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第39話

約一ヶ月の間を空けてしまい、申し訳ない。震災の影響を受ける地域ではなかったので、そのせいで遅れたというわけでもありませんので、ただ単に書けなかっただけになります。

 今回は短めです。


 目が覚めると陽が真上に昇っていた。

 縁にもたれる体勢で寝ていたので、背筋が固まっていた。辺りを見回すと、横に爆睡中のレイアが寝転がっている。リリアナたちの姿が見えないが、船室にでもいるのだろう。

「眩しいな……」

 頭上高くにある太陽は、陸地にいる時よりもいっそう鋭い光を放っているように感じる。

 この天気だ、さぞかし光属性は増幅するんだろうな……嫌になる。海ということは水も、遮蔽物がなくて潮風も強いから風も増幅するか。火は空気が湿気ってるから減衰。この日差しで闇は減衰、何もないといいが……

「おい、ランサム」

 ふと、寝ているはずのレイアから声がかかった。

「何だ?」

「飯」

 わけが分からない。何が言いたいんだ?

「食いに行くぞ」

 そう言うと、寝起きとは思えない動きで船室へと歩き出した。

 こいつの行動は分からない。いきなり何かするのが性格か?

「仕方ないな……」

 まあ、離れるなと言われたんだ、付いていこう。



 船内へ入ると、レイアは迷うことなく歩き続けた。食堂へ行くのだろうが、この船に乗ったことがあるのだろうか?それとも匂いをたどったか?

 勝手な推測を立てていると、いきなりレイアが立ち止まり、ぶつかりそうになる。

「どうした?」

 また突拍子もない…………リリアナたちはいつも一緒に行動してるんだろうから馴れてそうだが、俺は馴れれそうにないな。


「なあ、ランサム。腕、本当に大丈夫か?」

「何だよ急に?」

 いきなり心配されると気味が悪い…………なにかと裏がありそうと疑うのは、一般的には嫌な人間なんだろうな。

「王都でも腕をなくしたやつは見たことあるが、ここまで今まで通りに動けるやつは見たことない。変わるんだろ?バランスとかいろいろ………………あ、別におかしいとかそういうんじゃないからな!」

 後半は慌てたように言うと、レイアは黙ってしまった。

 前半だけ聞いて、デリカシーが無いのかと思ったのは悪くないよな?それにしても、後半の焦り様が面白かった。

 しかし、バランスか。そういえばなんともないな…………言われてみれば確かにおかしい。

「──バランスなら問題ないな。なんというか……あれだ、馴れた」

 適当に言っておこう。考えたら長くなりそうだし、何より無難だ。

「馴れた!?」

 まるで、ガラスでも割ったような大きな声でレイアが言った。

 レイアはあり得ないといった様子だな。当然だ、そんなにすぐ馴れるのはあり得ないよな。……まあ、馴れるより、気付かない方があり得ないけどな。

「ああ、普段から跳び回ってただろ?その成果だ。王都でいたといっても、軽業ができない鎧を着こんだ兵士だろ?少なくとも、そいつらよりはバランス取れる自信がある」

「…………そうなのか?」

 レイアは訝しげに小首を傾げた。

「そうとも」

 なるべく自信を含ませるようにする。

 これなら押しきれそうだな。

「ん……ならいいけどよ。何かあったら言えよ?」

 レイアは顎を人差し指で二度かいた。

「ああ、分かった。俺も質問するぞ?」

 いい加減にワイバーンのことを聞かないと、このままだと絶対忘れる。

「ワイバーンは群で動き、危険を察すれば広範囲に散った仲間を呼ぶ。なのに、なぜあの時は来なかったんだ?」

 それを実際に見たことはない。しかし、話によるとあの強さが集まるので、過去に街が滅んだこともあるらしい。

「ああ、あれか。ワイバーンは一定の年齢を越えないと、仲間を呼んでも来ないんだ。あ!確か、図鑑が…………」

 レイアは思い出したように言うと、鞄をまさぐり始めた。

 初耳だ。成人って概念がモンスターにもあるってことか?

「──ああ、これだな。ほらっ、貸してやる。絶対返せよ」

 鞄から茶色いカバーの厚い本を取り出すと、こちらに差し出してきた。

「おう、分かっ……」

 俺の指先が本に触れる寸前に、さっと手を引っ込められた。

「礼は?」

 ああ、そうだ。レイアはこういうのに厳しかった…………まあ、当たり前のことなんだろう。一応、俺も勇者一行の一員ってことになってるしな。

「ありがとう」

「どういたしまして」

 目を見て言うと、うっすらと微笑みながら渡してきた。

 外見だけなら意外と美人だが、普段の性格から考えると複雑だ。レイアの言葉遣いは男勝り──と、いうよりは男だが、これでいいのか?王都は兵士の男性が占める割合が多いから、その時の癖だろうか?

 本を鞄に仕舞うと、意外にスペースを取り、鞄が直方体に近づいた。

「もういいか?」

「ああ、いいぞ」

 返答を聞くと、レイアは再び歩き始めた。

 このまま何事もなく、大陸に着きますように。願わくは、義手を入手後に、速やかに離脱をさせてくれ。


 願いが叶ったのか、何事も起こらぬまま夜になった

 一日目は物珍しさもあってか、退屈はしなかった。しかし、走り回れないというのは、苦痛である。

「ちょっといいか?」

 ────そして、一行の中で、一番元気なレイアと相部屋。アークと相部屋がいいと言ったが、一行全体の安全面を考えて却下された。そして、比較的静かなセレナと相部屋がいいと言ったところ、ゴミを見る眼差しで見られた上、前科(牢屋で頭突きされた原因)を知っているレイアからは剣を突き付けられた。そこまで警戒しなくても、飢えてねえよ……多分。

「…………おい、聞いてるのか?」

 まったく、勘弁してほしい。何故に、こんなのと相部屋なのか……こんなことなら、この船の傭兵をみんな魚に食わせてやろうかな…………

「おい」

 肩に人の手の感触。ちなみに、部屋は俺が横に四人寝れるくらいの広さだ。かなり狭いが、ベッドがある。シーツも何もない、木だけのベッドだが、虫が湧くよりましだ。────並んでるのが気に食わないが。

「聞け」

 背後からの衝撃と共に、体が少し前のめりになる。

 ああ、うるさいから眠れないし、やることもないから壁に向かってベッドに座ってたんだっけ。

「いったい何だよ?」

 さっきまでも言っていたのかも知れないが、よく聞こえなかった。さっきの衝撃は叩かれたのか?

 あーあ、肉が食べたいな。けっこう前に、王宮の食堂で分厚い鹿のステーキを食べたが、美味しかったな。生焼けの肉があんなにうまいとは思わなかった。

「物音で起きれるか?」

「当たり前だ」

 物音で起きれない?そんなやつは、スラムで一人暮らしできるわけないだろ。

「なら寝てもいいか。すまんな、そろそろ寝よう」

 そう言うと、レイアはランプの光を消した。

 夜目が利くから、あまり意味がないんだがな。起きていてもすることもない、寝よう。


 ギ……ギィ───


      ギギィ

 ──ギギィ

         ギギィ




 うるせえ…………

 今回はたいした事は起こりませんでした。







 震災後、関連性があるものがあったため、丸々書き直したのは秘密。

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