1話 カミーユ・グリモアール
(眩しい)
目を覚ますと二人の男女がこちらを不安そうな目で見たがしばらくすると彼らは笑顔になった。
「ーーー」
「ーーーー」
何をいっているか理解できなかったが、両親の目を彼は見たことのない目をしていた。
そして彼らの耳はとても長かった。
相変らず人が憎いが半年もすると前世のことがまあ仕方ないかと思えてきた。
両親は惜しみなく愛情を注いでくれて、幸せも感じていた。
漏らしたらきちんと処理してくれるし母乳も与えてくれた。
最初は吸い方がわからずに舐めていたらエアリスが変な顔をしていた顔をしていたのが面白かったので吸うだけではなく時々舐めていた。
一歳になる頃言葉を理解しカタコトだが話すことができるようになり、文字も理解できるようになった。両親は一瞬驚いた顔をしてその後、
「あなた、この子は天才よ」
とエアリスが喜んでいたが、クリフは複雑な顔をしており、その後彼はよくわからない言葉を僕に言ってくるようになった。
当然だろう僕は前回と合わせて16歳だ。前世では言葉を理解できなかったが赤子よりは賢い。
家名はグリモアールというらしく、母親の名前はエアリス、父親はクリフと、僕の名前をカミーユだと教えてくれた。
カミーユ・グリモアール、うん悪くない響きだと思う。
僕たちのことも教えてくれた。僕達はエルフ族という種族だということ。ミリス村というところに住んでいるということ。ちなみにエルフ族は耳が長く、髪の毛が黄色いという特徴を持っているらしい。自分の耳を触って見た。うん、確かに長い。髪の毛は短くてわからないので後日、母に聞いたらちゃんと黄色らしい。目の色は怖くて聞けなかった。
僕の1日のスケジュールは朝起きて母乳をもらい、家を徘徊し捕まって、昼に母乳をもらい、お昼寝をして、徘徊してを繰り返している。
僕は前世は監獄で過ごしていたため自由が、なかった。そのため家を自由に動けることに喜びを感じ、毎日家の中を動き回った。
「カミーユ様!!いけません屋敷の中とはいえお一人で動いては。」
そう言って近づいてきたのはガガという名前で、家族と一緒で耳が長い。この家の掃除などをしているという女でメイドと呼ばれる職業らしい。僕はこいつが嫌いである。自由に徘徊していると邪魔をしてくる。
「うるさい」
僕がそういうとガガは驚いた顔をした後、気味が悪いという顔で僕を見てきた。そしてそれを両親に言いつけるのだ。こういうところも嫌いである
「カミーユ、ガガはあなたがまだ1歳で小さいから心配して言っているのですよ。なのにうるさいとはなんですか。」
叱るのはいつも母で父は
「そうだぞ」
としか言わない。
「ごめんなさい母さま、父さま」
「まあカミーユは1歳にしては成長が早いし、、、それに私達じゃなくでガガに謝りなさい」
「ガガ、ごめんなさい」
僕はおもってもいないがそういうと
「良いのですよ」と笑顔で言った。
くそ猫かぶりやがって、本当に嫌いだ。
「偉いですよカミーユ」
「うむ偉いぞ’」
母はニコッと笑ってそう言うと父はそれに同調する。一年ほどこの家で過ごして思ったのだがこの家は母が一番偉いと思う。父はいつも同調するか彼自身が怒られているのしか見ない。まあこれが一般的なのかもしれない。
「はい」
僕はニコッと笑ってそう答えた。
少し問題はあるが、幸せな家庭であるし、僕も幸せを感じていた。
ある日の夜、僕は悪夢を見た。
処刑台に吊るされていた。あー今までのが夢だったのか、幸せな夢だった僕はそう思った。そして処刑人が火を放った。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い熱い怖い熱い。
「カミーユ!!」
「ハッ!?、、夢?」
夢から覚めると隣にクリフトとエアリスがおりその後ろにガガがいた。僕はビチョビチョに濡れていた。汗か?そう思ったが違った。なぜかわからないが僕の部屋が焦げくさい匂いが充満しており、水浸しになっていた。
「大丈夫か?」
クリフは青い顔をしてそう言った。。
「とうさま、怖い夢を見ました。」
「どんな夢だったんだ?」
彼は青い顔をしつつも優しい顔でそう言った。
「わかりません。でもとても熱かったし、苦しかったです。今までの生活がすべて嘘じゃないかって、、、」
僕は前世の事は知られたくなかった。
「そうか」
彼はそれだけ言って僕を抱きしめた。僕は泣いた。エアリスも泣いていた。クリフも泣いた。ガガも涙ぐんでいた。
僕は父と母に抱かれて泣き続けた。