5話 救いの言葉
動揺してしまったのが自分でもわかった。その表情を見たとき、クリフはやっぱりかという顔をした。
その後の話は、頭に入ってこなかったが、最後にクリフが優しい顔をして、
「それでも、お前は俺の息子だ」と言ったのが印象的だった。
その後、僕は自室に帰って考え事をした。
あああと10日で死んでしまうのか。短い人生だった
それにしても、なぜ10日以内に死んでしまうのだろうか。僕の正体を知って、クリフが僕のことを殺すのだろうか。
でもリンネが、親は僕を殺さないって言っていたのだから違うのか。
でもあいつはいくつか嘘をついているような感じだったのでそれも嘘だったのだろうか
そんなことを考えていたが、どうでも良くなった。
死ぬことには変わりないのだから。
ああ死にたくないな。
色々考えているうちに、僕は眠ってしまった。
次の日も何もやる気が起きない。その次の日も僕は部屋にこもっていた。
クリフ、エアリス、ガガが僕の様子を見に来て、何か喋っていたが、頭に入ってこなかった。
クリフに転生者だとバレた5日後、僕はリンネにあった。
暗い世界にいた。何もないこと以外特徴がないような、そんな世界。
そこにリンネの姿があった。
「結局バレてしまったのか。君は死んでしまうのかうーん残念非常に残念だよ」
言葉ではそう言っているが、彼の目は相変わらずだった。
(何もいいわけが思いつかなかったんだ。)
「まあそうだね。彼は勘がいい、仕方ないよ」
(僕はなんで死ぬんだ?)
僕は不安そうに言った。
「うーんそれは言えないな」
言えないのか。僕はどうやって死ぬか恐怖しながら、10日間過ごすことになるのか。
いっそ自分で死んでしまおうか。そう思った。
「君を助けてあげてもいいよ」
そう思った矢先にリンネがそう言った。
(助けてくれるのか、どうやって)
「君に死因は教えられないけど、僕は死ぬ原因を知っている。君にアドバイスを送れば、楽勝さ。」
楽勝なのか、回避できるならなんで死の宣告をしたんだ。
そう思い僕はそれを聞いた。
(君が自分の死を回避するために、自分で考え、どういう行動するか期待していたんだけど、期待した結果は得られなかったよ)
期待?結果
(リンネが期待した結果ってなんだ?)
「それは言えないよ。まあもう過ぎてしまったことを言っても意味がない」
まあ確かにそうか。
「さあアドバイスだけど、次目が覚めたら、クリフに前世で何があったか全て話すことだ」
(話す?それだけ?)
「ああ、それだけだ。なんでそれだけで助かるのか聞かないでね、答えられないから」
僕が質問しようとしたが、リンネがそう言ったので質問するのをやめた。
「さあ、次に目覚めたら僕が言ったことをやるんだよ。そうすれば絶対に死なないから。」
(わかった。ありがとうリンネさん)
僕は命の恩人にそう言った。
「ああ」
彼は嬉しそうにそう言った。