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天才は使い方次第で神にも凡人にも成る  作者: 田代 秀隆
報告書2〜物語の主人公〜
26/30

〜物語の主人公2〜


打ち上げに向かってから

6時間近く経っただろうか


昼食を(たしな)

中間テストのストレスを遊びで発散する5人


ボウリングにカラオケetc…


午後からの休日を存分に楽しんだ



そして、現在


夕食も5人で済ませた後


皆、それぞれの帰路に着いていた



時刻は20時を過ぎた頃


大夢(ひろむ)月咲(つかさ)の2人は

最寄駅に向けて、電車に乗っていた



この時間になると

帰宅するサラリーマンや部活帰りの学生達などで

下りの電車は満員気味になる


入り口付近に立つ2人


電車が揺れ、人波が背中に押し寄せて来る大夢(ひろむ)


背後から人波に押され

体を支えようと、勢いよく乗車口付近の壁に手を着いた


「悪い……月咲(つかさ)……」


手を着く大夢(ひろむ)と乗車口近くの壁の間には

至近距離に近づく大夢(ひろむ)を見て

驚き固まる月咲(つかさ)の姿があった


「うっ、うん……大丈夫……」


周囲に逃げ道は無く

()ける為には(うつむ)くくらいしか手はなかった


大夢(ひろむ)は人波に背中を押されながらも

壁に着いた手で何とか身体を支え

月咲(つかさ)との距離感を一定に保ち続けている


そんな大夢(ひろむ)を見て


…………力無いくせに……守ってくれてるんだ……


そう月咲(つかさ)は感じていた



だが不意に

大きな揺れが2人を襲った


「うぉっ……」


耐えきれなくなった大夢(ひろむ)の身体が

まるで月咲(つかさ)を抱き締めるかの様に

触れ合ってしまう


大夢(ひろむ)と密着している状態がしばらく続く


壁と大夢(ひろむ)に挟まれた月咲(つかさ)

