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僕の先輩が優しすぎるのでもう少し部活を頑張ろうと思います。

2025/06/15改 一部加筆。

2025/07/14改 加筆

また少したった日。あの時からトロンボーンの体験をしていた僕はなぜかいろいろな曲が吹けた。しかも何も考えなくても。なんでだろう。本当にトロンボーンやったことないのに。


そんなことをしているうちに仮入部も終わり正式入部することになった。吹奏楽部に正式入部してから、僕の放課後は少しずつ形を変え始めていた。


まずは楽器がトロンボーンになったことだな。面談で普通に話をしていただけなのになんで楽器の適正とかがわかるんだろ?


最初は右も左もわからなかったけれど(曲は吹けてたけど)、トロンボーンのスライドにも慣れ、楽器の扱いも少しずつ板についてきた。おまけに、部活の空気にも馴染んできたように思う。


この日も、部活は終わりに近づいていた。

僕は音楽室の隅で、自分のトロンボーンをクロスで磨いていた。ベルに映る光が、どこか心地よい。


「……お前さあ」


不意に、真横から声がした。


顔を上げると、数少ない男子部員であるトロンボーンパートの3年の三枝先輩が立っていた。部内でも無口で、あまり人と交わらないタイプ。まあ、男子が少ないからだけど。けれど、誰もがその実力に一目置いていた。


「……え?」


「それ、クロスの拭き方、全然だめ。」


僕は思わず手を止めた。だが、先輩の視線は鋭いままだ。


「ベルの内側、適当に擦ってるだけだろ。そんな手入れしてたら、音なんかいつまでもまともに出ねえよ」


僕は、咄嗟に言葉が出なかった。確かに、手探りだった。でも、怒られるようなことなのか……?


「悪気があったわけじゃ……」


「そういう問題じゃねえって言ってんだよ!」


突然、先輩の声が跳ねた。音楽室のうるささの中で、その声は異様に響いた。


「お前みたいな“軽い気持ち”で楽器吹いてるやつが一番むかつくんだよ。トロンボーン舐めんな」


空気が凍った。

部屋の隅で宮坂千尋先輩が顔を上げた。近くのパートの先輩たちも、口を閉ざして様子を窺っている。

僕の手の中で、クロスがくしゃっと音を立てて握られた。


「……そんなつもりじゃないです」


それだけを返すのが精一杯だった。

でも、心のどこかが、ぐらりと揺れていた。

本当になんでこんなことでこんなキレられているのだろう?


千尋先輩がそっと間に入る。


「先輩、言いすぎです。」


「……別に。俺は言うべきことを言っただけだ。」


それだけ言い残し、先輩は背を向けて音楽室を出ていった。


残された僕は、ベルを拭く手を止めたまま、じっと床を見つめていた。

胸の奥に、苦いものが溜まっていた。

三枝先輩に怒鳴られたときの声が、まだ耳に残っている。


なぜか辞めたいという気持ちがふと出てきてしまった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


放課後、片付けを手伝っていた僕に、ふと宮坂先輩が声をかけてきた。


「……あの人、時々、余裕なくなるんだよね」


「え?」


トロンボーンのケースを抱えながら、ぽつりと呟くその声は、驚くほど静かだった。


「ストレスが溜まると、誰かに当たっちゃうの。たまたま、今日はそれが和田くんだっただけ。」


「……あ、そういうことだったんですか……。」


「うん。でも、和田くんが悪いわけじゃないよ。むしろ、よく我慢したと思う。


そう言って、先輩は小さく微笑んだ。

その笑顔に、不思議と胸がふっと軽くなる気がした。


——なんだろう、この感じ。


叱られた悔しさも、やるせなさも、まだ消えたわけじゃない。

でも、先輩の言葉が胸に触れたとき、僕の中に、確かに何かが芽生えた。


優しさに触れたからなのか。

そのまなざしが、自分のことをちゃんと見てくれていた気がしたからなのか。


僕は、思わず目をそらしていた。

それが、ほんの少しだけ顔が熱くなっているのを、隠すためだったとは、自分でも気づいていなかった。


= = = = = = = = = = = =


もう正式入部かあ。作者さん、それまでのことももうちょっと詳しく書いてよお〜。展開早すぎ〜。


まあ、それは置いておいて、正式入部してもう2〜3週間がたって、1年生もみんな楽器に入っている頃。


今日、5月14日。事件が起こる。

あのいつものノートには「三枝が和田くんにキレる。」という文字のみ。


あ〜、ヤバい。この日かあ。もしかしたら辞めちゃったりとかして。

だけどそこまでメンタル弱そうではないけど…。

とにかく、どうにかしないと!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


あれ、意外にキレないでいるなあ。日にち間違ったかな〜。と私が思っていると、


「そういう問題じゃねえって言ってんだよ!」


という三枝の言葉が聞こえた。見ると和田くんの前に仁王立ちしている。


「お前みたいな“軽い気持ち”で楽器吹いてるやつが一番むかつくんだよ。トロンボーン舐めんな」


という言葉に私がキレた。三枝に一言言おうとしたら、


「先輩、言いすぎです」


と千尋がいう。やっぱ千尋って先輩らしいな。

私なんか何もできないもんな。

だからああやってあれが起こってしまったのに…。


まあ、そんなことより、和田くんがやめなさそうでよかった。

帰りには少しは元気になって帰っていってたから心配はいらないだろう。

てかこんな調子でループもしてないけどほんとにこれで良くなるのかな?

普通に作者の頭の中ではこの先輩はまじで可愛いです。←何言ってるんだこいつ

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-著者 宮本葵-
茨城県出身。中学2年生。小学生時代からゲームやYoutubeに夢中になっていた暇人。中学生になると、吹奏楽部に入りトロンボーンを吹きつつ、アニメばっか見ている、ゲームをたくさんしているなど将来、自宅警備の仕事につきそうな性格をしている。小説は当初はノートに少し書いたくらいのものだったが、「小説家になろう」というサイトがあることを知り投稿することを決意した。現在は3作品の小説を執筆している。

宮本葵の他作品
シェア傘ラプソディ♪
Silens&Silentia シレンス・シレンティア
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