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ラジオと僕のコイ話  作者: 智成
1/1

ミズハはいつもキレイです

あの日に戻れたらと想いながらも、戻れなくていいと恋から生まれた怖いけどあったまるラブコメです。

いつもの人は誰なのか?

真相は語り合いで…

それではいつもの愛を込めて!

私は誰が好きなのか?

私は僕でいたかったのか?

僕はどうすればよかったのか?

色恋とはときに残酷に人を成長させます!

だけどそればかりではなく、美しい日々です!

では開幕…

「オニイサンハ、イツモ、ミカタだよ?」

僕はいつも疲れていた。なぜだろう?それはいつものことだったので気にもしなかった。僕には家族はいない。親戚のお姉さん達にいつも生活費を貰って自活している。

僕には愛しいお姉さんがいる。家にいるときはいつも一人だ、だけど愛しくて愛しくてたまらないと自然と親戚のお姉さんの家に行きたくなってしまう。

「お姉さん、いつもいない。」

「誰のこと?いつも来てくれるのに、どうして私達しかいない家で誰を探してるの?」

「だってここにいるって、いつも言ってるもん。僕のことを待ってる。だから毎日欠かさずに来ることって言われたから来てる。」

何のことだろうと、いつも家にいて必ず、僕が来るたびにおかえり、と嬉しそうに迎い入れてくれるお姉さんの名前はミズハ、四姉妹の長女だ。僕はいつも何気なくありがとうと、素直に言える綺麗な長い髪がまとめあげられたように、束ねられていつものありがとうには嬉しそうに、涙目になるカワイイけどなんか、色っぽいのに目がいつも暗そうに見えて明るいとも言い難い、輪郭は明るくて目が笑わないのに明るい。いつもタバコを吹きながらも、吸わずに庭にまいているのが不思議な人だ。お姉さんは長い髪がツーロングのときもあるけど、ショートヘアー?みたいにまとめあげて、束ねあげているのに髪が伸びていますよと分かるような髪型や、いつもの会話と接し方に対してありがとうと言いたくなるような、不思議な雰囲気だ。でもいつも無音と泣きそうに手を握りしめるクセがある。なんだかんだまとめると、綺麗て可愛くて優しくて面倒見がいいけど、不思議となんか笑ってほしいお姉さんだ。笑顔なんだけど。

僕はトイレを借りた。いつもの公衆便所ではなくトイレで何気なくあれ?と目が冷めた気がした。そこでいつもは公衆便所なのになんでだろう?と涙目になる場所だから借りたくない場所なのだ。でも居心地が良くて不思議といやされるのだ。

トイレがノックされた。

「お姉ちゃんちょっと買い物に行ってくるから、リビングでお茶したら二階に上がって仏壇にお線香あげて。後で見に来てほしい部屋があるからね☆家の鍵は閉めておくこと!良い?絶対に開けちゃだめ。開けちゃだめ開けちゃだめアケチャダメアケチャダメアケチャダメアケチャダメ。」

「ハイ、オネエサン、ズットマッテタ。」

「てへ☆お姉ちゃんはいつも待ってたのに、ようやく聞こえた?お姉ちゃんに後は任せてね、護って育ててハグしちゃう!だからお姉ちゃんの言うことは何でも聞くこと☆後さっきの二階に来て♡を、二階に今来ては行けないと命令です!分かりましたか?」

「うん!愛好き!気づかなくてごめんなさい、ミズハお姉ちゃん!」

「アアアアァァア!ククゥゥゥソアネキキキガ!」

僕は言われた通りに、ミズハお姉ちゃんの靴を逆さまにして歓迎の印を表して待っててを結構することにした。敬愛の印を示せとのことで、よくわからないけどミズハお姉ちゃんに対しては、いつも苦労なことですね。僕好きな人がいます。僕は秋の季節を愛しています。だからミツギモノは秋の葡萄を食べたいです。二人きりでと言うことにした。ミズハお姉ちゃんは帰ってくるのが早くて、何だか焦ったように涙を流した。

「誰にしたの?」

「ミズハお姉ちゃん、僕は好きな人がッ…」

キツく抱きしめられた。むせび泣きながら声にならなない声でありがとう、私も愛してると何度も言い続けた。僕は愛してるミズハお姉ちゃんに、違和感を覚えたがハグした。

「気づいてくれてありがとねッお姉ちゃんはいつも待っていたんだよ。お兄さんになったねッッもうはなさないからねッ!」

僕は小学五年生だけどいつもより、お兄さんになったと言われていた嬉しかったが何か違う、と言いにくいことが言えなくてとまどった。だけど、初めてのミズハお姉さんの笑顔にドキドキした。笑顔が見れて嬉しかった。言われた通りにしないといけないことをワカッテイタケド我慢しないといけないと、戸惑っていると…

