第9話
一話一話が短い…………
「さて、お前の武器を買いに行くか」
活気のある通りを歩きながらレイアが言った。
「けど俺の金は没収されたぞ」
ランサムが苦々しい表情でそれに答えた。
「盗んだお金ですけどね」
アークが付け足す。
「お前は何をやっていたんだ?」
それを聞いて女性が問いかけた。
一同の足が速まる。
「か、軽業師だって」
ランサムが焦りながら言うと、
「そうか……軽業の技術で盗みか」
女性が納得したように言った。しかし、口元が引き吊っている。
「いや、これはだな……」
ランサムが考え込むと、
「――いや、この先は王都を出てから聞こう」
今度は、誰もが魅了されるような笑みを浮かべていた――――笑っていない目が殺気立っているのに、気付きさえしなければ。
「おい、着いたぞ。それと金はある程度、王宮からもらった」
レイアが一行に言った。 そこは斧と剣がクロスされた看板が、扉の上に掛けられている建物だった。
一行が中に入ると、
「はい、いらっしゃい。……冷やかしはお断りだよ」
カウンターにゴツい老人がいた。
「短剣を見せてくれるか?」
ランサムが前に進み出て言った。
すると、
「見るだけか?」
老人は冷たく言った。
「ロクなものが無かったらそうなるな」
ランサムは、煽るように言う。
「フンッ、口が過ぎるガキだ」
老人が嫌そうに言いながら、カウンターの奥から商品をいくつか出す。
「ほら、さっさと決めろ」
そしてぶっきらぼうに言った。
出されたのは何本かの鞘から出された、形も長さも様々な短剣やナイフ。
「ん〜。じゃあ、この3本と投げナイフを15本と、それぞれ鞘をくれるか?投げナイフは5本ずつで」
その中から、刃渡り20センチ程の片刃のつば付き短剣を。さらに、刃渡り10センチほどの切っ先だけが両刃のナイフ。それと、金属だけの何の飾り気も無い投げナイフをランサムは選んだ。
「注文も、買うのも多いな。暗殺でもする気か?」
老人がランサムに言った。
「剣は使いづらいんだよ」
ランサムは苦笑いしながら言った。
「そうか。ほら、長さは自分で変えろよ」
ベルトが何本かと、ベルトを通せる鞘に入った武器が渡された。
「ありがとよ。代金はそいつが払うから」
レイアを指差して言い、ランサムはせっせと装備を付け始める。
「――――ああ」
そいつ発言に納得いかなかったようだが代金を老人に渡す。
「……確かに。さあ、けたらさっさと出てってくれよ」
老人はそう言うと奥に引っ込んでしまった。
「よし、終わったぞ」
腰の後ろで刃先が左を向くように短剣を、ナイフを左手に、投げナイフを太ももと両方の二の腕にしまった。
「…………慣れてないか?」
女性が言った。
「気のせいだって!」
ランサムが言うと、一行は王都の門に向かって歩き出した。