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プロローグ

初投稿なので上手く書けるかわかりませんが、指摘をよろしくお願いします。

 「うおぉぉぉぉぉ!!来るなぁぁぁぁ!」

 真っ昼間に目覚まし時計のように大声で叫びながら、必死に町の建物の上を、青年が上半身裸で異常な速さで走り続けている。


 その青年の容姿は人当たりの良さそうな顔つきと黒髪、黒目の青年の名前は、ランサム。なぜこの青年が逃げているかというと――



 半刻ほど前、ランサムは豪華な屋敷の廊下とは対照的な灰色一色の服を着ており、良く言えば地味、悪く言えば汚い服装で、出口に向かって、今にも歌い出しそうなくらい、嬉しい気持ちを溜めながら歩いていた。

 なぜなら彼は、貴族の屋敷に盗みに入ってみば、なぜか兵士がほとんどおらず、不思議に思い気配をさぐってみても、家主までもが不在だったので楽々と侵入し、『なぜか無防備に机の上に置いてあった』黄金色の金貨でふくれた財布を持ち出す。

という事ができたからだ。

 この国、スティニエル王国での通貨は金貨、銀貨、銅貨で、金貨1枚で銀貨100枚、銀貨1枚で銅貨100枚であり、そのうえ金貨は1枚で平民の年収のなので、それで財布がふくれるということは、後の人生は食うに困らないぐらいのお金は手に入ったということなので、貧民街出身であり、時には食うに困り果てたこともあった彼には、大量の金貨を安全に手にするのはとてつもなく嬉しかった。さらに、多数の貴族の屋敷に入っては見つかり、そして逃げ切るという危ないことが多かったので、周囲の気配を察知する力とスタミナは鍛えられたのだが、今回は明らかに不自然なのに気付きながらも、嬉しさが勝ってしまい、

「まあ、こんなこともあるだろ」

と、言い出す始末であり、そんな警戒心の欠片もなくドアを開けた彼を迎えたのは、

「武器を捨てろ!お前が今まで繰り返し貴族に盗みを働いてやがった野郎だな!」

王都の兵士の証である紋章の入った、前の開けた鉄の兜をかぶり、分厚く丸みのある鉄の鎧を身に付け、背には剣を背負い、その瞳のように黒い無精髭を生やした、ごつい体つきの格上らしき人物が、その風貌にぴったりな、いかつく、しかし自信に満ち、明らかな敵意を含んだ声で警告し、その周りに控えている、叩き切るための厚みを持った剣や、確実に相手に刺さるための鋭く尖った矢を、めいいっぱい引かれた弓、または先端に魔力の媒体である宝石が先端に付いた、それぞれの身の丈に近い杖を構えている、彼らは武器によって形こそは違えどごつい男と同じく、王都の鎧を着おり、貴族の屋敷に繰り返し侵入したランサムを捕まえにきたか、あるいは殺しに来たのであろう、彼の視界にはいるだけで20人ほどのバリエーション豊富な兵士が、屋敷を囲むような位置にいる光景だった。

「…………は?」

警戒していれば待ち伏せに気付き、それなりの対応はできただろうが警戒心もなく歩いていた結果、天国から地獄に叩き落とされたランサムは挙動を停止した。

そこにまた、いかつい声が

「武器を捨てないか……魔法!放て!」

と、ランサムを囲むように立ちながら先ほどからぶつぶつ呟いていた杖を持った兵士達に呼び掛ける。その言葉で状況を理解した彼に向け、呟きをほぼ同じタイミングで止め、そして彼らの杖の宝石が光り、その瞬間にバスケットボールほどの大きさの火球、が飛来したが、

「危なっ!」

彼はその火のカーテンを、異常な速さでくぐり抜けると、目の前の自分と同じぐらいの年齢であろう、若い兵士めがけて突っ込み、不意を突かれたかのように慌てて斬りかかってきた若い兵士の右斜め上からの斬撃を、避けようとも、防ごうともせずに――――そのまま突き進んだ

「なっ!?」

それには相手も驚いたが、剣を止めず更に力を込め、肩から彼を切りさ裂かんとした剣が肩に触れた瞬間に出した音は、剣が骨を砕きながら肉を引き裂いた音――ではなく、金属同士がぶつかった音を勢い良く響かせて剣が折れた

「えっ!?」

剣が人間を斬れずに折れるあり得ない事が起こり思わず剣を手放した若い兵士の懐へ踏み込み、左の裏拳で左脇腹を殴った

「ハッ!」

気合いを入れる声を発しながら殴った裏拳が発したのは鈍器で殴ったような鈍い音と、鎧がへこみ何かが折れる音をさせ、若い兵士は数メートル吹き飛ばした。それに何人かが巻き込まれて、囲いが崩れた所へ彼は加速しながら走りこんだ。 ランサムの異常な身体能力は肉体強化という魔法を使っており他の魔法と違い、魔力を体内に留めることによって使うことができるので、詠唱がいらず乱戦でもすぐに使える。

 魔力に6属性を持たせた状態で留めれば長所、短所が出るようになる。更に、効果の強さは留める量に比例する、体内に留めるだけなので詠唱がいらず、使うだけなら入門魔法とも言われるが、魔力量に難がある人には向いていない。

 火は全身の力を、その代わり魔力の消費が激しい。風は体を軽く、その代わり留めるのに集中が大量に必要。土は皮膚を硬く、その代わり体が重く。水は回復力を、その代わり持久力が低下。光と闇は短所無しに全身を強化できる。 しかし光と闇は、今ではまったくいないので実際には4属性と言われている。

 肉体強化でなくても魔力には色々な使い方がある。

その内の1つ、肉体強化の高等技術は体の一部に留めること、そうすれば一部を全力で強化することができる。



そしてランサムはその強化で門を蹴破り、そのまま大通りの人混みに紛れた


――――しかし、そこから彼の不運は始まった。

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