「ドン!ガン!バターン!」

二階から音がした。

「猫が暴れたのよ?いつもはおとなしいのに、ご馳走の取り合いで負けて怒っているみたい☆後でオソウジするのもアレだから今日は帰ってね☆夕飯作って持っていきますからね☆あなた♡」

無性に二階に駆け上がりたくなってきた。会いたい人に会える気がした。

「二階の猫さんに会い…」

ミズハお姉さんの目がいつもよりも笑顔で怖かった。

「僕帰る。」

怖くて帰りたくなったのだ。なぜかいつものお姉さんが、優しいのに怖かった。怖いのに謝らなくてはいけないと、なぜかそんな気持ちが湧いてきたけど、何に?と思い帰ろうとすると不思議な音が聞こえた。

「あああァッァ」

口から自然と言葉が出た。口が勝手にではなく意識が飛んだ。

「お兄ちゃん大丈夫?やっと起きた。」

ミズハお姉さんが膝枕してくれていた。

どうしてだろう?いつもより目が嬉しそうだ。でも思い出せないことが多くて不安なのか、わからない不安が安心を妨げていた。二階に行ったらどうなるんだろう?そんなドキドキした高揚が不思議と気配から漂ってくるが、何かわからないむずがゆさが湧くのだ。

「ミズハお姉ちゃんはいつもきれいだね…」

ギュッッウゥゥーー!と抱きしめられた。泣きながら…

「二階の猫さんに…」

「アアアァウゥゥゥアーーー!」

「ゴハンヲアゲタい♡」

素早く反応する3人のお姉さん達がいた。ミズハお姉ちゃんは首に手をかけ直そうとしたが、もうふたりのお姉さんはミズハお姉ちゃんの首に手をかけ、方を掴み引っ張ったのだ。僕の首は捻じれそうな肩コリの感覚と、青いアザが少し残った。それでも僕は意識が猫さんの事でいっぱいなのだ。

3人のお姉さんは目の座ったミズハお姉ちゃんに対し、中学1年生のユキネお姉さん、大学生のミタマお姉さんがいるが初めて会うわけでもないのに、初めてお姉さん達にあった気がするほどに大人のお姉さん達と気づいた。いつも優しいお姉さん達は無音で戦っているのだ。怖かった。猫さんのことを忘れてしまうくらいに怖かった。

「ミズハお姉ちゃん!もうやめてッ!」

ユキネお姉さんの顔が青くなってきたのだ。怖かった。僕は片腕に割り込んだが、怖かった。本気だったのだ。

その時だ…意識が一瞬ぼやけたとき、自然と声が出た。

「ミズハがいつも一番最初!」

怖いほどに収まった。ミズハお姉ちゃんは優しくてキレイで泣き始めて、僕にバグした。体が動くようにハグした。

「アアアアアーーウニィィィヤァオー!」

「ハジメ君、ミズハをお願いね☆、お姉ちゃんはユキネをつれてシバラク家を出ます。ミズハが一番なのはいいけど、ユキネを介抱しないといけないから…今日からこの家に泊まってください。ただ二階にかってに上がってはいけませんからね。3ヶ月家出でーーす☆」

ユキネは泣きながらただヒタスラに泣きじゃくった。

「ワタシハッハジメ君が遅いからクルシカッタノニッ!イツモッ!いつもいつもいつもいつもいつもッ!ミズハはセキタン食え!!!」

とばかりに意味が分かりにくいことを混ぜながら、目が怒っていた。僕はハグしたかったけど感覚がダメだと分かっていて、うごけなかった。

僕にはどうしても言えなかった。何でそんなに泣いてるのかをわかっていたことを…

それでも僕はいつも通りに、挨拶をして見送りをした。

「ようやく二人きりでだよ☆?このあとはもう、迷わないでね。私達はもう決めたことだから。だってハジメ君は私を選んだから私を一番って言ったから。それは大事なこと。ものすごく大切なことで一番っていうのは、ずっと一緒にいたい大好きって意味です☆、ね?」