気が気では無い


……落ち着けぇ〜……相手は大夢(ひろむ)だぞぉ〜……

何も考えるなぁ〜……()だ、()っ……


反射的に突き飛ばしてしまいそうになる自分を抑え

無我の境地に入ろうと精神統一を始めていた



そんな時だ


突然、車内に女性の悲鳴が木霊(こだま)した



いきなり響いた大きな悲鳴に

周囲の乗客達も、何事かと周囲を見回していた


大夢(ひろむ)月咲(つかさ)の2人も例外ではない


どうやら悲鳴が聞こえた場所は

大夢(ひろむ)達のすぐ近くの様だった



悲鳴を上げたであろう女性が

次は荒い口調で言葉を続けるのが聞こえる


「今、触ったでしょっ!!……最低っ!!」


どうやら声の主は

大夢(ひろむ)達が今居る場所から

反対側の乗車口付近の様だ



2人は声を荒げる女性の姿を捉えた


声を荒げていたのは

自分と同じ、理高の制服を着た女子生徒の様だ



女子生徒が睨みつける先には

50代前後の中年男性


「ごっ、誤解ですっ!!………鞄持ってるんですよ?私は……」


キチッとした身なりに

優しそうな顔立ちをしている


確かに手提げタイプのビジネスバックを

両手で抱える様に持っていた



すると、口論する2人の間に

今度は20代前後くらいの若い青年が

人混みを掻き分け、話の輪に入って来た


「俺も見たぞっ……あんたがやってるとこ……

しつこく触りまくってたじゃないかっ!!……」


青年の証言に

中年男性は慌てて否定する


「いや、しつこくって………

見間違いですってっ!!……私じゃ無いっ!!……」


否定を続ける中年男性


だったのだが



女子生徒の助っ人に入って来た青年の発言


怪訝(けげん)な表情で睨みつける女子生徒


そして、その雰囲気に引っ張られる様に

車内に広がっていく不穏な空気



断固否定していた中年男性も

周囲からのプレッシャーに、段々とその勢いを失っていた



だが、この時

大夢(ひろむ)だけは別の方向を見ていた


「なぁ、月咲(つかさ)……ヘアゴム持ってるか?……」



「え?……一応あるけど……」



騒然となる車内


丁度そのタイミングで

電車が次の駅に停車する為、速度を落とし始めた



減速したタイミングで目撃者の青年が

中年男性の腕を掴み上げた


「おい、おっさん……次降りろよっ……

ちょっと話そうか……」



「だから……私はやってないってっ!!……」


次の駅での降車を促す青年


中年男性は抵抗を続けていたが

ここで痴漢を訴えていた女子生徒が泣き出してしまった


これが決め手となり

車内の空気が一気に変化する



中年男性もそのプレッシャーを感じたのか

抵抗を止め、渋々降車する事に合意した



電車が駅に到着すると、降車する3人



泣き崩れてしまった女子生徒を

青年が慰めながら一緒に降車する姿


そんな姿を目の前で見せ付けられながら

中年男性はその後を追った


事態を見守っていた周囲の人達も

好奇の目で中年男性を捉えながら

ゾロゾロと降車していく


電車を降りた中年男性は

痴漢を訴えた女子生徒が落ち着くまで立ち(ほう)けている


納得の行かない表情にも見える



しばらく、ホームで泣き崩れる女子生徒を

青年が慰めていると

騒ぎを聞きつけた駅員が3人の所へ駆け寄って来た


「お客様…‥大丈夫ですか?……

ここではなんですので……一旦事務所の方に……」


先に降車して行った乗客達だろうか


誰かが駅員に今回の事情を話したのだろう


3人の下へ到着した駅員は

特に事態の把握をするわけでも無く

そう言葉を投げ掛けた



中年男性の抵抗力は完全に無くなり

ため息混じりに駅員の提案に頷くと

渋々、駅員の後に続く様に歩き始めた


更にそれに続く様に

青年は女子生徒を支え上げながら歩き始めた



帰宅ラッシュの駅のホーム

残っていた野次馬達も一区切り着いた事から

段々と散り散りになり

それぞれ帰路に着き始めた



周囲にいつもの日常が戻りかけた


その時


駅員を含めた4人を呼び止める声が聞こえた



「……ちょっと待って下さい……」



4人は、その声の主へ視線を向けた


そこに立っていたのは大夢(ひろむ)

その手にはヘアゴムとビニール袋が握られていた


堂々とした表情で

4人の下へ近づいて行く


近付いて来る大夢(ひろむ)

まず、青年が口を開いた


「はぁ?……お前、何言って……」


しかし、青年の言葉を無視し

大夢(ひろむ)は中年男性の下へ真っ直ぐに歩き続けた


そして、目の前で立ち止まる


「両手出して下さい……」



「え?……」



「安心して下さい……私はあなたの弁護人です……」


何が何やら


中年男性は鞄を置き

言われるがままに両手を差し出した


大夢(ひろむ)はその両手を白いコンビニ袋で包み

手に持つヘアゴムで手首を縛った


さながら簡易的な手錠の様に


事態の把握ができず困惑する中年男性


「あの……これは……」


大夢(ひろむ)は何も言わず振り返ると

背後に居た涙ぐむ女子生徒と青年へ対峙した


そして、堂々と宣言する


「さて……ここで話し合いましょうか……

この人の冤罪について……」



自信満々に語る大夢(ひろむ)

青年から、少し間の遅れた返事が返って来た


「……はっ、はぁ?………冤罪?……

いきなり出て来て、何言うかと思えば……」


大夢(ひろむ)は物怖じする事なく言葉を続けた


「痴漢証明に必要なのは2つ……

触ったという物的証拠と目撃証言です……」


そう言って大夢(ひろむ)

