第13話
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散開してから、まずランサムは、関所の建物の中を調べることにした。
建物の中は荒れていて、盗人の経験上この行動は、何かを探しに誰かが入り、時間が無かった盗人や、興奮状態になった強盗がする行動である。
兵士が全滅していることから後者であると、推測できた。
「──火事場と盗人を一緒にするか、あの勇者は」
ランサムは笑みを浮かべながら、この関所の責任者の部屋に向かった。
「まだ残ってるかな?」
部屋に着いたランサムは早速、荒らされた金庫に手を伸ばした。
閉まりかけの扉を開けると、中には通行の際の賄賂であろう、金貨が入った小さな袋が少し残っていた。
「よし、残ってた」
懐にしまおうと手を伸ばした瞬間、首筋に刃が当てられ、言葉をかけられた、
「貴様、何をしている?」
声の主はリリアナである、
「…………襲撃犯は、何を取ったのかなって」
ランサムは、苦し紛れの言い訳を言った。
「ほう、では何が『残ってるかな?』だ」
バレバレである。
若干、ランサムの首筋に刃が食い込む。
的確な指摘に、ランサムは何も言い返せない。
「──今回は多目に見てやる。さあ、分かった事を言え」
ため息とともに、首筋から刃が退けられた。
ランサムは首筋を撫でながら、
「まず、方法が荒すぎる。それに、普通は関所を盗賊は攻めない。だから、金に目が眩んだ傭兵だと思う。」
ランサムは、自分なら夜に忍び込むと付け足した。
「傭兵か……それらしいのはすれ違わなかったから、次の街だろうな。勇者殿に報告するぞ」
リリアナは、ランサムの襟を掴みながら言った。
「この金貨はどうするんだ!?」
「ここに残しておく」
ランサムの訴えをバッサリと切り捨てながら、リリアナは別れた場所に歩き出した。