声が聞こえた。
勇者一行がそちらを見ると、凛とした軽装の女性に、激昂した柄の悪い鎧の男が突っかかってるのが見えた。
「品の無い男だな」
ランサムが呆れたように言うと、
「心配ですね」
アークがいたわるように言った。
「あの女、サーベル持ってるとはいえ軽装だからな」
ランサムが同意するように言うと、
「……いえ、あの男がです」
アークが意味不明なことを言った。
「どういうことだ?」
ランサムがわけが分からないといった風に言うと、次の瞬間に男はサーベルで袈裟懸けに斬られていた。
「――――は?」
酒場の空気が凍った。
「心配するな、死にはしない」
そこへ、冷たい声が響いた。
真っ先に我に返ったのはランサムだった。
「おい!何やってんだ!?」
女性に問いかける、
「捕縛しようとして抵抗されたから斬っただけだ。今兵士に連れていかせる」
さも当然のように女性は答えた。
ランサムは思った、「いくらなんでもやり過ぎだ」――ちなみにランサムは、今年に入って半年で40人ほどに重症を負わせている……どっちもどっちである。
それを知っているセレナは、
「あ、あの。ランサムさんもあまり変わらないんじゃ……」
がんばった。
「貴様も騎士か?…………あっ!?勇者殿!」
それを聞いた女性が、ランサムの職業を勘違いしつつ、勇者に気づいた。
「久しぶりだな。仕事、はかどってるか?」
勇者がそれに返す。
「知り合いか?」
ランサムが小声でアークに聞いた。
「ええ、もう一人とは彼女のことです」
アークは女性を見ながら答えた。
「アークとセレナは分かりますが、そいつは誰ですか?――もしかして仲間ですか?」
すると女性がランサムを見ながら勇者に聞いた。
「ああ、緊急で入ったんだ。不満か?」
それに勇者が答えた。
「いえ…………しかし、試させてもらいます」
彼女がそう言い、いきおい良く踏み込んだ時には、予想していたかのように勇者一行はランサムから離れていた。
「は?」
そして、ランサムが声を出した時には5メートル程距離を詰め、ランサムをサーベルで斬った。
「うおっ!?」
しかしそれはランサムの一つ覚えの肉体強化で硬くなった皮膚を、ガリガリとした音を立てながら引っ掻いたたけだった。
「肉体強化か」
それに女性は苦虫を噛み潰したような表情をした。「何すんだ!」
ランサムは問いかけた。
「言った筈だ!試させてもらうと!」
きつく女性がいった。そして刀身が赤くなる。
それにしても勇者と話しているときと言葉遣いが違いすぎる。
「げっ!?炎かよ!」
ランサムの表情が引き吊る。
なぜなら、火属性は近接戦闘に特化した属性だからである。
女性がサーベルでランサムの首の位置を外側から薙ぐ。それをランサムはしゃがみ、右アッパーを繰り出す。
しかし、それを女性はそのままの勢いで、左の後ろ回し蹴りでわき腹を狙う。ランサムは腰をひねり、アッパーしている右手で止める。
「くそっ……結構速いな」
ランサムが悪態つき、体勢を崩させるために足を払いにいくと、
「――火傷するぞ」
女性がそう呟くと、体を赤い魔力がぼんやりと覆い、たランサムのズボンが燃えた。
「うおっ!?」
急いで身を引き、ズボンの火を消そうとすると、
「目は硬くないだろう?」
目の前まで赤いサーベルの切っ先が迫り、ランサムの右目に吸い込まれるように進んだ。