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第23話

久しぶりだとなんか違和感が……

 足元にゴミの少なく、Y字路になっている以外はしばらく直線が続く路地。逃亡に的さないそこで、会いたくない奴と会ってしまった。

「その〜あれだ。先にこの街に入ったのは理由があってだな……」

「ほう?三文芝居し、不意打ちをした理由?────是非とも聞かせて欲しいものだな?」

 言い訳をしようとしたが、やっぱ無駄か。喋りながら斬りかかってきた、血の気が多いなあ…………

 抜刀の勢いを乗せたサーベルが、首を切り落とす寸前にバックステップで回避しようとする。しかし、リリアナは更に踏み込み、返す刃で真っ赤になったサーベルを自分の胸の高さで薙いできた。

「げ!?」

 思わず声が出た。背中のガラス片が埋まらないようにするため、胴体の肉体強化はしたくないな、長引くとやってしまいそうだが。

 ヘソより十五センチほど上の位置めがけて左側から迫る刃を、左の二の腕──というよりはほぼ肘だが、それで何とか防ぎ、肘を畳んだ腕の下へ潜るように腰を落とし、そのまま刃を皮膚に滑らせて右側に流すと同時に踏み込みながらのボディーブローを放つ。

「が、ぁ……!」

 手応えが浅い……寸の所で後ろに跳んだか?しかし、肉体強化をした上に、今まで格闘が主体だった人間の拳は痛いようで、うめき声を上げた。

 ────一気に畳む!

 殴った流れで左腕からナイフを抜き、リリアナに一気に迫る………………はずだった。

「──ぐっ!?」

 腰を捻った瞬間、突き刺さったガラスが食い込み、激痛が脳を支配する。やばい、殺られる!

「ハッ!」

 態勢を立て直したリリアナが振るったサーベルは赤い光を帯びながら、痛みで怯んだ俺に向かって真っ直ぐに突き出された。



 熱した刃物に刺されたことあるか?え?俺か?──現在体験中だ。

「ぐっ……がぁぁ!!」

「──チッ、腕か」

 肉の焼ける音が自分の腕からする、かなりきつい!痛い上に精神的にも追い詰められる。肉体強化で治そうにもサーベルは刺さったまんまだ、治せない。

「ほう?気絶しないか。……痛いだろう、苦しむのを見て悦ぶような趣味はない。すぐ楽にしてやる」

 そう言うと、リリアナはサーベルを腕から引き抜き、俺の首へ振り降ろそうとする。が、ここで死ぬつもりなんてあるわけがない!

「誰が死ぬか!!」

 黒い魔力を全身から波のように放出して、リリアナを弾き飛ばす。追い討ちをしたいが、そんな余裕はないので肉体強化で屋根に跳び上がり、全力で走る。その際に、背中以外の傷を治しながら。

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