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3.攻略対象その1。じゅんび!

1.攻略対象その1。じゅんび!


「ナターシャ、またお会いできるなんて、うれしいです」

「私もです。グランツ。またお屋敷を案内してくださるかしら?」


えへへ、と笑いかけてくれる少年のなんとかわいらしいことか!!

ショタ最高!と叫んでしまいそうになる。


今は春。まだ夏には時間がある。

問題のある「従兄による強姦」を阻止するべく私はこの可愛らしい婚約者に頻繁に会いに行くことにしたのだ。


そっと手を出してエスコートしてくれれる美少年。

ひゃー、いいわぁ。本当にいいわぁ。


そりゃあね、ここにイケメンの青年が現れて彼に将来はずっと一緒にいようね、とか言ってくれちゃったりしたら、もう最高!万歳!とかおもってしまうわ。

しかし、彼はノンケ。

あんなことがなければ普通の感性で育つはずなのだ。


え、なぜ彼がノンケだってわかるかって?


ショウワルことあのクソゲーの帯がこうだったのだ。



HENTAI☆ノンケをぶち犯せ!

新感覚びーえるファンタジー!!



帯からして酷過ぎる。

変態すぎてドン引くわぁ!!!

新感覚すぎるわ!!!

パッケージのあおり文句を見たとき、ないわぁ。まじないわぁ。って二度見してしまったからな。



だから、彼は、いやゲームの受けたちは皆ノンケ――男女の恋愛感を持つ青年だったはずなのだ。



だから、私は彼の動向を探る意味も込めて、こうやって頻繁に彼の元に訪れているのだ。



「ナターシャは、可愛くて、素敵です」

「そ、んなことないですわ。グランツも素敵ですわ」

「僕はまだまだです。強くなりたいです。でも、軍事学校に入るのをためらっていて……」

「確か、初等部もありましたわよね」

「はい、10歳から入れるのですが、もう少し、両親と居たいと思ってしまって。駄目ですね、僕」

「そんなことありませんわ!まだ小さいもの。私だって両親と離れるの嫌ですもの。その気持ち、わかります」

「ありがとう、ナターシャ」

えへへ、とまたはにかみ笑いする彼。

うーん、かわいい。

確か彼は、中等部の13歳から入学するはず。

そこでメキメキと頭角をあらわしていくはずなのだ。


「グランツなら大丈夫、きっと王国騎士にもなれますわ。強くなりますわ!」

「ナターシャにいわれると、元気出るです。剣術の訓練もがんばれそうです」

花が咲いたようにはにかむグランツ。


ショタ最高!と叫びたくなってきてしまう。




ああ、グランツかわいかった…。

屋敷に戻ってきて、無表情のまま心の中でむひょひょと笑っていると、喉が乾いてくる。

鈴を鳴らして、クラウスを呼ぶ。

「お嬢…様。および…ですか」

そこには凛々しく執事服を着こなすクラウスがいた。

「喉が渇いたわ。お茶を」

「かしこ……まり…ました」


ぎこちないが、ある程度整いつつある。


あの後、屋敷に連れて帰ったクラウスはまず医者に見せられた。

ちぎれかけていた腕は腱が切れているのか、なんとかくっつけることはできたが、もう動かないだろうといわれている。

他にも体罰や虐待で受けた傷も治療してもらって、そのあと体の負担にならない程度に体を隅々まで洗われた。


担当をした家令たちは驚いていた。

髭に覆われ、傷を負っていた彼は予想以上に整った顔をしていたのだ。

あの奴隷商人はすでにぼろぼろな状態で引き受けたのだろう。

でなければ年齢的に頭がたっているが、男娼として売ってもおかしくないほどの顔立ちだったのだ。


それから、彼は体の傷の回復と、徹底的に執事としての仕事を教え込まれているようだ。

一番最初にお茶の入れ方を学んだということで、私のお茶を運ぶかかりは彼になっている。



「おま……たせ……しまし……た……」

まだ言葉はぎこちない。

「ありがとう」

彼は片手なためか、ぎこちなくお茶を入れてくれる。

お茶の味もまだまだだ。けれども、彼の眼に絶望以外の光がともっているのがうれしい。


「あなたの過去を質問してもよくて?」

「は……い……。お嬢……様の……ご命令…なら…ば」

そう、前世からずっと気になっていたのだ。


なぜ、彼は奴隷になってしまったのだろう。


「つらければ話さなくてもいいからね」

「はい……おれ…わた…しは……もとは……まずしい村人で……」


どうやら、彼は最初は貧しい村人の家に生まれたらしい。

10歳の頃、奉公として騎士の家の手伝いとして家から出されたらしい。

そこで、彼は厳しい仕事の間に、見よう見まねでご主人の剣技を覚えたのだった。

それを見ていた騎士の主人は、その才能に目を見張り、彼に剣術を教えていったのだったらしい。

15歳のころ、騎士の主人は、領主から無実の罪を着せられて、一家処刑。そこに働いていた者たちはすべて奴隷として売られることとなった。

彼はその剣術の腕を見込まれたのか、コロシアムで剣奴として働くことになる。

だが、彼は剣奴としてだけ働かされたのではないらしい。


「まぁ、他に何をしていたの?」

「それ…は……」

非常に言いにくそうに言葉を濁すクラウス。

だが、主人たる私に、言いにくそうに話してくれた。


「性……奴…隷の…仕事……も……」

「まぁ!」


性奴隷!!

と、ということは……!!


クラウス、非処女説!!お、おいしすぎる!!あ、やば涎が。


「そ、それは女ですの!?男ですの!?」

いきなり食いついてきた主人にやや引きぎみになりながら、彼はぼそぼそと話してくれる。

「りょ…ほう…です……」


男もか!!!男もなのか!!!

おいしすぎるぞクラウス!!!

前世の腐女子の血が目覚めまくっている。


「男!?ど、どっちなの…」

思わず、口走ってしまった。受けなの!攻めなの!気になる!!!

「……………りょ…ほう……で…す」

クラウスの顔が羞恥で赤くなっている。


リバ!!

まさかのリバ!!!


たくましい剣奴、だが、その夜はめくるめく男たちの慰めに。

ああ、彼の鍛え上げられた体に這いずる手!そして彼の秘められた場所を蹂躙する――



はっいかん。一瞬妄想で意識飛んでた。


まてまてまて、落ち着くのよ私。

彼は嫌々やっていたのよ。それを妄想のネタにしてどうするの。

彼に失礼じゃない。


「お嬢…様……私は……その後……大怪我を…負い…再び……売られる…奴隷…と…なりまし…た………息も……尽きかけて……いまし…た……」

クラウスはがばりと私の足元に崩れ落ちるように伏せた。


「こんな……汚い……汚れきった……私を……買って……くださった……この御恩は……御恩は…一生……忘れ……ません………この…命……尽きるまで……お嬢…様の……ために……」

彼は、静かに涙を流していた。

「なんでも……ご命令……ください……あなたの……ためなら……なんでも……たいし…ます……」

「クラウス」

私はそっと彼の涙をぬぐう。


「私には、やらなければならないことがあります。その手伝いをしてくれますね?」

「は…い。ご命…令…とあらば……」



こうして、私は脱運命(BLゲーム)のための道具を手に入れたのだった。




だいぶ主人公の本性がはがれかけています。

隠しきれてないよ!!

そして、このゲームのあおり文句考えるのが超楽しかったです。


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