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貿易事務OLが流通の整っていない異世界に転生したので、経験生かして頑張ります!  作者: きど みい
第一章 流行りの転生、しちゃったみたいです
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第2話 急にイケメンに好かれるとか逆に無理

「菜月、こっち!」

「ごめんごめん、遅くなった。」



こういう日に限って、仕事が長引いてしまう。

本当は早く終わらせて化粧を直してから来ようとしていたのに、仕事終わりのぐちゃぐちゃな状態で来る羽目になってしまった。



「ね、私大丈夫?よれよれ?」

「う~ん、多少。今なおしなよ。」



とりあえず祥子との集合場所にはたどり着けたはいいけど、祥子が微妙な反応をしたから多分よれよれだったんだと思う。せめてもの礼儀にとファンデーションだけササッとなおして、急いで会場へと向かうことにした。



「すみません、遅れました!」



会場にはすでに、4人の男性と祥子の会社の同僚という2人の女性が着席していた。急いで来たせいでより崩れてしまった髪の毛を手で少し整えながら、空いている席へと座った。



「何飲みますか?」

「えっと、ビールで。」



こういう時本当は「カシスオレンジで!」とかいうのが正解なのだろうか。

本当はそう言おうとしていたのに、急いでいた私の口からはいつも通りの"ビール"が出てきた。


やばいと焦りながら横をみると、祥子の元にはさっき頼んだであろうレモンサワーが到着していて、他二人の女性のところにも、カルピスサワーとカシスオレンジが到着した。



―――おい祥子。

   お前もいつもビールじゃないか。




「それでは、乾杯。」



文句を言っているうちに男性4人と私のところにビールが到着して、とりあえず乾杯をした。そしてお約束と言わんばかりに自己紹介を終えて、そのあとはテキトーな雑談タイムが始まった。



「祥子さんは受付されてるんでしたよね。」

「はい。そこで立宮さんと知り合いまして。」

「なるほど。アイツもやり手ですね。」



大企業のビルの入り口で受付の仕事をしている祥子は、今回男性側の幹事である立宮さんに声をかけられたらしい。立宮さんは見るからにイケイケの銀行マンって感じで、私の人生に金輪際関わりのなさそうな見た目をしていた。



「菜月さんは、お仕事何されてるんですか?」

「貿易事務を…。」



昔の私が思い描く仕事にはついていないけど、だいたいこういう場面で素直に仕事を答えると、"かっこいい"と言ってもらえる。別にかっこよくも何でもないんだけど、島国日本で生まれ育った私たちの中には、英語コンプレックスを抱えている方も多くて、そういう人にとって"貿易"というワードは"かっこいい"ものになるらしい。



「すごいですね。海外の方とやりとりされるんですか?」

「はい、多少はします。」

「かっこいいですね。」



ほらきた。

どう考えてもメガバンの銀行員の方がすごいに決まっているのに、目の前の男だって目を輝かせてそう言ってくれる。


別に人にかっこいいと言われたくて仕事をしているわけでもないんだけど、やっぱりかっこいいって言ってもらえると嬉しくなる。


そういう瞬間がある度この仕事についてよかったなと心では思いながら、「そんなことないですよ」と謙遜しておいた。





しばらくそのまま無難に会は進んで、テキトーに席がミックスされ始めた。

立宮さんは祥子を狙っているみたいで、ずっと二人は仲がよさそうに話していた。



「菜月ちゃん。」



こんなことなら合コンなんてせずに二人でデートにでも行ってこいやと悪態をつきながらビールを飲んでいると、一番端にいた男性がいつの間にか目の前に座っていた。



「あ、はい。」



私を馴れ馴れしくちゃん呼びで呼ぶ男の名前を、私は完全に忘れてしまった。

男はがっちり固められたツーブロックの髪型に、ほんのり香水をつけている香りがしてきて、どう考えてもこの人も私の人生には全く関わりがなさそうな人間だった。



「俺の名前、覚えてる?」

「え、えっと。」

「だよね。」


男はクスクスと笑って、持ってきたビールを飲んだ。

「すみません」と小声で言って自分もビールを飲むと、男はにっこりと笑って「南出 修司みなみでしゅうじって言います」と、丁寧に自己紹介をした。



「いい飲みっぷりだね。」


南出さんはニコニコと笑って、ビールを飲む私にそう言った。

なんだか急に恥ずかしくなって「すみません」と謝ると、南出さんは「謝らないで」と笑った。



「褒めてんの、純粋に。」

「はあ。」



そんなわけあるかい!

と内側の私が言っていたけど、外側の私は完全に笑顔にやられてしまっていた。


多分私より多少年上の南出さんは、今までどうして結婚していなかったのか不思議になるくらいのイケメンだった。ってことは多分もれなくチャラいんだろうなと、私のセンサーが反応した。



「仕事は貿易だっけ?」

「あ、はい。」

「大変だよね、海外のお客さんの相手は。」



南出さんはすごく分かった風に、そう言った。どうしてだろうと首を傾げていると、「あ、俺外資なの」と言った。



「こいつらは俺の元同僚。今は外資の銀行員なんだよね。」

「な、なるほど…。」



この人はよりによって、私が憧れていたような仕事をしているイケメンだった。そのイケメンがニコニコと明らかな好意を持って自分に寄ってくることが信じられなくて、終始気持ちをぜんぶ見透かされているみたいで逆に無理だった。



「じゃあ2次会行きますか!」



それからしばらく南出さんに尋問みたいに質問をされた後、1次会が終わった。みんなそれなりに楽しんでいるようだったから全員で2次会に行くことになって、私は南出さんを警戒しつつも、しっかりと参加することにした。

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