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貿易事務OLが流通の整っていない異世界に転生したので、経験生かして頑張ります!  作者: きど みい
第三章 貿易の基礎を作っていきます!
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第17話 え、また死んだ?!


その部屋はまるで、ホテルみたいな造りをしていた。決して豪華ではないけどふかふかそうなベッドが置いてあって、照明が適度に暗くて気持ちがスッと落ち着く感じがした。


おじさんは私を抱っこしたまま部屋を進んで、そのままベッドの上にふわっと降ろした。



「大丈夫か?」

「はい…。」



おじさんは誰が見たって怖い顔はしているけど、やっぱりイケおじだ。あの二人よりおじさんと結婚した方がいいんでは?と考えながら、「ありがとう」とお礼を言った。



「少し休んでろ。」

「でも…。」



私だけこんなところでダラダラしている場合じゃない。

そう言おうとすると、おじさんは大きくて傷だらけの手を私の頭にポンと置いた。



「よく、頑張ったな。」

「おじさま…。」



おじさんの口から褒め言葉を聞いたのは初めてかもしれない。それに驚いてしばらく顔を見つめてしまったけど、なんだかおかしくなってすぐに「ふふ」と笑ってしまった。


「おじさま、昔モテたでしょ?」

「そんなことはない。」



いたずら心にそう言ってみると、おじさんは顔を赤くして照れた。いつもの優しいおじさんの顔だと思って、思わず抱き着いた。



「ありがとう、おじさま。」

「うん。」

「また、デート行こうね。」



この10年間、おじさんが帰ってくると私たちはたまに2人でお出かけをしていた。おじさんは私の好きなワッフル(せんべい)のお店とか可愛いドレスの店にいつも連れて行ってくれて、本当の娘みたいに接してくれる。



私だっておじさんのことを、3人目のお父さんだと思っている。今もおじさんに抱き着いていたらなんだか気持ちが安らいでいく感じがして、どんどん眠気に襲われ始めた。



「大丈夫。ちょっと寝てなさい。」

「私…。」

「起こしてあげるから。」



おじさんはそう言って電気を消して、そっと部屋から出て行ってしまった。そのたくましい後姿をボーっと眺めていると、すぐに私の意識は夢の世界へと旅立って行った。






「…ア様。」



何この展開。え?私死んだ?

天使に呼ばれたときと同じじゃない?



「リア様。」



え~~~~、嘘でしょ…!

私を取り合って2人の男が喧嘩するなんて美味しい展開になったのに、また楽しい時に死ぬの?運悪すぎない?お前は何度転生してもまともな恋愛するなってか?



「リア様?」

「うわぁああっ!」



完全に意識が覚めると、私はまだあの部屋の中にいた。目の前には驚いた顔でこちらを見ているメイサがいたから、どうやら私はまだアリアでいられているらしい。



「だ、大丈夫ですか?」

「え、え?私…。」



窓からはまぶしい光が差し込んでいた。死んではいなかったみたいだけど、仮眠を取ろうとしていた私は、うっかり朝まで寝ていたらしい。



「起こしてくれるって言ったのに!」



おじさんが起こしてくれるって言ったから油断して寝たのに!と自分勝手なことを考えていると、メイサは「ふふ」っと楽しそうに笑った。



「王が、寝かせてあげろと言ってくださったんです。」

「じぃじが?」

「えぇ。昨日は大変ご活躍されましたから。」


メイサはそう言って、持ってきてくれたお茶をカップに注いだ。その瞬間ほんのりと甘くて安心する香りが、部屋中に広がった。



「そっか…。」

「カイメルアのお花の紅茶です。落ち着きますよ。」



昨日は本当にいろんなことがあった。

隣国の王様に会って、生意気な提案をして、そして国まで来てほしいとまで言われて…。それだけならまだしも、晩さん会なんてものに参加して、それから…。



「エバンさん…。」

「エバン様は、一晩中この部屋の警護をされてましたよ。」

「ええ?!?」



メイサはどこか楽しそうに笑って言った。私は急に恥ずかしくなって、紅茶へと視線を戻した。



「アル様もです。お二人ともゾルド様に頼み込んでらっしゃいました。」

「頼み込んで…。」

「はい。」


なにか言いたげな顔をして、メイサは笑っていた。

本当は私より年下のくせにからかってんじゃないわよと思っていると、メイサはおもむろに立ち上がってクローゼットを開けた。



「お疲れが抜けきってないとは思いますが…。もうすぐお見送りの時間ですので、お支度をしましょう。」

「え?!もうそんな時間?!」

「ええ。急いで下さい。」


私はそこから急いでシャワーを浴びてメイサに支度をしてもらった。

今日のドレスはお花が咲いたみたいな可憐なピンク色をしていて、それもすごくかわいかった。


「王様からの新しいプレゼントです。」

「さっすがじぃじ。センス抜群だ。」


まるでメイサのキレイな髪の色みたいだって思った。調子に乗った私がその場でくるっと回って見せると、メイサは「お似合いです」と笑って言ってくれた。



「さ、急ぎましょう。」

「う、うん!」


メイサにせかされるがままに部屋を出ると、部屋のすぐ近くでパパが待っていてくれた。私はパパに連れられて馬車リゼルに乗り込んで、急いで港の方へと向かった。

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