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第132話 俺の花嫁だ!

※ ごめんなさい。132話の内容を間違って、次話の133話の内容を掲載していました。

  2025/10/21 17:05から修正しましたので、改めて132話をご覧ください。


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挿絵(By みてみん)

 花嫁と称すには、アストリアの扱いはぞんざいだった。

 剣帝ヴァルトはその喉元を潰し、さらに長い指で頬を掻く。

 ゆっくりと自分の顔に近づけながら、アストリアの銀髪を撫でた。


「ああ。やっぱり美しい。アラムの髪とは断然違う」


 さらにヴァルトは顔を近づける。

 鼻をひくひくと動かしながら、アストリアの銀髪に近づいていった。


「ああ。何よりこの香り……」


「離れろ」


 気が付けば、僕はヴァルトの後ろにいた。

 拳を【閉めろ(ロック)】し、大きく振り上げる。

 身体の限界を【開け(リリース)】し終え、攻撃に転じる。

 僕の視界に、アストリアを陵辱するヴァルトしか見えていなかった。


 剣帝だとか、圧倒的な力量とか関係ない。

 アストリアが傷付けられている。

 人ではなく、物のように扱われていることに、僕の心は一瞬で沸騰した。


 ドンッ!!


 ヴァルトの頬を殴る。

 僕の頭3つ分は大きい巨躯がくの字に曲がると、吹き飛んだ。

 【風砕(エア)螺旋剣(リーズ)】ですら、涼風のように受けた剣帝が戦場を何度も転がりながら、やっと止まる。


 気が付けば、剣帝ヴァルトは自分の城を背にしていた。


 アストリアは無事だ。

 喉を押さえながら、何度も咳き込んでいる。


 僕はアストリアを守るように背を向く。

 城に背を向け、意識があるのかないのかわからない剣帝ヴァルトに叫んだ。


「何が花嫁だ。花嫁の首を絞める奴がどこにいる。そもそも彼女はお前の花嫁じゃない!」



 俺の(ヽヽ)花嫁だ!!



「気安く触るな!!」


「ゆ、ユーリ!?」


 戦場がしんと静まり返る。いや、元々静かだった。

 剣帝ヴァルトが、何者か不明の少年に吹き飛ばされたのだ。

 そこに「花嫁宣言」……。


 最初の静けさとは違う静寂が、戦場に響いていく。


 一方、自分が言った言葉の重大さも理解することなく、ひたすらヴァルトを睨む。

 はっきり言って、足りなかった。

 アストリアを傷付けた。

 首を絞め、あまつさえ髪に触った。


 昔、母さんは言っていた。

 髪は女の命だと。


 僕は知っている。

 あの美しい銀髪を保つために、アストリアは毎日こっそりトリートメントしていることを。


 銀髪はエルフにとって命であり、誇りだ。

 そしてアストリアを送り出したご両親との絆でもある


 それを何か工芸品のように扱うヴァルトを、僕は許せそうになかった。


「立て、剣帝ヴァルト」


 自分でもびっくりするぐらい怒っている。

 こんなに口汚くなるのも初めてだ。

 あのゲヴァルドにすら、一定の敬意を示していたのに。


 僕は1歩、また1歩とヴァルトに近づいていく。


「ヴァルト様ぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!」


 いよいよ射程に捉えようという時、その声は空から降ってきた。

 だが、攻撃は下からやってくる。

 影の中に黒い鎖が伸びてくるのを、僕は目の端で捉えていた。


「全身――――」



 【閉めろ(ロック)】!!



 咄嗟に防御する。

 無傷の僕の前に、ダイムシャットが立ちはだかる。


「どいてください、ダイムシャット」


「黙れ! 調子に乗るなよ、小僧が!!」


 ダイムシャットは手をつく。

 地面に魔力を込めると、1本の大剣が出現した。

 ヴァルトが持つ大剣とはまた赴きが違う。

 先が三角形に尖った墓石のような剣だった。


 その剣にダイムシャットは魔力を込めると、闇の魔法を解き放った。


「【仮面舞踏カリギュレイト・パレード】」


 黒い人魂のようなものが放出される。

 戦場全体に広がると、周囲の戦士にとりついた。

 戦士たちは揃ってうめき声を上げて苦しみ出す。

 その身体の中でグルグルと動き回った闇の力は、最後に戦士たちの顔に貼り付く。


 やがて見たことがある仮面で、その顔を覆った。


「やれ! ユーリ・キーデンスを殺せ!!」


 仮面をつけられた戦士たちが、一斉にこちらを向く。

 それまで城を攻め、剣帝ヴァルトを倒さんと戦っていた戦士たちが、仮面をつけられた途端に僕とアストリアがいる方に走ってきた。


「アハハハハハ! 殺せ! 殺すのだ!」


「何を笑ってるんですか。無駄ですよ」



 【開け(リリース)】!



 僕は鍵魔法を戦場に広げる。

 封印を解く効果を持った鍵魔法が、次々と仮面を破壊していく。

 意識を取り戻した人々は、何が起こったかわからず、その場で立ちすくんだ。


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挿絵(By みてみん)

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