檸檬色の思い出
檸檬。
カリリ、カリっとかじった日。
切ない胸のときめき。
酸っぱさ満点の思い出たち。
あの、檸檬色のワンピースを買った君は、胸にどんな想いを秘めていたのだろう。
どんな時に着るのだろう。
「内緒よ」
唇に人差し指を立て、茶目っ気たっぷりに微笑んだ君。
きっと、アイツの旅立ちの日にお洒落をして見送るのだろう。
酸っぱいなぁ。
青春ってやつは。
枯れたこの僕にはとてもまぶしい。
僕は所詮、君のお目付け役の兄の様な存在なんだろう。
檸檬のデッサンをさらさらと紙に描く。
次のスケッチブックのページには君の横顔を描いてしまっていた。
酸っぱい、檸檬色の思い出。
さらば、僕の初恋の君と檸檬色のワンピースよ。
君の恋が叶う事を、祈っているから。
お読みくださり、本当にありがとうございました。