第21話
やっと投下。更新が遅すぎるのと文章をなんとかしないと……
翌日の朝、まあ、起きたのは昼だが、仕事をやり遂げた感が清々しい。今日はビールでも飲みに行こう。場所は昨日……まあ、時間的には今日だが。人が少ないと特徴を覚えられるから、大きい酒場にしよう。持ち金は銀貨と銅貨。金貨は使いにくいからな。
「ビールと、この野菜と鹿肉のサンドってのを一つ」
ギルドが入っているため、昼間は依頼を受けに来た人々で賑わっている。そんな中、カウンターに座ってビールを注文するのは少し浮くが、フードを被り、左手を吊っておいたので療養中と思われるだろう。
カウンター越しに渡されたのは大きなジョッキのビールと、麦パンに焼いた鹿肉と野菜を挟んだもの。これが今日の朝食だ。頼んだ後に思ったが結構、胃にきつそうだ…………
そんなことを思いながらパンにかぶりつくと、焼きたての柔らかい鹿肉から肉汁がにじみ出た。熱いと思ったが、水に浸けてあったのか、冷たい野菜から出る水分と少量のオリーブオイルがちょうどいい温度にする。それを適度に味わった後、ビールで流し込む────最高だ。干し肉より格段にうまい。
そのまま一気に、飲み、食べてしまった、追加を頼もう。
「同じのをあと──」
「よく聞け!関所を襲ったクズ野郎!!」
カウンターの向こうの中々キレイなウェイターさんに頼もうとした瞬間、聞き覚えのある、やけにはりきった声が聞こえた。まさか……いい加減にしろよ……
「お前らは叩き斬る!どうせ毒でも盛ってから襲撃したんだろ?虫ケラどもが!!」
なに言ってんだ、あのバカ勇者は!?一部のガラ悪い集団から殺気が出てるぞ!…………ん?釣れてるのか、これ?──あ、集団から明らかに悪人顔の大きなの男が立ち上がった。酒場でしかけるのか!?アホか!!
そいつは勇者一行に向かって回りを蹴散らしながら走ると、セレナに向けて背負っていたクレイモアを振りかぶり、
「────シッ!」
通った軌跡に光を残す、リリアナの火の属性でオレンジ色になったサーベルに腰から肩にかけて切られ、崩れ落ちた。…………あの速さで体勢を変え、居合い切り。更にはその一太刀で傷口を焼き、血が出ないとかデタラメだ……。
「お前らがやったのか!!」
「心配するな、殺してはいない。まあ、保証はできんがなあ。社会の、人間のクズども」
いきなり襲うのも怪しいが、確定は早すぎるだろ、おい。しかもリリアナの言うクズどもって俺も入りそうだな?
そこからは乱戦だった。それを端から眺めて分かった。
アークの持っている杖は金属の部分で相手を刺して、近距離もなかなかいける。セレナは風刃で範囲攻撃、足の健を切り、相手を近寄らせない。リリアナはとにかく速い、相手の含み針をサーベルで弾く、どうやってんだ、あれ。レイアは速いし、力が強いからテーブルを粉砕。あれ?こいつ一人でよくね?
まあ、各自がそんなのだから、途中から逃げた客と入れ替わり店に入ってきた奴らを合わせて十人ほどに一方的だった。理不尽だな、まったく。…………ちなみに飯はどさくさでタダになった。もうゆっくりできん、帰ろう。
席から立つと、吹き飛ばされたやつを踏みながら家に帰った。他の吹き飛ばされたやつが意識を取り戻し、ランサムの顔をしっかりと見たのにも知らずに。