ルントフレース・パフェの、ほろ苦い思い出。
※このエッセイは、2026年4月1日に投稿されました。
皆さんの誕生日はいつですか?
私は今日ではありません。
――ああ、明日以降にこのエッセイを読んだ人はわけわかんないでしょうね。
実は私、今日4月1日、つまりエイプリルフールが誕生日なんですよ。(これマジです)
まあ、誕生日エッセイってわけじゃないのでさっさと本題に行きますけどね。
実は先日、実家の母から誕生日プレゼント代わりに荷物が届いたんです。
その中にアルバムがあってちょっと懐かしくなったのと、ちょうどいいエッセイのネタを思い出したので、筆をとりました。
学生時代のことなので、まあ具体的な年数は覚えてませんが、数年前かな。
そのころ友達とよく行ってた喫茶店がありまして、アルバム見たら、卒業式の日にその店の前で撮った写真もあったんですよね。
忘れもしない、ええ、忘れられるわけもない、苦い思い出の写真です。
実は私、実家を離れてかなり経ちますが、以前は北海道の小樽という町で暮らしていました。
札幌まで電車で1時間くらいかな。観光地でもあるし、北海道のなかではかなり恵まれた地域に生まれたと思っています。
え、クマ? 道端で見たことはまだないよ!
小樽駅を出て正面の大通りをそのまましばらく歩くと、商店街のアーケードが見えてきます。
そこをスルーしてもう少し行くと、右側にローソンがあるんですよ。
これ、昔から私のよく立ち寄ってたお店です。店のおじさん、まだ元気かなあ。
で、件のお店というのが、その隣にある喫茶店です。
外から見ると普通のビルみたいな見た目なので、ちょっと目立たないんですが(「熊が出ても大丈夫なように、窓を小さくしてる」とマスターは言ってました。その時は信じてたけど、絶対嘘だ!)、ちゃんと看板は出ています。
名前は「ローデ・バクステーン」っていいます。オランダ語で赤レンガって意味ですね。はい、オーナーもダンディなオランダ人です。私らはバクステって呼んでましたけど。
洒落たカフェってよりは、今にして思えば、昭和のサラリーマンがさぼりに寄ってそうなお店かもしれない。
私のお気に入りは、チョコレートケーキでした。オペラってタイプの、めっちゃ甘さが濃厚なやつです。
そもそもあまりケーキなんて食べる機会がなかったこともあり、初めて食べたときの感動は未だに覚えてます。テストの後とか友達と立ち寄って、ぜいたくしてましたね。
ケーキセット630円でした、確か。
スタンダードに楽しみたいならこれでいいと思います。
まあそこまでは普通のカフェですよ。だがバクステの本気は、その程度じゃ終わらない!
そこの名物 (?)こそが、「ルントフレース・パフェ」なのです!
たしか記憶では1500円くらいしたと思うんですが、私も実は1回しか食べたことがありません。
忘れもしない高校の卒業式の日。帰り道に母と一緒にバクステに寄った私は、ついに憧れのルントフレース・パフェを注文したのです!
山盛りに盛られたクリームにぶち上りのテンション。
いっただきまーす!
クリーム、あっまい! という天国から、チョコレートゾーンに差し掛かったときです。口の中に妙な噛み応えがありました。
むに。 ぐに。
なんじゃこれ、噛み切れねえ。てか甘くねえ。ってゆーか、甘辛い。
一瞬のうちに脳内は『???』で埋め尽くされました。 私は今、何を食べているのだ? これがオランダの味なのか??
……これたぶん小樽人なら有名なので知ってる人も多いと思うんですが、なんとこのパフェ、中に牛肉が入ってるんですよ!
上にクリーム、食べていくとローストビーフ風の冷たい牛肉が入ってて、ソースもしっかりかかってるという謎スイーツなんです。
ルントフレースってのがそもそもオランダ語で牛肉のことらしいんですが、メニュー写真も割と普通に見えるし(何なら牛肉がチョコレートに見える)。
何も知らない人が頼んだらどうすんだこれ、と思いますね。
はい、強く思います。何考えてんだ、マスター!
母は古いタイプの人間でして、注文したものを残すということを許してはくれません。
私は半泣きで、甘辛く噛み切れない謎のスイーツを食べきりました。
こうして高校卒業の日、二重の意味で甘辛い、忘れられない思い出ができましたとさ。
ちゃんちゃん。




