第17話
投稿速度が……2日に一回を目指します。
……もう散々だ。
ヘマ(?)をして捕まって、勇者の仲間になる?笑い話にもならない。腹立つこと言われて、おまけに毒物を食わされ、最悪だ。
「けど、もう終わりだ」
勇者一行から逃げた、自分には賞金が付くだろう。けど、今までの暮らしと大して変わらないんだ、いままで通りにやれば問題は無い。まあ、稼業を続けながら別の職にも手を出してみるか…………暗殺なんてどうだろう?幸いにも闇属性だから暗闇では負ける気がしない。
属性は、状況によって威力が変わる。火なら空気が乾いていること。水なら空気が湿気っていること。風なら微風でもいいから風が吹いていること。土は地面がなるべく固まっていること。光は周りが明るいこと。闇は周りが暗いこと。
それぞれに特徴がある。
自分が闇を使って分かるのが肉体強化の際に、体から黒いモヤが出る。
このモヤは魔力なので霧散するが、纏うと空気抵抗が減ったり、足の裏でクッションになって足音が消える。更には、体を魔力で治した部分──例えば右目とかは、モヤを出し続けると黒い色が抜ける。まったく、便利な物だ。
「ん?そろそろか」
馬でならされた道をひたすら走っていると、街の門が見えてきた。王都の近くということもあり、かなり大きい。
しかし、門をくぐる気など毛頭無い。安全のために門は夜間には閉じており、空くことは緊急時以外には無い。だから、街を囲う壁を登る。登ると言っても、見張りに見つからないようにコソコソ行くのだが。
「──よっと」
なるべく音を出さないように外壁に飛び付き、石の隙間に爪をかけると、腕の力だけでゆっくりと登った。
20メートルほど登ると、壁の終りが来たが、弓兵が巡回している。
弓兵は気配の察知に優れている。なんでも、矢を射つ際には風が重要なので、自然と鋭くなるらしい。
そんなことを考えながら、弓兵が横をを向いた隙に反対側を悠々と通り抜け、外壁から飛び降り、地面に足が着く前にモヤを足の裏から多めに出し、誰にも見つからずに侵入できた。
やっと平穏な生活だ……魔王討伐なんて誰がやるか!