第12話
短いし、内容が……
「……な、なんだよ?変なこと言ったか?」
場の雰囲気が、不審者を見つけたようなものに変わったのをランサムは感じた。
「なあ……普通は埋葬してやったりするだろ?」
レイアが気まずそうに言った。
「物色して放置はさすがに……」
リリアナも、意外に優しいらしい。
「それはあまりにも……」 セレナはかなり引いている。
「賛同しかねます」
アークは明らかに不快そうだった。
「いやいや、別にいいだろ。埋葬なんかしてたら、血の臭いに寄せられてここら一帯のモンスターが集まって、対処に日が暮れるぞ?」
「夜に進めばいいだろ!」
勇者が言うと。
「ゴブリンのいる森に夜間もいる気か?」
ゴブリンは、個々は強くないのだか知能が高く、洞窟を根城にして50体ほどの群れで行動する。
さらには、その数で生息できるとなると、栄養状態の良い土地なので強いモンスターも多数いる。
「…………分かったよ。その代わり、物色は無しな」
レイアが渋々同意し、
「じゃあ、頼むぞ」
「……は?」
ランサムへ丸投げである。
「何で俺が!?埋めるって言ったのお前だろ!」
ランサムが訴えると、
「ほう……女に労働させて、自分は見物か?」
リリアナが黒い笑みを浮かべながら言った。
「……分かったよ!やればいいんだろ!」
渋々、二の腕の途中まで肉体強化をしながら地面に突っ込むと、腕を掬い上げて土をかき出した。
「さっさと行こう」
そこに商人だったモノを入れると、雑に土を被せた。
「…………まあ、いいだろ」
レイアは雑なやり方に納得してないようだった。
そして、一行は早足でその場を離れた。
その後は、気配を感じると迂回などをし、強いモンスターに出会わずに、森を抜けた。
森を抜けた先には平原、しばらく行けば関所につく。
「……あの、煙が多くないですか?」
関所がある方向に、多数の煙が見える。
関所は泊まり込みで交代で守りをするため、一度に少しの兵しか炊事をしないはずである。
「確かに多すぎるな……急ごう」
レイアに急かされ、一行はペースを上げた。
関所が見えてくると、門に何かが吊るされていた。「肉体強化で見れるか?」
「ああ、少し待ってろ」
レイアに言われ、ランサムは目に強化を集中させると見えたのは、鎧を脱がされてめった刺しにされた兵士が逆さに吊るされていた。
「あれは兵士だな。鎧を脱がされているから人にやられたんだな」
「そうか、動く物は?」
「──いや、なにもいない」
「そうか……」
レイアは誰も生きていないと分かって残念そうだった。
一行が関所に着くと、そこでは兵士が惨殺されていた。
四肢が無いものから、座ったままの姿勢で首が無い死体や、磔にされて矢の的にされた死体まで、様々な死に方をしていた。
「ひどいな……」
レイアが呟いた一言に同意するように、全員が顔を歪める。
「とりあえず調べよう。話はそれからだな」
リリアナの提案で一行は散開した。