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貿易事務OLが流通の整っていない異世界に転生したので、経験生かして頑張ります!  作者: きど みい
第二章 陸路の整備を始めます!
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第35話 こわ顔おじさんの本音


こわ顔おじさんを見つけた瞬間、ジルにぃに駆け寄っていたはずの私の足はピタリと止まった。するとメイサが私に追いついて、「リア様、どうされました?」と言った。


何も言わない私を見て、メイサも前を見た。そしてその目におじさんの姿をとらえたみたいで、メイサも勢いよく挨拶の格好に入った。



「お初に目にかかります。メイサ・グロリアと、申します。」



メイサもさすがに動揺していた。そしてメイサだけじゃなく動揺した私は体が石にされたみたいに固まってしまって、挨拶すらできずにいた。


「リア様。」


そんな私にかかった魔法を解くみたいに、メイサは背中を押してくれた。それを合図に私もメイサと同じように膝をおってこの世界流のお辞儀をして、「お久しぶりです」と言った。



「お父様、おかえりなさいませっ!」



クソガキ・アルも、さすがに礼儀正しく言った。するとおじさんは「うん」とだけ言って、その後ろからジルにぃが「ただいま」と優しく言った。



「メイサ、急な頼みごとを聞いてくれてありがとう。」



こわ顔おじさんは、怖い顔をしたままメイサに丁寧にお礼を言った。それが意外で目を丸くしておじさんをみていると、今度はおじさんが私に視線を落とした。


「…きゃ。」


やっぱり肉食動物にみられたみたいに感じた私は、思わずメイサの陰に隠れた。するとジルさんはおじさんの肩をポンと叩いて、「それじゃ怖がられるよ」と言った。



「ごめんね、リア。うちは男ばかりだから、父さん、女の子にどう接していいかわからないだけなんだ。」


ジルにぃはそう言って、私の方に近づいてきた。私はそっとメイサの陰からでて、ジルにぃにいつも通り抱き着いた。



するとジルにぃは私を抱き上げた。そして私にしか聞こえない小さな声で「本当はね」と言った。



「父さん、本当はリアと仲良くなりたいんだよ。」

「そう、なの?」



ジルにぃはにっこり笑って「うん」と言った。



なんだこのおじさん、天使の私に緊張してんのか。



今までは怖く見えていたのに、ジルにぃにそう聞くと、いっきにチョロいおじさんに見えてきた。ジルにぃは私を抱いたままおじさんに近づいて言ったから、私は「抱いて」と言わんばかりに、おじさんに向けて両手を広げてみた。



するとおじさんはすごく遠慮がちに両手をひろげて、私を受け取った。近くで顔を見てみると確かに頬が赤くなっている感じがして、私の緊張も一気に解けた。



「ゾルド、おじさん。」



私はこわ顔おじさん改めゾルドおじさんの名前を初めて呼んで、ジルにぃにしたみたいにギュっと抱き着いてみた。するとおじさんの手も私をギュっと抱き締めてくれて、お互いの誤解がとけていくかんじがした。



「お庭、キレイだね!リア、ここ大好き。」

「そ、そうか…。」



おじさんの顔を近距離で見ていうと、おじさんはさらに照れた顔をした。後ろでジルにぃが聞こえないように笑っていて、それを見て私もおかしくて笑ってしまった。



「いつでも、遊びに来るといい。」

「ほんと?やった~!おじさんも今度、一緒に遊ぼうね!」



おじさんは「ああ」とあっさりとした返事をして、私をそっと下におろした。私がおまけのファンサービスと言わんばかりにおじさんのほっぺにキスをすると、おじさんの顔は見るからに真っ赤になっていった。



「俺はいく。お前らは好きにしろ。」

「はっ。」



おじさんは見るからに照れ隠しをしながら、家の中に入って行ってしまった。私とジルにぃはそれを見てクスクスと笑ったけど、周りの大人たちとアルはすごく驚いた顔をしていた。



「あ、そうだ。ジルにぃ。」



そして私には、もう一つすることがあった。

目的を果たすため、私はジルにぃを呼び止めて、しゃがんでと合図を出した。



「あのね、レオン兄ちゃんがね、メイサのこと、好きなんだってさ。」

「ふぅん。」



一番頼れそうな人に、私はそう耳打ちをした。するとジルにぃは分かりやすくニヤッと笑って「わかった」と言った。

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