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貿易事務OLが流通の整っていない異世界に転生したので、経験生かして頑張ります!  作者: きど みい
第一章 流行りの転生、しちゃったみたいです
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第1話 私、貿易事務OLです!

私は昔、海外のドラマや映画が大好きで、暇さえあれば面白そうなものを探してみていた。

見ているうちに画面の中に広がっている異世界みたいな場所にあこがれて、いつか自分の世界とは違う、どこか違う世界の青い目をしたイケメンと恋に落ちたいとか、世界を相手にしてバリバリビジネスがしたいとか、そういうことを考えていた。




でも現実は、そううまくはいかなかった。

大学生になって憧れを叶えるべく半年間留学はしてみたけど、思い描いていたみたいに英語がペラペラにはならなかった。本人の努力次第なんだろうから、私の努力が足りなかったって言われればそれを否定することは出来ない。



「鹿間さん、これ手配よろしく。」

「はい。」



それでも私は、英語を使う仕事についた。

昔の私が想像していたのは、多分外資系の企業に入って海外の社員ともペラペラおしゃべるする自分の姿だった。でもそうはなれなかったから、海外のお客さんとか業者の人と英語を使うけどメールでのやり取り程度にとどまる貿易をすることにした。



「これ、船遅れてますね。」

「まじ?じゃあ日付変えるか。」



今の会社は資格のない私を拾ってくれたから、会社に入ってから一生懸命貿易のことを勉強した。しっかりと資格を取ることは出来たけど、知識を使わないと色々と条件が複雑すぎて、それもすぐに忘れてしまう。



あのころ思い描いていた姿とは違うかもしれないけど、会社に恩を返すためにも、私はそれなりに毎日勉強しながら頑張っている。



――――そう、私は真面目なのだ。




「んじゃこれで。」

「はい。」



そんなこと自分でいう事でもないかととりあえず自分に言い聞かせて、今日も目の前の仕事に必死に励んだ。





「今日もお疲れっと。」



一人暮らしを始めて早10年。

独り言を言うのも何の抵抗もなくなったみたいで、自然と言葉が出てくる。



アラサーになったのに彼氏もなし。もちろん旦那もなし。


それで独り言を言いながら夕ご飯に晩酌をしている女は、人の目にはむなしく映るんだろうか。


人に何と言われようが、私は今の生活に満足している。

毎日仕事に行って帰ってビールを1缶飲みながらご飯を食べて。そしてたまには友人と飲みに行ったりランチに行ったりして、旅行にも行ったりして。



そりゃ私だっていつか家庭を持ちたいとは思っているけど、周りが思っている以上に焦りはない。



もしかしたら一番それがやばいところなのかもしれないけど、焦ったってろくなことがない事は約30年の人生をかけてよく学んできたつもりだ。


田舎の母には心の中で"ごめん"と謝ってはみたけど、学習することなく今日も好きな韓国ドラマを一人で楽しんで、頑張った自分を褒めてあげることにした。



「ん、祥子だ。」



するとその時、大学時代の友達である祥子からメッセージがきた。祥子は独身友達の中の一人で、たまに飲みに行って私のストレスを緩和してくれる友人でもある。そんな祥子からのメッセージを何気なく開くと、それは合コンへの誘いだった。



「合コンかぁ。」



相手はメガバンクの銀行員だという。

アラサーになって合コンの機会すら減ってきたから行ったほうがいいことは百も承知なんだけど、なかなか気が進まない。


だって合コンから付き合って、結婚したという話なんてほとんど聞いたことがない。何度も参加してきたから、その場のノリだけで終わってしまうことがほとんどだって、私だって、たぶん祥子だってとっくの昔に気が付いている。



「でもまぁ…。」



でもここで断っていては余計に良くない気がする。

いつか結婚したいと思っているなら、たまには男性と接する機会を作っておいた方がいいと自分自身に言い聞かせて、「行かせください」とわざとらしく丁寧な文章を返信した。

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