第8話
6600PV……最初は1000いかかないと思ったけど、この小説を見てくれてありがとうございます!
酒場に金属がこすれる音と同時に、柔らかい物が潰れ、焼ける音、さらには苦しみが感じられる堪えた声がした。
「ぐっ…………!?」
金属がこすれる音は、まぶたの剣が触れた部分から。
柔らかい物が潰れ、焼ける音は剣先が突いた眼球が、剣の魔力で焼ける音。
苦しみの感じられる声は喉の奥から。
全てランサムから発せられた音。
まともならその音を聞き、表情を歪めない人はいないだろう…………相手以外は。
「やはり、眼球は硬くないみたいだな」
苦悶の表情を浮かべるランサムを見下ろしながら、その女性は冷たく言った。「ぐっ……なんてことしやがる……」
ランサムは右目を押さえながら言った。
「まあ、もう二度と右目は使えんだろう。旅は諦めろ」
女性が剣を鞘に収めながら言った。
まあランサムに行く気は無いのだが、このままではまた牢屋行きで、即処刑もあり得るので意地でも途中までは行く必要がある。
しかし、目を潰されると距離感も分かりにくくなり、隙もできるため戦力外になり、行けなくなる。
どうすべきかランサムは迷い、ひとつの結論に至った。
「ははっ……くははっ!」
ランサムは自嘲気味に笑いだした。
「どうした?気でも触れたか?」
女性は呆れたような顔でランサムに問いかけた。
すると、
「――――右目が使えないなら、使えるようにすればいい」
ランサムはそれん言うと同時に、右目と右手に魔力を集中。右目の治癒力を高め、そこに右手の魔力を叩き込んだ。
「ぐっ!?」
ボコボコという音が、その右手から漏れ出していた。
しばらくすると、大きく息をはくとランサムは、
「手応え……あったな」
と呟き、ランサムが手を離すと、魔力の影響により白目まで、真っ黒になった眼球がランサムの右目にあった。
「なっ……!?」
それを見て女性は驚いた。肉体強化はあくまでも治癒力を高めるだけで、なくなった部位を作るなんていう効果は無いからだ。
しかも魔力の色が黒……だが勇者がそれを黙認しているということは、これだけのことをしたのが人間だということだ。
そんな女性を見据え、
「――――今度はこっちが潰してやる……!」
ランサムは、肉体強化で全身に力を溜めながら言った。
「終わりだバカ野郎!」
そこへ、怒声と共に光弾が飛んできて、勢いよくランサムの頭に直撃した。
「っ!?――――――何しやがる!」
ランサムは頭を押さえながら、光弾の犯人であるレイアに言った。
「まったく、迎えに来ただけで殺し合いでもする気か?」
そう言うとレイアは出口に向かって歩き出した。それにセレナとアークがついて行くと、女性も焦ってついて行く。
「おい!いきなり始めたのそいつだろ!?」
ランサムがむなしく叫ぶも、一行はすでに聞いていなかった。