第14話
今週は用事が立て込むので、あまり更新できそうにありません。
リリアナとランサムが、レイア達と別れた場所に行くとすでに全員、集まっていた。
「手癖の悪い盗人を捕まえてきました」
リリアナがランサムを冷たい目で見ながら言った。「もう少し歯に衣着せてくれよ……」
ランサムが細やかな願望を言うと、
「──黙れ、そんな権利があると思うな」
真冬の雪山のような目付きと声質で返された。
「容赦無いな……」
レイアが気の毒そうに呟いた。
「……何か分かりましたか?」
アークが少し躊躇ったが、切り出した。
「ああ、こいつが推測するには傭兵らしい」
リリアナが雰囲気を切り替えて答えた。
「傭兵かよ、追いにくいな……」
レイアが苦々しげに言った
「──え?追うの?」
信じられない、といったようなランサムの一声で、リリアナの額に青筋が浮かぶ。
「──貴様、何を考えている?」
リリアナが怒気を孕ませた声で言う。
「…………またこのパターンかよ」
レイアは人生で、一番深いんじゃないかというぐらいのため息をついた。
セレナも珍しく、呆れている。
「………変なこと言ったか?追ってもメリットが無いだろ。それに、こんなことする奴等はまともじゃない」
ランサムが呆れたように言った。
「盗人には優しさが無いのか!!」
リリアナがキレた。背後には、盤若の面がボンヤリと浮かび上がっているように……訂正、はっきりと見える。
「優しさって……貧民街育ちにそんなの求めるな!元凶が!」
「ぐっ…………!?」
ランサムの激昂した返答に、リリアナは苦虫を噛み潰したような顔をした。
貧民街は、外から人が人を棄てにくる上に、衛生環境や治安も最悪なため、そこで生き抜くには自分だけを優先しないと生き残れない。
さらに、たとえ貧民街を出ようとも、普通の職場では雇ってもらえないため、犯罪で生活するようになるので、更に雇ってもらえなくなる悪循環である。
貧民街ができた理由は、貴族連中が王都内を身分と収入で住む場所を分け、収入の低く身分の低い人が集められた結果である。
「それに、傭兵なんて腐るほどいるんだ。もし見つけたら、でいいだろ?勇者一行にいるんだ、それぐらいなら手伝う」
ランサムは深呼吸をした後に言った。
「…………分かった。頼むぞ」
リリアナが答えると、返事もせずにランサムは町へと歩を進めた。