最悪の出会い
あなたはskogsråという森の女王を知っているだろうか?
知っているというならば、話は早い。知らないならば話そう。私の身に起きた体験を……。
その日は曇りだった。僕の家系は狩人の末裔で冬に入るまではよく森に狩りに出かける。たまに手ぶらの日もあるが、それでも僕を学校に行くことができるぐらいは稼いでくれている。
父は狩猟銃を片手で軽々持ち上げるほどの巨漢だ。大きな背中に乗り、一緒に森に出かけていた。
けれど、いつしか一緒に出かけなくなってしまった。幼少期は楽しかったが、学校に行きはじめると、なかなか一緒に出掛ける時間がない。
母はいつも家で父を待ち、夕飯の支度をしている。父が狩った野生動物を調理することは無いが、両親二人は生活が楽しそうだ。
十歳になって二か月がたった夏ごろ、学校も長期休暇で落ち着き、久々に僕は父親と一緒に狩りに出かけたい。そう、僕は言った。
父はすぐさま了承すると、道具を準備して、森に入ることが決まった。
僕にとって森とは庭みたいなものだった。いつも入る森は楽しく、都会にあるアスレチックコースよりも幾分楽しかった。
けれど、昔行っていた森は、環境汚染により、野生動物が住み着いておらず、別の場所に行くことになった。
別の森に着くと、緊張感が全身を包んだ。いつも行っていた森とは違い、禍々しさで足がすくみそうになるが、そんな一面を父に見せないようにと考え、無理にでも足を進ませた。
実際森の中に入ってみると、木ばかりで昔行っていた森と大して変わらず、次第に落ち着きを取り戻した。
けれど、その落ち着きはやがて、奢りになり、坂の上で僕は足を滑らせた。
「ねえ、大丈夫?」
その声の主は今でも覚えている。
彼女こそがskogsrå 。一見フレンドリーで気さくな美女だ。
けれど、彼女は化け物。捕まったが最後、この森から逃げることができない。
そんな美女の家で僕は目を覚ました。