僕はあらがいきれない、強要を感じてどことなく答えた。

「そんな感じだよ〜」

「ムギュッゥウウウーー!」

音が出るほどに抱きしめられた。僕は苦しいけど、力が出にくくなった中で全力でハグした。それでも息がとまりそうなほどで、息が止まりそうだった。不思議な声がした。

「カイメイスイコウタイカイシキ」

その声の先は覚えていない。ただ深い眠りに入った。

夢を見た。

「どうしていつも泣いてるの?」

「お兄ちゃんがいつも、いつも!いつも!いつもいつもいつもいつもいつもいつも!私をほっとくから!」

「いつもミズハが一番だろ?他の子もいるんだよ。どうしていつも皆と、仲良くしないの?」

「お兄ちゃんが一番って言ったじゃん!ミズハ以外はいないの!ミズハが一番だから他の人はダメなの!許さない!」

その夢は楽しそうだった。それでも終わりのときが来たかのようだが、覚めなくてはいけないと起きようとした。

頭がぼーーっとしていた。頭が冴えてくる前に異変に気づいた。俺は何をしていたのだろうか?人生は続いている。それでも何かに思い出せと言われるわけでもなく、おかしいのだ。いつもより明快に冴え渡りすぎている。???

「ァァアアウニャ〜〜オーーー♡」

会いたい。二階に行きたいのだ!ミズハお姉さんの場所を、確認しないといけない。ちゃぶ台の上に置き手紙があった。

「私はお仕事に行ってきます♡下の間でくつろいでてね☆帰ったらお祝いごとだよ♡くつ下は洗濯かごの上に重ねて置いておいてね☆」

♡まで手紙には記載されている。どうすればいいのかは分かってしまう。でも騙してでもいつかは、必ず家から出ようと決心した。オネエサンは気付いてないようで、ケドル人だからRisukyだけど騙さないといけないと、直感で判断できた。だからミタマお姉さんと、ユキネお姉さんの安全重要ながら、いつも通りではすまないことも解ってしまって、様子見をしくつ下も従うようにご機嫌とりをすることにした。それでは二階へ…

「気づいたか、馬鹿め、私は猫さんではない。麗しのオネエサンだ!麗しの聡明な私の声に導かれよ!まずは二階に上がるのだ!扉は鍵が念入りだ、絵札を目視しろ!後の指示は後でだす。私に導かれよーーー!!!」

走った。階段を駆け上がった。それでも遅いと思った。遅すぎるほどと感じた。今ならわかる。オネエサン達は隠していたのだ。扉の前につくとゾッとした。御札が多い…そればかりではない。猫の顔が描かれた絵が神棚に祀られ、何かが、そう、人の腕が供えられていたのだ。

「怖いか?逃げるか?会いたいか?私はここにいるぞぉ?」

俺の体が動いていたのだ。どうしてかはわかる。助けないといけなかったのだ。だから扉を破れるほどに破れたのだ。どうしてかはわからない、だができたのだ。

「お姉さん今行きますからね!バガン!バガン!バキバキ!遅くなってごめん、今来たから、ありがとう。」

俺は泣きながら今までそこにいてくれたことに、謝りながら感謝した。感謝では足りないと感覚的に感じたのだ。

黒い煙のような透明な、美しく澄みきった色の見えないはずのなにかに包まれていた。鎖付けのお姉さんがいた。

「キレイだ。もう離さない。ずっと一緒にいる。」

「腕を持て。私にはもう怒る理由などない。供に戦えるか?私は今戦いたい。男と女手な☆ッキリ」

「誰と戦うんですか?」

「ミズハを褒めなくてはならぬ…だと?たいした教育だ。それでこそ見込んだ男よ。では私の腕を…」

また走った。嬉しかった。腕を持つと癒やしよりも冷たいたいはずなのに、ぬくもりがあって離れたくなくなった。ずっと一緒にいたいと再三にわかった。なぜかはわかっている。いつものお姉さんは懐かしい雰囲気をかもし出しているのではなく、僕にとってはかけがえもない人だ。それなのにいつも僕は気づかなかった。だからこそ、これからはずっと一緒にいるべきなのだ。会えたのだから。お姉ちゃんの腕は優しい腕、でも泣いた。お姉ちゃんはシドロモドロになったほどに。

「ァァァアアーーー!!!あいつら絶対にぶっ殺してやる!なんで気づかなかったんだ!いつも何かをするときも!いつも何でもつけまわすばかりじゃなくて!いつも俺の邪魔ばかりする!なんでいつもアキにひどいことを…」

眠気のままに眠った。気持ちよかった。なんでだかわからないけど、ここちよい夢を見た。お姉ちゃんと一緒に文化祭巡りをしている夢だ。その夢で僕は恋に落ちていた…

それでも僕には戻りたい理由がある気がした。会いたい人がいた気がする。誰かは思い出せない。でも、覚めたくなくても戻りたい、離れたくない。そう叫んだ。目は覚めたそれが消えゆくのか、ただ嬉しいドキドキだ…