中年男性の縛った手を指差し、言葉を続けた


「この縛った袋の中に、そちらの女子生徒の服の繊維が

付いていれば黒、なければ白……

貴方(あなた)がたが車内で痴漢と騒ぎ立てたのは

この駅に停車する約1分前……

あれからまだ3分と経っていない状況で

手に付いた全ての繊維が落ちたとは考えにくい……

しつこく触られたとの証言もある様ですし、尚更です……」


青年はここで反論する


「そいつの触った手を見たんだ……この目でっ!!……」



「腕時計は何色でした?……」



「え?…」



「腕時計の色ですよ……

ちゃんと見てたんでしょ?……何色ですか?……」



「え?……あー……銀だよ銀っ!!」


青年の回答に、大夢(ひろむ)は答え合わせをした


中年男性の方へ言葉を投げ掛ける


「すいません、時計はしていますか?……」



「………いや……してませんけど……」



「だ、そうですよ?……

物的証拠も、目撃証言も怪しくなって来ましたね……」


淡々と質問する大夢(ひろむ)

青年は言葉を詰まらせてしまった


駅員も目の前で繰り広げられる口論に

少し困惑し始めていた



もしかすると、冤罪なのではないか?と


小さいながら疑念を抱いている



そんな空気を察してか

ここで青年は証言の内容を変えて来た


「お前…それでも男かよっ……

この子見て可哀想だとは思わねぇのか?……」


本心から来た言葉なのか


はたまた、周囲の同情を狙ったのか


真意は定かではないが

大夢(ひろむ)はそれにも動じなかった


「えぇ、可哀想です……俺から見ればこの人の方が……

冤罪と言えど、痴漢という行為は

社会的に大きなレッテルを貼られる事になる……

例え無罪になったとしても

そのレッテルが剥がれる事は無い……

1度嫌疑を掛けられただけで、その人の人生が終わる

……この意味……分かりますよね……」


声色と雰囲気が変わった大夢(ひろむ)


