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あとがき

ちょうど新型コロナウイルスが蔓延し始めた頃、外に出られなくなった映画好きの私は、某大手通販サイトでプロジェクターを購入しました。


夜9時頃突然思い立って注文したのですが、次の日の午前中にそれは私の手元に届いていました。(プライム会員の恩恵)



物流に携わる者として、それはとても驚くべきことです。受注から出庫、そして配送業者への受け渡しや配達。この一連の作業がたった12時間以内に終わってしまう。そしてそれが当たり前のように受け入れられている。



それが今の物流システムなんです。でもそのシステムが出来上がるまでには、私も想像がつかないほどたくさんの人々が流通を円滑にしてくれた経緯があるはずです。



書いている途中でこんなコメントをいただきました。

”物流に関してのみこれだけ乏しい設定はおかしい”と。


私も確かにそうだと思いました。自分でもこれでいいのかな?と思ったこともあります。


でもこうも思います。

例えば私がまだウマを使って物を運んでいた世界に産まれていたとして、”運賃”という概念を思いついただろうか。拠点を作ってそこから枝分かれするように配達をしようなんて、思いついただろうか。


答えはわかりません。だって私はそれが当たり前の世界に産まれたんだから。

でもその”当たり前”は、たくさんの人々が作り上げてくれたことであって、本当は”当たり前”なんかではない。




"鹿間菜月"は、まさに私です。

大学時代英語を少し勉強し、いつか英語を使ってバリバリ営業する!なんてことを夢見ていました。



しかし私はその厳しさに気が付いてそれを断念。

全く別の仕事で何とか内定を得ましたが、その会社で貿易の席に空きがでて、偶然物流部の貿易課に配属されることとなりました。



当時貿易の知識なんて一切ない私を、英語が少しできるからという理由で会社はそこにあてがってくれたわけですが、最初は私も「え?物流部?貿易?何それ?地味。」という印象でいました。



確かに物流は、花形の仕事ではないです。

きっと学生さんたちにアンケートしても、「何をしているの?」という回答が一番多い事でしょう。



でも本当はどんな商売にもなくてならない大切なものだと、仕事をしてみて思います。



私が今愛用しているプロジェクターだって海外製のものだったので、どこかで誰かが輸出手続き、そして輸入手続きも行ってくれたんでしょう。

そしてどこかのだれかが保管してくれて、私が欲しいと思った12時間後には誰かが私の手元に届けてくれました。




小説の中でアリアは言いました。"道は希望も運んでいる"と。



小説を書き始めてから、私自身、本当にそうだと実感しました。あの日運ばれてきたのは、確かにプロジェクターだけではなかったから。


そして私はそんな自分の仕事に誇りを持っています。

たまたま配属されただけの私ですが、今は小説にしてしまうほど自分の仕事が好きなんだと思います。笑




まだまだ自粛が続く世の中で、きっとこれからも物流の需要は高まります。大きく言うならウーバーイーツだって、一つの”物流”なんです。



需要が高まったとはいえ、物流が花形の仕事になることはないのかもしれません。


それでもこの小説家を読んでくださった方が、物を運んでくれている誰かに、どれだけでも早く希望を届けてくれた誰かに、少しでも注目するきっかけになりますように。


そして海外の方と仕事がしたいと希望を持っている誰かが、少しでも貿易に興味をもってくれますように。


そんな大きなことを言うのは生意気かもしれませんが、この小説が少しでも誰かの何らかのきっかけになっていれば嬉しいです。



私もアリアのように、誇りをもって誰かの希望を運びたいと思います!



思いのたけを語るうち、あとがきが長くなりました。すみません。



ここまで長編の作品を書き上げたのは初めてでしたが、読んでくださる方がいてくださったおかげで完結まで書き続けることができました。


それでは次回作でも皆さんにお会いできること、願っています。

もう転生はさせないって思っていたはずなのに、また主人公のOLを転生させるのか、コメディをかいてみるのか迷っているっていう匂わせだけしておくことにします。(どちらになってもぜひ読んでね)



最後までご愛読いただき、本当に本当にありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 続きが読みたくて、眠れなくなるぐらい面白かったです。☆彡
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