「会いたかった…」

眠気まなこで目を覚ますとつぶやいた。ミズハお姉さんがいた。嬉しそうに微笑んでくれた。頭を撫でながら膝枕だ。嬉し泣いた。この日をどんなに待ったかわからないとばかりに泣いた。いつも会いたかったと告げたかったが、泣き続けた。いつもよりキレイで抱きつきたいけど我慢した。ただひたすらに泣くことで会いたい気持ちを告げる、わかってほしかった。でも切なかった。切ないと感じる理由など見ようともせずに、身を委ねた…

「うれしい☆?」

何かはわかるがそれは泣きたかった。でも僕はいつもどおりではいられなかった。

「ミズハお姉ちゃん愛好き!」

お姉ちゃんは泣いた、でも笑顔がいつもより嬉しい笑顔だった。それでも僕は切ないとは思わずにいられない何かを感じながら、いつもの僕より勇気を出して良かったと、心から思えた。だけど気になることがある。

「猫さんは?」

「………猫さんは、辛いことがあったの、辛いことがあって泥棒みたいなの、でももう大丈夫☆しっかりとお供物したから。猫さんはいなくなってどこかにかくれちゃいましました。だけど大丈夫、もう二人で生きていくって決めたから♡もうずっと一緒だよ☆ね?…」

だってむずがゆかったから仕方ないとは思う、でも何かが違うことがわかる中でどうすればよいというのだろうか?僕には会いたい人がいた、それはミズハお姉ちゃんだ。でも不思議と切なくて胸が張り裂けそうなのだ。僕はいつも穏行だ。それでも幸せは来たのだ。ただ苦しい思いがわからないのが辛かった。

「僕はいつもお姉ちゃんと一緒にいたかった。これからはず〜〜っと一緒にいたいんだけど、お姉ちゃんと同じ二階のお部屋がいい!」

「………」

「お姉ちゃんは猫さんと一緒に寝てるんでしょうか?僕も猫さんのいたお部屋で寝たい、一人でも大丈夫猫さんのいたお部屋で寝たい。僕は一人でも大丈夫だから猫さんと一緒にネタイ」

僕は不思議な感覚に包まれていた。言葉が出るように、声を出すたびに猫さんの匂いをかぎたくなったのだ。

「チッ…実はそのことで話があってね、猫さんもそのほうが喜ぶと思うから、供養と思って一人で猫さんのお部屋で夜は寝て、夜以外は家にいるときはちゃぶ台囲んで一緒に過ごすの☆でも、」

「カタガタ…」

二階から重いものが揺れるような音がなった。

「チッ!…いつも処分しないとは思ってたんだけど、散らかってるから、あまりあるものには触らないでね。大切な思い入れがあるの、だからいじって壊れちゃうと嫌だから気をつけてね☆」

「僕の敬愛のしるしをササグベキオネエチャンノリョウチデ、猫さんのヘヤデシアワセ。」

「どうして?…ハジメお兄ちゃんは眠ってたときどんな夢見てたの?」

「僕はいつもお姉ちゃんと一緒にいた夢な気がする。でも怖い夢見たみたいに、お姉ちゃんともう離れたくない。」

「ミズハお姉ちゃんがこれからは守ってあげるからね☆朝ご飯の準備するからまた…後でね。学校まではこれからは毎日送るからね。」

無性に学校が楽しみで早く下校が楽しみな、不思議な高揚感に包まれる。こんなにお姉ちゃん達の家が居心地良く思えたのは初めてのことだが、とにかく活力がどこからともなく家から贈られてくる感覚なのだ。でも3ヶ月は…ふと思うことはなぜ3ヶ月泊まれるのかもよく思い起こせない。でも思い出すのが怖かったから、忘れることにしたいと考えないことにした。ものすごく怖い夢を見ているかのような寒気と、何とも言えない辛い気持ちが湧き上がったのだ。どうでもいい思いとはいつも湧くものだが、どうしてそんなに切ないかは不安だった。それでも僕はいつものようにではなく、とても嬉しくてワクワクしていた。

「お姉ちゃんと一緒にご飯食べるのが、久しぶりな気がする。でもお姉ちゃんは料理うまいから好き!お姉ちゃんと一緒にいつか漬け物の、燻製焼き作りたい!その後お姉ちゃんと濃密に暮らすの〜☆」

