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貿易事務OLが流通の整っていない異世界に転生したので、経験生かして頑張ります!  作者: きど みい
第二章 陸路の整備を始めます!
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第18話 それでは営業所づくり、張り切って行ってみよう!


「パァパっ。」

「リア、おはよう。」



朝目覚めると、パパは早く起きてもう仕事をしていた。パパが家でしている仕事は、ほとんどが配送の人員配置と計画を立てる仕事だ。営業所を作って経路を整備しさえすれば、この負担だってなくなるはず。


私は今日もパパにヒントを与えるべく、地図を眺めているパパの膝に座った。



「パパ?」

「ん?」

「こうやってポチのお友達たちが、荷物を運んでるの?」

「そうだよ。今まではパパたちの手でやってたけど、リアのおかげで1日でいろんなところに行けるようになったんだ。」


パパは地図を眺めながら、私の頭を撫でた。



パパ、私たちの道のりは、まだまだこれからなのよ。


これから私はもっともっと、優秀なパパを動かしてこの国の運送を発展させるつもりだ。その第一歩として営業所を作る事を提案しないといけないんだけど、それを伝える方法が、なかなか浮かばなかった。



私はまだ4歳。

4歳児が急に「街に拠点を作って、まずはそこに荷物を集めて振り分けた方が効率よくない?」とか言い始めたら、ちょっとやばい子だって思われかねない。



地図を眺めて悩むパパと一緒になって、私は頭を抱えた。


ん~…。

早く大きくなりたいわあ。そうしたらもっと、伝えるのも楽になるのにな~。


せめて15歳くらいになったら、それくらいのことを言い始めても頭のいい子ととらえてもらえるだろうか。


私はパパが作った小さなウマ(スズメ)の模型を2つ持って、両手で地図の上で動かしてみた。



この模型、地図のわりにでかくない?パパ。



多分、手で運ぶところとウマ(スズメ)を使うところを分かりやすくするために作ったんだろうけど、どう考えでもデカすぎる。パパは見た目のわりに器用だし芸術性も高いと思うけど、これ以上小さくは出来なかったんだろうな。


地図の上を窮屈そうに走るウマ(スズメ)をみて、私はクスッとひと笑いして、ウマ(スズメ)を動かし続けた。




――――大き、すぎる…。それだ!


地図のわりに大きなウマ(スズメ)を動かしていると、私の頭には一つ名案が浮かんだ。


私って、実はめちゃくちゃ賢いかもしれない。


失敗するかもしれないけど、自分自身を褒めながら、私は半分賭けの気持ちで「パパ?」と話しかけた。



「ん?どうした?」

「こんな小さいところ、ポチのお友達2人も通ったら、狭そうだね?」


相変わらず地図の上にウマ(スズメ)を動かして、パパに言った。するとパパは「ハハハ」と大きな声で笑って、大きな手をポンと私の頭に乗せた。



「リア。本当は道はもっと広いんだ。」

「そうなんだ!ならよかった!」



パパの顔を見てにっこり笑って言った。するとパパはニヤっと顔を崩して笑って、「リアは優しいな」と言ったけど、私は心の中でもっとニヤっとしていた。



パパ、よく聞くんだよ。



「狭いならこうやってタッチしていけばいいのにって思ったけど、広いなら二人で行けるね!」

「そうだね、タッチしていけば…。」



パパは私のセリフを聞いて、一瞬固まった。



そう!そうよパパ!いい調子!

気が付いて!気が付くの!



私も心の中ではうるさく応援しながら、パパの次の言葉を待った。



「そうか。分担、すればいいのか。」




やっぱりうちのパパは、最高にビジネスセンスがあるみたいだ。こうやって私がアシストを出したところで、頭が悪ければ気が付いてくれない。



考え込んだパパの表情をジッと見ながら、私はさっきよりニヤニヤして、心の中で大きくガッツポーズを作った。



「それだ!そうしたらもっと…。なんでそんなことに気が付かなかったんだ!」

「パパァ?どしたの?」



ふっふっふ。

パパ、今度もあとはよろしく頼むからね。



「リア…お前は本当にいい子だ。」

「うん!リアはいい子!」



力強く抱きしめてくれるパパを抱き返して、私は本格的に悪い顔で笑った。


どこかでまた文明が発展する音がした気がして、"文明開化の音がする"って、もしかしてこういう事かと考えた。


そういう意味かどうかはよくわからんけどな。



「アシュリー!ちょっと出てくる!」

「え、どうした?何かトラブル?」

「トラブルどころか…またリアのお手柄だ!」



ママが不思議な顔をしている間に、パパはポチママに乗って街へと行ってしまった。



「どうしたんだろうねぇ?」

「パパ、変なの~!」



本当はついていって聞きたいくらいだったけど、さすがにそこまではできないし、きっとあの人なら大丈夫だ。

私は子供らしく無邪気にパパに手を振って、すべてをそのその大きな背中に託すことにした。

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