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僕の先輩に初めて会ったのに見た気がしたけど深く考えないようにしようと思います。

2025/06/14改 一部加筆。

2025/07/14改 加筆

あの日から少したった日の放課後。陽介は仮入部届を手に、ふたたび音楽室を訪れていた。

あの日は案内だけだったが、その次の日から楽器体験をしている。

中に入ると、1年生もちらほらと顔を見せ始めていて、楽器体験や先輩との談笑でにぎわっていた。僕もその輪に加わる。


「トランペット、やってみる?」

「トランペットやってみなよー。」

「トランペットは1番安い楽器なんだよ。」

「そうだよ、少しだけでもやって言ってよー。」


「はい、お願いします!」


2人の2年生の男の先輩に少し強引に勧められ、初めて持つ金管楽器の重みと、唇で響きをつくる感覚に戸惑いつつも、僕は笑っていた。

最初はマウスピースだけで音を鳴らす練習をしたがこれがすごく大変だった。

次に運指を教えてもらった。これは記憶力が良かったのですぐに覚えた。


その後も、意外に音を出せて、有名な楽器店のCMに流れているとある民謡まで吹けるようになった。


そのときだった。


「じゃあ、今度は中低音パートも触ってみる?……はい、トロンボーン」


テンション高めにそう言ってトロンボーンを渡してきたのは、女子の先輩だった。

長めの髪を後ろでひとつにまとめていて、すごく可愛い人だ。

無言で楽器を渡したあと、彼女はふっと微笑む。


(――この人も……)


胸がまたざわつく。

その笑顔。仕草。声をかけられたときの間合いさえも。


「初めて?スライド動かすの、ちょっとむずかしいけど。」


「はい……でも、なんか少しだけ、やったことあるような……。」


口に出してから、自分でおかしなことを言っていると気づいた。

でも、それが嘘ではないことも、どこかでわかっていた。


先輩は不思議そうな顔をしたあと、少しだけ目を細めた。


「……変だね。でもね、楽器って、身体が覚えてたりするから。不思議じゃないよ。」


それを聞いた瞬間、陽介の背中を何かが這い上がる。

まるで、“この会話”を、彼女と前にも交わしたことがあるような気がしたのだ。


「……先輩、先輩の名前は?……」


「ああ、ごめん。まだ言ってなかったね。2年の、宮坂千尋(みやさかちひろ)って言います」


その名前を聞いた瞬間、陽介の頭にズキリと痛みが走った。


(……知ってる。この名前も)


意識がかすかに揺らぐ。

だが、僕はそれをかろうじて笑みで隠した。


「僕は和田陽介です。よろしくお願いします。」


名前を聞いたその瞬間、小さく、でも確かな“既視感”が、胸の奥で鈍く灯る。


吹奏楽部という場所に、なぜこれほどまでに心が惹かれるのか。

まだ思い出せないものがあるというのに、心は少しずつ、その輪郭に触れ始めていた。


そして、僕はまだ知らない。


その先輩―― 宮坂千尋もまた、ある僕の「繰り返し」の中で、彼を見つけ続けていくことを。


= = = = = = = = = = = =


ふわぁ〜。今日も眠たいなあ。

和田くん、最近体験入部来ないんだから、つまらないよぉ。


と思ったら、いるし!しかもあのバカ2人に絡まれてる…。かわいそうだなぁ。

トランペットは有名だからいいし、おまけに「トランペットは金管楽器の中では安いしいいよ〜」と言う売り文句があるしねぇ。

だけど、和田くんは、トロンボーンに行くべきなのさ!って、なんで私が得意げになってるの?


まあ、ともかく、和田くんがトロンボーン以外やってたらなんか違和感感じるし、中低音というむずがしい楽器の中で部活あまりきてなかったけどちゃんとやれてたしなあ。


あ、千尋やったなぁ〜。今、トロンボーンの体験させようとしてるし!和田くんをトロンボーンに引きつれたら凄すぎて先輩たちがダウンしちゃうよ〜!

あ〜、2回目の人生楽しいっ!

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-著者 宮本葵-
茨城県のつくばエクスプレス沿線民。最近、よく会う友達(と呼べるのかわからない人)に「小説家じゃなくてただ物を書いてるだけだろ」とディスられたので、ピリピリしている。目指すは有名小説家!ですが、テストという大きな壁に妨害され結局はただ物を書いている人になってます。現在は8作品の小説を執筆中!

宮本葵の全作品
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