出会い
「やった!やっとJB64ジムニーが納車された」
ニコニコウキウキ。
俺は、ユウヤ。会社員、もうすぐ40歳になるのに恋愛経験ゼロ。恋愛には、興味はあるが距離を縮めることができない。
そんな俺を慰めてくれるのが、新車で購入したブルーのJB64ジムニーだ。めちゃめちゃこの乗り心地、吹けるR06Aターボエンジン最高のパートナーだ。
毎朝、出勤前にジムニーのボンネットを撫でるのが日課となった。まるで恋人に「おはよう」と挨拶するかのように。ジムニーもまた、エンジンの軽やかな音で応えてくれる。週末にはジムニーと一緒にドライブに出かけ、山道を走るのが楽しみだ。
ある日、職場で新しいプロジェクトが始まることになった。リーダーとして選ばれたのは、同じ部署のサクラさん。彼女は明るくて、誰にでも優しい。その笑顔を見ているだけで、周りの空気が和らぐような存在だ。
「ユウヤさん、よろしくお願いしますね!」
サクラさんと話すたびに、心臓がドキドキしてしまう。そんな自分が情けなくて、またジムニーに慰めを求める日々が続いた。
ある週末、サクラさんが偶然にもジムニーを見かけた。
「ユウヤさん、この車すごくかっこいいですね!ジムニーに乗ってるなんて知らなかったです。」
「ありがとう、サクラさん。これは僕の相棒なんだ。」
「相棒…なんて素敵な表現ですね。いつか一緒にドライブに連れて行ってもらえますか?」
サクラさんの言葉に驚きつつも、心の中で小さな希望が芽生えた。ジムニーと一緒に過ごす時間が、彼女との距離を縮めるきっかけになるかもしれない。
そして、最初のドライブの日がやってきた。山道を走りながら、サクラさんと話すうちに、緊張も解けていった。彼女は自然と話をリードしてくれ、ユウヤも次第に自分の気持ちを素直に話せるようになった。
ドライブの最後に、夕陽が沈む湖畔に車を停めた。ジムニーのボンネットに寄りかかりながら、二人で美しい景色を眺めていた。
「ユウヤさん、本当にありがとう。こんな素敵な時間を過ごせるなんて思ってもなかった。」
「こちらこそ、サクラさん。こんなに楽しいドライブは初めてです。」
その時、心の中で何かが変わった。ジムニーとの絆は変わらず強いけれど、それ以上にサクラさんとの未来が輝いて見えた。
ジムニーが結んでくれた縁を大切にしながら、ユウヤは新たな一歩を踏み出す決意を固めた。恋愛経験ゼロの男が、初めての恋に向き合う物語の始まりだった。