僕の最初の合奏曲がめっちゃ楽しいので練習したいと思います。
2025/07/14改 加筆。
グラウンドの端、夕日が差し込む時間。
僕は、汗まみれのジャージ姿で最後の直線を走っていた。
吹奏楽部ではおなじみの基礎体力メニュー――走り込みと腹筋をしていた。
(なんで楽器やるのに、こんなに走らされてんだよ……。まあたのしいからいいけど。)
そんな愚痴も口にできないほど、息が切れる。
ちなみに僕は結構走るのが好きだ。しかし、毎日は走らない。
そのため、部活に入ってから1ヶ月たった6月だが、少しずつ慣れてきたとはいえ、まだ足が棒のようだった。
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その後、楽器練習の前に教室に集められた1年生たち。
座り込んで息を整えていると、顧問が紙の束を持ってやってきた。
「はい、これ1年の合奏曲ね。最初の合奏曲だから、ちゃんと読んで練習してね。あとでスピーカーで流しておくから聞いてみてね。」
一枚ずつ配られていく譜面。
陽介の手元にも、トロンボーン用のパート譜が届いた。
タイトルは──
「スプリング・スター」
「……これ、やるんだ」
思わず呟いた声は、隣の席の谷川愛美に届いていた。
「知ってる曲?」
「ううん。でも、なんか……聴いたことあるような気がする」
愛美が小さく笑う。「またそれ?」
最近、僕は妙な既視感にやたらと反応する。
けれど僕にとって、それはもう日常の一部になっていた。
「スプリング・スター」が先生によってスピーカーから流された。作曲は吉野俊介。吹奏楽の中では有名な人らしい。最初のキラキラした感じから急にマーチっぽくなった。フルートやグロッケンのキラキラした感じからクラリネットのマーチっぽいメロディが始まる。ホルンやトロンボーンも目立つところがありかっこいい感じがする。
すると、今度はワルツのようなシーンがきて、最後あの有名な星の民謡のメロディとマーチの壮大な部分が重なり終わる。
聞いた後、5分ほどみんなぼーっとしていた。「こんな曲1年だけでできるのか」と思っているのだろう。僕もそう思ってる。
「合奏、楽しみだね。結構難しそうだけど。」
そう言って、愛美は自分の譜面に視線を落とした。
その後、音楽室に移動した1年生たちは、譜面台を並べ、チューニングを終えると初めての合奏に臨んだ。
「じゃあ、今日は冒頭からAまで。音を出すタイミングを覚えてね」
指揮台に立つのは、顧問の岩田先生だ。
「それじゃあ、スプリング・スター、始めるよ。」
指揮と共に、音が溢れ出した。
フルートの柔らかな旋律。
クラリネットの明るいメロディ。
トランペットの華やかさ、サックスの温かみ。
そして――
(……この音だ)
陽介の胸の奥が、不意に震えた。
トロンボーンが、低く、けれど確かに曲の土台を支える。
音の波に包まれながら、陽介は自分がこの部活に引き寄せられた理由を、少しだけ理解した気がした。
それは、記憶じゃない。
けれど確かに、心が覚えていた響きだった。
ちなみに最初の合奏だったのでめちゃめちゃな合奏になった。まあ、勘づいてはいた。
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今日は…和田くんが部活辞めちゃうかもしれない日〜!?
何があったんだっけ?
まじでどうしよぉ〜。
ちなみにスプリング・スターという曲、作曲します!たぶん。
あと、ブックマークつけてくれた人ありがと!