すると、丁度そのタイミングで

駅の外からパトカーのサイレンが聞こえてきた


「さっき連絡しておきました……

度が過ぎた遊びなら……

今ここで捕まった方があなた達の為になる………

白か黒か……それこそ警察の前でハッキリさせましょう……」


信憑性の増して来た言葉


実際に警察まで呼んだ大夢(ひろむ)の行動力に

反論がなかなか見つからない青年


そして


近づいて来るパトカーのサイレン



青年が言葉を失い掛けたのを見ると

泣いていたはずの女子生徒が突然

青年の手を振り払い、その場から逃げ出した


青年や辺りで残っていた野次馬も

女子生徒の行動に騒然となる


駅員が一拍遅れてその後を追おうとするが

大夢(ひろむ)はそれを止めた


「主犯格はあの男です……

逃げたのはうちの生徒です……時期捕まえれる…

警察に行くにしても、あの男さえ居れば充分……

あの子が逃げたと言う事は……そう言う事でしょう……」


大夢(ひろむ)の言葉に

駅員の目は青年の方へと向き直った


ゆっくりとした足取りで青年へ近づいて行く


「すいませんが……

一緒に事務所まで来て頂いてもよろしいですか?……」


完全に逆転した立場


(かば)っていた(はず)の女子生徒も居らず

弁解の余地は無い


近付いて来る駅員を見て


青年も逃げる様に走り出した



周囲には、未だ残る野次馬達の姿


その人混みを掻き分け逃げていく



両手で人混みを掻き分け


雑踏の中に居た車椅子の少女を突き飛ばし


それでも逃げる(さま)は、必死そのものだ


「どけっ!!」


駅のホームには警察が到着しているだろうと判断したのか

改札口方面へは向かわず、線路の方からの逃走を試み

そちらへと走り出した青年


その後を駅員が追う


「待てっ!!」



そんな中、大夢(ひろむ)は青年がぶつかった

車椅子の少女に駆け寄った


「大丈夫ですか?……」


ぶつかりはしたものの、車椅子は倒れてはいない

身体に異常もなく、大事には(いた)っていない様だ


「えぇ、まぁ……私より逃げた人を追った方が………」



「大丈夫です……あっちには適任者が向かったので……」


大夢(ひろむ)がそう呟くと


車椅子の少女は

逃げ去って行った青年の方へ目を向けた



逃げる青年



追う駅員



そして、それを猛追(もうつい)する1人の人影


その人影は赤髪を(なび)かせながら高速で移動すると

駅員を追い越し、すぐさま青年に追い付く


追い付いたと思いきや

次の瞬間には豪快な飛び蹴りを青年へ繰り出していた



その一部始終を目の当たりにしていた

車椅子の少女


月咲(つかさ)の余りの足の速さに、絶句していた



すると


大夢(ひろむ)と車椅子の少女の(もと)

白い口髭を生やした50代前後の

スーツ姿の男性が近づいて来た


スーツ姿の男性は、かなり心配した様子だ


「お嬢様っ!!………大丈夫ですかっ!!……

すいません……私が目を離した隙に……」



「いいわよ別に……私が飲み物、頼んだんだし……」


車椅子少女と知り合いであろうその男性へ

大夢(ひろむ)は声を掛けた


「この方の、付き添いの方ですか?……」



「えぇ……」



「じゃあ……後はお任せしました……

おじさんっ!!……僕たちも追いかけますよっ……」


車椅子の少女を付き添いの方へ任せ


大夢(ひろむ)は疑いを掛けられていた中年男性へ

そう声を掛けた


大夢(ひろむ)は冤罪被害者の中年男性と共に

青年を追い、走り出す


その背中を、車椅子少女とスーツ姿の男性が見送った



大夢(ひろむ)と中年男性が追い付いた頃には


倒れた青年を駅員が取り押さえていた所だった



暴れる青年


「離せっ!!……俺は何もしてねぇだろうがっ!!……

バカかお前らっ!!………」


暴れる青年へ

遅れて追い付いた大夢(ひろむ)が声を掛けた


「ハァ…ハァ…ハァ……いいえ……

ハァ……あなたは重い罪を……ハァ……犯したんです……」


大夢(ひろむ)は息絶え絶えにそう言い放った


後から到着し、息絶え絶えな大夢(ひろむ)を見て

青年の足止めに一役買った

赤髪の飛び蹴り職人(月咲)が疑問を漏らす


「何で息切れてんの?……」



「ハァ…ハァ……ほっとけ…………ふぅ~っ……」


深呼吸し、息を整えた


落ち着いた所で

取り押さえられる青年に向け言葉を続けた


「この沿線での痴漢被害は

ここ数ヶ月で3倍以上に増えています……」



「だから……今もこうしてっ!!」



「しかし………もしそれが………

示談金目的の組織犯罪だったとしたら?……

痴漢ビジネスって言葉……ご存知ですよね?……」


大夢(ひろむ)の言葉を聞き、青年は何かを悟ったのか

抵抗力が急激に落ち込んだ


大夢(ひろむ)は初めから分かっていたのだ

この青年の行為が痴漢ビジネスに相当する事を



方法は簡単


まず、被害者役の女性がターゲットを絞って痴漢だと宣言する


そして第3者を装い

証言者として痴漢行為を確定付ける


その後、賠償金を請求

またはその場による示談で儲ける寸法だ



このビジネスの恐ろしい所は

痴漢被害の約9割が、被害者勝訴で終わってしまう所なのだ


判断基準に被害女性の心境が大きく影響する


実際の痴漢被害も多い事が

こういった冤罪被害の増加にも繋がっている



抵抗力の無くなった青年は

到着した警察に任意同行されていった


逃げた女子生徒は、まだ捕まっていないが

青年の供述で明らかになるだろう



身の潔白の証明の為

中年男性も警察へ同行する事に


移動する前に大夢(ひろむ)達と中年男性は

少し離れた所で会話していた


中年男性は安堵の表情で言葉を残す


「……君には助かったよ……」



「いえいえ……たまたま近くで見てただけですから……

つり革と鞄握ってましたし……あの人口密度の中ですから…

タイミング的にも、おかしな点は多かったので……」


大夢(ひろむ)は気付いていた


今回の一件は

一歩間違えれば大きなリスクを背負う事になる


自分の観察力、記憶力への自信と

あの環境下での女子生徒の発言、青年の介入の仕方


あまりにも不自然な点と都合が良すぎる点が多かった


実は朝、スマホを真剣に覗いて確認していたのは

この情報だった



月咲(つかさ)大夢(ひろむ)

