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貿易事務OLが流通の整っていない異世界に転生したので、経験生かして頑張ります!  作者: きど みい
第二章 陸路の整備を始めます!
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第48話 結局女子はスイーツに勝てんのだ


「わあ、大きな地図!お家のはもう少し小さいの。」



ちょっと出過ぎたことを言いすぎた気がする。それがプラマイゼロになるわけでもないのに一応子供っぽいことを言ってみると、王様は優しく笑った。



「リアはお家でも地図を見るのかい?」

「ううん、パパが見てるんだよ!」

「なるほどな。」



確かに家で地図は見ているけど、王様の持ってきた地図にはリオレッド王国だけじゃなくて、隣国のテムライムとルミエラスの地図も載っていた。隣にあるっていう事は知っていたけど、こうやって3つ並んだ図を見るのは初めてだ。


これが家にあったらいいなとどこかで考えながら、とりあえずリオレッドのあたりを眺めてみた。



「さあ、地図をよく見ているリアは、リオレッドがどこかってことなんて、よくしってるよね。」

「うん!こっち!」

「じゃあ、ノールはどこだい?」

「ノールはね、ここ。」



王様は私が質問に答える度、その場所に赤いペンで丸を付けた。

港を作ったところで、船が来ないと意味がない。だから港を作る=航路を開拓するってことなんだけど、王様はすでにそれを分かっているようだなと思った。



「どのくらいかかるか知ってる?」

ウマ(スズメ)で行くと1週間くらいかかるって、パパが言ってた。」

「正解。」


王様はそう言って、陸路で行くまでの道を赤く塗った。今までパパが開拓してきた軌跡が、地図に描かれていくようだった。



「ここの街がなんていうか知ってる?」

「ここはね、キルエアール。ここがノバスリーだよ。」

「そう。今、ノバスリーの暴動が一番ひどくなっているんだ。」



王様はノバスリーにバツを書きながら言った。まるで私にいろんなことを学ばせようとしているみたいなだな、と思った。



「ねぇ、じぃじ?」

「なぁに?」



その期待に応えるみたいにして、今度は私からじぃじに話しかけた。

もう遠慮なんてすることはない。対等に接してくれるじぃじに失礼があってはいけないと、私も疑問に思ったことを素直に聞くことにした。



「パパのところにある大きな船は、じぃじのものなの?」

「じぃじのもの、というより、リオレッド王国のものだよ。」



なるほど、国所有の船なのか。

っていうことは、パパは企業をしているというより、公務員みたいなものなんだなと初めて理解をした。



「船はいくつあるの?」

「二つあるんだよ。」

「わぁ!すごぉいっ!」



すごいとは言ったけど、どう考えても少ないと思う。

本当は船がたくさんあれば、それだけ流通も円滑にいく。でもきっと今すぐ船を作るのは、技術的に不可能だ。もしかすると財政的にも不可能かもしれない。

少ないなら増やせばいいというのはきっと一番手っ取り早い方法なんだろうけど、あまり現実的ではないなと思った。



「あのね、じぃじ。」

「うん。」

「パパが、船で行けたらいいって言ったでしょ?だからね、ノールでもキルエアールでも船がおやすみできるところを作れば、船で行けるようになると思ったの。」



じぃじはうなずいて「いい子だ」と言ったあと、またギュっと抱き締めてくれた。そしてまた凛々しい顔になった後、ミアさんを呼んだ。



「明日、大臣たちを呼んでくれ。」

「はっ。」

「あと、ゴードンもだ。」

「パパもぉ?」


凛々しい顔をしているじぃじの顔を覗き込むみたいにして聞いた。するとじぃじは私だけに見せてくれるデレっとした顔をして「そうだよ」と言った。



「船のことはパパが一番わかってるからね。」

「そっか!」



わざとらしくそう言って、子供らしさをアピールしておいた。すると王様は今度は凛々しい顔を私に向けて、「リア」と言った。



「リアも、パパと来てくれるかな。」


はぁ?!?!

大臣とかわけのわからん偉い人達の会議に、6歳呼ぶとか正気の沙汰ぁ?!

全然正気じゃないし、なんなら35歳だったとしても行きたくないし、緊張するし、また殴られるかもしれないし、それにそれに…



「ええ~、お腹すいちゃうからいやだな~。」



やっぱり緊張する場面はいやだ。思わず本音が口から出てしまった。するとじぃじはすごく悪そうな顔をしてニヤリと笑って、「そうだな」と言った。



「報酬はワッフル(せんべい)食べ放題だって思ったけど、リアが嫌なら…」

「いくぅ!!!!」



お父さんお母さん。

こちらの世界で私は、6歳で初めての給料をもらいます。


しかも、給料は、スイーツです。



前世でもスイーツに負けてダイエットが出来ずにいたけど、まさか転生後もそうなると思っていなかった。私は自分自身にため息をつきながら、明日の自分に一応謝っておいた。


誤字報告機能めちゃくちゃ便利ですね、書いている側だと不思議と3回読んでも見つけられない誤字あります。

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