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貿易事務OLが流通の整っていない異世界に転生したので、経験生かして頑張ります!  作者: きど みい
第三章 貿易の基礎を作っていきます!
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第46話 この世界でも私は晩婚らしく。


「今度はルミエラスに?!?!?」



帰ってママに報告すると、大きな声でそう言った。耳が痛くて思わず両手で両耳を抑えて「だって」と言い訳の姿勢をとった。



「パパが悪いんだよ。私何も悪くない。」

「パパが…?」

「うん。パパが私を代わりに行かせるって言ったらしい。」



それを聞いて鬼の表情になったママは、持っていた包丁をまな板にトントンと打ち付け始めた。私とティーナは目を合わせて、その恐怖を分かち合った。



「あなたもいい年齢なのよ。そろそろ家庭に入って子供も産んで…。私だって孫の世話をしたいの!リマちゃんなんてもう2人目を…。」



リマちゃんってのは昔よく遊んでくれた近所の同い年の子で、16歳に早々に結婚した。そして最近2人目を妊娠中らしく、ママはその話をいつも繰り返ししてくる。



「カルカロフ家のお坊ちゃま!もう一人お帰りになったんでしょう?」

「あ、うん。今日お会いしたわ。ルミエラスにも一緒に行くの。」



まるで私の頭の中を覗くようにしてママが言ったのに対して返事をすると、ママはパァッと明るい顔になった。



「ウィル様は昔から賢くて利口なお子さんだったわ!いいじゃない!」

「ねぇ、ママ。お仕事しに行くんだよ、お・し・ご・と!それに文句はパパに言ってって言ったでしょ?!私だって断れなくて行くんだよ!もう!!!」



エバンさんと文通してること知ってるくせに、そうやって言ってくるってことはやっぱり結婚させたくないんだろうか。


みんな勝手なことばっかり言って私の気持ちなんてぜ~んぜん考えてくれないと怒って部屋に向かうと、ティーナが「リア様…」と控えめに私を呼んだ。



「ティーナ、ごめんね。また一緒に行ってもらうことになると思うけど…。」



私のルミエラス行きは、ティーナのルミエラス行きに等しい。自分も勝手なことを言っているとやっと気が付いて謝ると、ティーナは「とんでもございません!」と言った。



「リア様には感謝してもしきれないほどのものをいただいております。謝らなければいけないのはこちらの方です。」



私がティーナにあげたものなんて、新しい部屋と動きやすいテムライムのドレス、あとはここでの生活くらいだ。


でもそれはすべてティーナが一生懸命働いてくれているからんだけどなと言おうと思ったけど、ティーナはもっと謙遜してしまうだろうからいうのをやめた。



「ありがとう。」



ごめんの代わりにそう言うと、ティーナはにっこり笑った。

その笑顔を見ていたら、文句なんて言わずにちゃんと頑張らなきゃなって、やっと思えるようになり始めた。




あの後パパはこっぴどくママに叱られたらしい。私にも「ごめん」と謝ってきたけど、「許さない」って怒っておいた。



「リア、これがリストなんだけど…。」

「う~ん、そうですね。このくらいでいいかと。」



そして気持ちを切り替えた私は、あれからカルカロフ家でよくウィルさんと話し合いをしている。ウィルさんは本当に賢くて物分かりがいい。ウィルさんを騎士じゃなくて頭脳として育てたゾルドおじさんの判断は、本当に正しかったと思う。



「いよいよもうすぐだね。」

「はい。またしばらくワッフル(せんべい)が食べられないから食べておかなきゃ。」

「ごめんね、いつもリアばかり。」



そしてその上優しい。気も使える。もしエバンさんと出会ってなければ好きになってしまっていたかもしれない。



「おい、デブリア!ワッフル(せんべい)買ってきたぞ!」

「こら、アル。そんな呼び方するな。」



それに対してここの三男ときたら、本当に子供のころから変わらない。今回も護衛はジルにぃにしてもらいたかったのに、結局アルが行くらしくて、私は盛大にため息をついた。



「警護担当はジルにぃが良かったのにな~。」

「おい、ワッフル(せんべい)あげねぇからな!」

「ウソウソ、ちょうだい。」



今だってこうやってワッフル(せんべい)をわざわざ買ってきてくれるんだからアルだって優しいはずなのに、口は全く素直じゃない。私は「ありがと」と言いながらワッフル(せんべい)を受け取って、悲しい目でアルのことをみた。



「そんな風にしてると、女の子にモテないよ?」

「うるせぇ。お前が思ってるより俺はモテる。」



確かにアルはすごくモテる。

普段外ではこの性格を隠して大人しくしているおかげか、ファンクラブみたいなものまであるらしい。



「あんたも早く結婚しな?」

「お前にだけは言われたくない。」



確かにそれもそうだ。こんな低レベルな争いなんてすべきじゃない。


私は美味しいワッフル(せんべい)を食べながらもう一回大きくため息をついて、私とアルのこれからの人生のことを、一応心配しておいた。

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