素朴な疑問をぶつけた


「何で、そんなの覚えてんの?……」



「もう職業病だな、これは………

ついつい周りの人間観察をしてしまう……」



「え~っ……気持ち悪い……」



「………はっきり言うなっ……」


2人がいつもの会話を繰り広げる中


中年男性はある言葉に引っかかっていた


「職業病?……」


大夢(ひろむ)は中年男性へ言葉を


「え?はい……バイトですが………

菊地探偵事務所の事務員として働いてまして……」



「探偵?………今の時代に…………

それに君、あの理高の生徒だろ?……

どうしてバイトなんか……」



「祖父の経営してる探偵事務所です……

……バイトって……変ですか?……」



「いや……変ではないけど……珍しいなと思って……」



「まぁ、お手伝い程度ですから……

後、これも使って下さい……」


大夢(ひろむ)はそう言って

鞄の中からある名刺を取り出した


「これは?……」



「父の名刺です……

弁護士などでお困りの際は、これを使って下さい……」



「親御さん、弁護士なのっ!!……」



「この手の事件も扱ってるので……

お力になれると思います……」



「なっ…なんだか………漫画みたいな展開だけど……

今回はありがとう……本当に助かったよ……」


中年男性は大夢と握手を交わそうとする


しかし、今、中年男性の両手はビニール袋に覆われたままだ



それを見て互いに笑い合っていた



それから、少しの時が過ぎ


中年男性がビニール袋に覆われた手で警察車両に乗り込む姿は

少し凶悪犯の様な雰囲気をか持ち出してしまっていたが

無事一件落着した痴漢冤罪事件



駅に残された大夢(ひろむ)月咲(つかさ)

ある事に驚いていた


大夢(ひろむ)の手には1枚の名刺が握られている


父、大誠(たいせい)の物?いや、そうでは無い



(株)孔雀(くじゃく)書店 代表取締役社長


(あさひ) 紀文(のりふみ)



大夢(ひろむ)月咲(つかさ)

中年男性の去り際の一言を思い出していた


「君みたいな有望な人材は是非我が社に……

この事は忘れないだろうから………

就活時期になったら連絡してくれるとありがたい……」


目の前の名刺の文字と頭を過ぎ去る捨てセリフ


2人は顔を見合わせた


「「しゃっ、社長?!!」」


声を揃え、再び目が合う


月咲(つかさ)は驚きを隠せない様だ


「え?何?……あの人社長なの?!!……

しかも孔雀書店ってっ……」


大夢(ひろむ)も冷静を装ってはいるが、内心驚いている


「大手も大手……店舗数No.1の書店だよ……」


助けた相手の正体を知り

急に不安になる大夢(ひろむ)


「俺……生意気じゃなかったか?……」



「まぁ……大丈夫じゃない?……

優しそうな人だったし……でも社長には見えなかったぁ……」



「……何で電車なんだ………」



「そうだよねっ!!……

普通社長さんとかって運転手付きの車っ!!……

って、イメージなんだけど……

……あっ、内定おめでとう………」



「バカ…‥受け売りに決まってるだろ……」



「分かんないよぉ〜?………

……そっかぁ、将来は本屋さんかぁ……」



「何で経営してるんだ……」


他愛も無い会話を重ねながら帰路に着く2人


その後ろ姿は

とても一事件(ひとじけん)解決した功労者には見えない

ただの高校生の様だった

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