表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/49

第27話

あれ?昨日投稿したはずなのに……

 暗い……暗い…………見渡す限りは完全な闇。いったい、ここはどこだ?体を動かそうとしても動かない。何で動かない?────落ちる、そんな気がした。

「──!?」

 急に仕事中に幾度と感じた、落ちていく感覚がし、驚きのあまりに声が出そうだったが、声が出ない…………あれ、耳が聞こえてない?聞こえてるよな?呼吸の音もしないから聞こえてないのか?……そういえば、呼吸してるのか、俺?上下する胸の感覚が無い。つまり、空気を吸い、吐く、そんな当たり前のことをしていないのか俺は?

 そう考えると、急に眠気が間欠泉のように溢れてきた。

 ────寝よう。起きていてもいいこと無いだろ、寝てる方が楽だ。

 そう考えると落下する感覚がどんどん強くなるが、不思議と怖くなかった。むしろ、不思議な解放感を感じた。それにより、更に眠気が強くなり、眠りそうになった時にふと思った。

 どうしてここにいるんだ?

 急に眠気が不信感になった。頭が冴え、今の状況を理解しようとする。すると、落下する感覚が弱くなった。

 ここに『来る』まで俺は何をしていた?そもそも『俺』って何だったんだ?

 じわりじわりと、這うように恐怖が背筋を登ってきた。

 ──思い出せ、『俺』は何だ!?ここはどこだ?どうしてここに『来た』!?

 恐怖、不信感が一気に高まり、正常な思考ができない。

 怖い怖い怖い恐い恐いコワイコワイコワイコワイ!!──ここはどこだ!!

 ふと、聞こえていないはずの耳が何かを聞いた。

「息はしてるか?」

 一言……その一言が不思議と俺を落ち着かせた。

 そうだ、息をしないと。

 動かないはずの肺を動かし、呼吸をし、胸を上下させる。すると、落下する感覚が消えた。

「起きろ、そこはそんなに楽しいか?」

 ……またあの声だ。

 起きろって言っても、寝てないんだから起きようがない。どうしろと?

「しょうがない……オラァ!!」

 腹部に耐え難い激痛。殴られた?誰もいないのに!?

 痛む腹を押さえようと手を動かそうとしたその瞬間、急に真上に吹っ飛ぶ感覚がした。

「うおっ!?」

 声が出た。

 上昇が更に加速する。


「よし、これでいいな」

 そう言うと、声はどんどん遠ざかる。

「おい!俺は誰だ!?」

 出るようになった声を張り上げ、聞いた。

 さらに加速。

「お前?ジョン・スミスだっけ?」

 …………違う、俺はもっと違う名前だ。そう、確か────ランサムだ。貧民街生まれのランサム・リザルトだ!

 「違う、俺はランサムだ!」

 さらに加速する。前方に光が見えてきた。

「偽名だったのか?あいつなんて言うかな…………?」

 声は、なぜか困ったようだ。けど、これは聞こう。

「お前は誰だ!」

 加速により、潰れそうになるが声を振り絞って聞いた。

「俺か?レイア・ファンション────勇者だ。忘れたか?」

 俺は、勢いよく光の中へ飛び込んだ。





「よう、調子はどうだ?」

 目を開けると、そこには勇者がいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