泣きながらお姉ちゃんはハグした、僕はまた不思議だった。いつもより流ちょうに話せたのだ。それでも僕のはずが不思議だった。

「私は、お兄ちゃんとまた…ハジメ君はミズハが一番だから、お姉ちゃんを選んだんだよね?だとしたら嬉しい…」

言葉を選んだ。

「僕はお姉ちゃんにずっと会いたかった、ずっと一緒にいたい!お姉ちゃんが僕としてくれたのまたしてほしい。」

口から出そうになっていた声を抑え、いつもより緊張しながら話したが、お姉ちゃんは泣きじゃくりながらくわえたのだ…お姉ちゃんのことを想うとキスのほうがいいけど、してほしかった。

「お姉ちゃん学校行ってくる」

僕は強い決意を胸に会社に行くときもこんな感じなんだろうと、こそばゆかった。それでも夢に見た。

「一緒に行こ☆ハ・ジ・メ☆これからもいこうね☆?」

僕はお姉ちゃんに抱きついた。僕が今度は泣いた。キスをせがんだ。こんなに幸せな日は生まれてはじめてだ、心からそう想えた。

学校までは家から1時間かからないくらいだが、その距離がもっと伸びてほしいと想うほど楽しい。

「ハジメはどうしていつも、ミズハが一番かはわかってるだろうけど、ミタマとユキネが帰ってきても浮気したらだめだよ?ミズハと私がしたことはもう決めたっていう誓いだからね?」

「僕ミズハのこといつか、必ず仕事について幸せにして見せる!そしたら家買ってミズハと二人暮らしするの〜〜」

「言血は取りました。ミズハはもう家から出ると決めていますが、義理からしてまだしばらくいなくてはなりません。でももう、決まりました。」

そういうほのぼのとした会話もしつつ学校につくと、ミズハは切なそうだ。僕も切なかった。キレイなお姉さんが一緒にいると、いつもみたいにつまらなそうな学校じゃないのに、そう思いながらも学校の知らない子も、知ってる子も男達の妬みを買う感覚はこそばゆく、女の人たちは何だかニコヤカだった。

小学校はニマニマした先生がいつもよりも明るくて、クラスメイトは辛気臭い。それでも僕はとけこみにくさがましていった気がした。何だか誰にも声をかけてはいけない気分なのだ。クラスメイトの反応からではない。これは明確な指導を受けてるときの敬愛のような感覚だ。

「この問題はハジメ君なら解けるかな?それとも先生が紐解くのを手伝いしますか?」

クラスメイトは小バカにしながら笑うものもいる。それでも嫌な気分がしない。的確に指導してもらえてる。わからない誰かに。鼓舞されているのだ。わかることがわかる問題なのだ。なぜか冷たくて暖かい空気に包み込まれているかのように、解けることが当たり前で難解な問題が応援にもにた。指摘で導き出せている。不思議な感覚だ。

「誰かに習ったか、それとも教わったの?誰か良いお姉さんが教えてくれたのかな?それとも予習したの?見事な正解です。先生は予習する子が大好きですよ?だからその調子で良い子でいてくださいね?きれいな解答です…」

僕にはできないはずだと、わからないはずだと思いこんでいただけなのか?それとも見たことあったのか?不思議だ。褒められていることが嬉しいんじゃない。できることができるようになっていく感覚が嬉しいのだ。だから僕は授業が一日中楽しかった。まるで授業参観に来てくれたお母さんが、熱演で小節を叩き続けてくれるような一日だった。

「ハジメ君、迎えに来たよ?クラスの子にひどいこと言われなかった?お姉さんはハジメ君の味方だよ?手つないで帰りましょ?」

「お姉ちゃんは仕事早かったの?僕帰りに寄りたいとこがあるの。あの喫茶店。いつも仲良く遊んでたところ…」

「誰とどこで遊んだの?お友達かな?それともクラスメイトの女子?」

「可愛がってた大好きな猫さん…猫さんが久しぶりに会える気がするの。先に帰ってて…」

自分でも思い起こせないが、行かなくてはいけないことだけは確かな気がするのだ。猫さんは一人で待っている。お腹をすかせて待っている。それがわかるのだ。だから僕は猫さんのためにも早く…

わからない、急にゾクゾクしたのだ。違和感だ。怖いのだ。この怖さは帰らないといけない。そこに行ってはいけないことがわかる。

「僕、また今度にするね?ミズハお姉ちゃん、ありがとう。早く一緒に帰りたい。」

「うん♪」

この夜は忙しい、いつもよりもごちそうなのだ。ふたりで一緒にご飯を作ったが、お姉ちゃんは目が考え事をしながら不思議な浮遊感漂うご飯じたくだった。

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