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貿易事務OLが流通の整っていない異世界に転生したので、経験生かして頑張ります!  作者: きど みい
第三章 貿易の基礎を作っていきます!
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第48話 ルミエラスにレッツゴー!


1週間ウマに乗り続けていると、お尻が割れるかと思うくらい痛くなった。いや、割れてるけど。

それに加えてテムライムの人たちに気を使わなきゃいけないし、それにアルとエバンさんもなんだかずっとバチバチしていて、こんなんでルミエラスで商談なんて出来るのかって思った。



「やっとついたぁ~。」

「何言ってんだ、ここから船でまた2日だぞ。」



ノールに着いて少し安心している私に、アルが余計なことを言った。思わずギロっとにらむと、アルは「なんで?」って顔をしてそこに立っていた。



「今日は遅いから、一旦宿舎に入りましょう。明日改めて、船でルミエラスへ向かいます。」

「はい。」



団長みたいな役割をしているウィルさんの号令で、私たちは宿舎に入った。

私は明日から始まる遠征のためにさっさと布団に入って、次の日に備えることにした。






「リア、乗れそう?」

「はい、大丈夫です。」



私たちを迎えに来てくれた船は、いつも見ている船の半分くらいのサイズしかない小型船だった。なんでもルミエラスで使われている人を運ぶ用の船らしく、リオレッドのものよりずっと頑丈そうに見えた。



大丈夫かなんて聞かれたけど、階段だってリオレッドの船よりずいぶん安定していて、足元に安定感があった。



船一つで技術が発達していることを感じると、今まではどうして交流をしていなかったのか疑問に思える。



「ウィルさん?」

「ん?」

「どうしてルミエラスとの交流までこんなに時間がかかったのかしら。」



今まで何度だって打ち合わせをしてきたはずなのに、根本的に大事なことを聞いてなかったことに気が付いた。するとウィルさんは「そうだね」と言って、少し困った顔で笑った。



「単純にレルディアから遠かったってのもある。」

「なるほど。」



レルディアはリオレッドの首都だから、すべてはレルディアから始まる。どこかの国と国交を結ぼうとした時、レルディアから近いところとまずやり取りをしようって思うのが普通なのかもしれない。


でも理由はそれだけじゃない気がする。そんな気がした私は、黙ってウィルさんの言葉の続きを待った。



「あとはやっぱり昔の戦争の名残かな。テムライムとだって数年前までは同じ状況だったはずだ。それを変えたのはゴードンさんやリアだろ?」


テムライムとの関係を変えたって言われると、大げさな話だと思う。それを始めたのはじぃじだったんだろうから。

でも少しはその手助けになれていたんだとしたら、それは本当にうれしいことだ。ウィルさんが言ってくれた言葉を素直に受け取って、「そうかな」と言った。



「それに僕たちの国は、島国だ。だから多少閉鎖的な国民性をしているだろうし、もしすべてが国内でまかなえるとしたら、危険を冒してまで他の国とやり取りをする必要なんてないだろう。」


あ~わかる。

日本が昔鎖国してたのも、きっとそういう意味もあるんだろうから。


島国ってどうしてもそういう国民性になるよねと、人生2回も島国で生きている私が証明してあげようかと思った。


「でもテムライムとリオレッドの交流を見ていて思う。お互い足りないところを補い合ったり助け合ったりすることで、もっといい国が築いて行けるって。それをルミエラスの人たちも気が付き始めた。ただそれだけだよ。」

「なるほど。」


一つの国で生活が成り立つなら、リスクを冒して商売なんてする必要もないのかもしれない。でもリスクを冒したってもっと生活が豊かになるんだとしたら、やるべきことがあるということを一番よく分かっているのは、私たちリオレッドの人々と、そしてテムライムの人たちなんだと思う。


分かりやすいウィルさんの話に「なるほどな」ってうなずいていると、横でウィルさんが「ふふふ」と優しく笑う声が聞こえた。


「最初は僕が留学をするのだって一苦労だったんだ。僕が父さんに頼み込んで、父さんがルミエラスの大臣に頼み込んでくれたんだよ。」

「どうしてそんなにルミエラスに行きたかったの?」



エバンさんは私を「初めて色んなことに挑戦する人」だと言ってくれたけど、ウィルさんには負けそうだと思った。すると私の質問を聞いてウィルさんはにっこりと笑って、「いい質問だ」と言った。



「昔ね、父について行ったんだ。ルミエラスに。そりゃ衝撃だったよ。色んなことが。」

「色んな、こと?」



「何が?」と思って聞くと、ウィルさんはそんな私の頭にポンと手を置いた。



「行けば分かるよ。きっとリアも気に入るはず。」



この賢くて優しい人を魅了する国ってどんな国なんだろう。

疲れるとか行きたくないとか緊張するとかそんなことばかり気にしていたけど、私はどんどんルミエラスに行くのが楽しみになり始めた。



――――さあ、リア。

     2か国目の海外旅行よ。



気合いを入れなおすためにも、もう一度ルミエラスのある方向を見つめなおした。まだ見えてすらいない初めての国でも、きっと人のためになってみせるぞ。そして美味しいスイーツを食べるんだと、余計な決意も一緒に固めた。

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