討伐隊スメラヤ
「21世紀から科学は、驚異的な速さで進化し、薬に頼らずに病気を治す”医療討伐”という新しい治療法が発表されました。人間が討伐隊として直接体内に入り病原体を討伐するため、薬をあまり必要とせず、負担も少ないため、25世紀現在では注目されている治療法になっています。しかし―――」
教室の前方にある電子的な画面で、学校一起こると怖いと評判の男性教師が基礎知識の説明をしている。教室内の生徒は、真面目に聞いている者もあれば、寝ている者、おしゃべりをしている者もいる。教室の一番後ろの列の一番左側でぼーっとしている僕――氷崎大も、真面目に聞いていない生徒の一人。この説明は3年前から毎年言われてきたため、もう聞き飽きている。
「しかし、現在討伐隊に入れる人は極端に少なく、国内の正式な討伐隊員は約500人程度しかいません。さらに討伐隊は普通4人~6人くらいのチームで活動するため、討伐隊は100チームもありません。そこで国が考えた対策が大学高校一貫の専門学校を設けて育成すことでした。数多くの討伐隊の卵たちを―――」
僕は自分の席の左に広がる窓の外をみた。今いる教室は3階にあるため、窓の外にあるグラウンドを見下ろす形になる。ベランダがあるため少し見にくいがグラウンドには体操着を着た生徒が大勢いて、ひたすら走っている。体力をつける授業だ。1時間ひたすら走り続ける何の面白味もない授業。僕も3年前に散々やらされた。あれは高等学部討伐学科1年の授業だ。毎日筋肉痛で、朝起きるのも辛かった。ただ金を多く稼ぎたいから入学した、医療討伐隊がどんなに大変なものなのかを知らなかった学生が毎年何人かいて、そんな生徒は半分はこの授業で学校を去っている。ここにいる学生は全員、高い目標や特別な思いを抱えている。僕も例外ではない。
「―――と、ここまでは毎年言ってきましたが、ここから先は違います」
教師の声色が急に変わったと同時に、教室内の生徒が全員教師の方に向き直る。さっきまでおしゃべりをしていた生徒も背筋を伸ばしている。ここから先は、ふざけることのできない世界だということを、全員理解しているからだ。
「これからあなたたちは、生物の中に入って、病原体を消滅させる、医療討伐隊に入ります。学園だからと言って、命の保証はできません。それでも、あなたたちはやりますか?やっぱり嫌だというものは、すぐに教室から出ていきなさい。誰も止めません」
誰も出て行かない。それは当然だった。その覚悟がない生徒は、既に学園を去っているからだ。中途半端な気持ちでは務まらない、常に死と隣り合わせの世界、それが医療討伐隊なのだ。
「…誰も出ていかないか。まあ、当然だな」
教師は教室の扉を開けた。
「では、ここから先は、実習棟で話す。休憩も含めて、20分後に集合!」
そう言って教師は出て行った。生徒も、少しずつ教室から出ていく。
「おい、大。一緒に行こうぜ!」
教室から出ようと席を立つと、一人の男子生徒が話しかけてきた。
「ああ、伸か。いいよ」
僕よりも数㎝背が高く耳にかかるくらいの黒髪の男子生徒、正井伸だった。学園で定められた深緑色の制服を着ている。
「でも、その前にトイレに寄りたい」
「おう。分かった」
伸は体格が大きいが、決して力づくな行動はしないため、人望が厚く、何かと頼りにされ、僕の一番の親友でもある。僕も他の生徒同様、伸を心から信頼している。
「もうすぐだな……いつまで生き残れるか……」
「死ぬことは殆どないでしょ。今は安全装置もしっかりしてるし」
「それでも不安だな。実際に討伐隊がどんな感じなのかもわからないし」
「まあ、先輩達で死んじゃった人はいないし、そこまで心配はしなくていいんじゃないかな。……大怪我して学園に残ってるかどうかはわからないけど」
周りの生徒たちは、それぞれ雑談をしたり、トイレへ行ったりし始めた。僕は伸と実習棟へ行く途中にあるトイレに向かう。
僕たちがトイレを済ませて実習棟への渡り廊下を進むと、一人の女子生徒が俯いて立っていた。背は僕より20㎝ほど低く、腰まである長く、少し茶色が入ったポニーテール。男子と同じ深緑のブレザーと緑と灰色のチェックのスカートを着ている。額の左側には、緑色をした謎のキャラクターのヘアピンをしている。
「…何してんだ、鈴」
伸が女子生徒に話しかけた。鈴と呼ばれた生徒は、頭をあげ、僕達を見た。
「…なんだ、大と伸か」
「なんだってなんだよ。一応心配してんのに」
「心配…?私の?」
「もしかして、泣いてんじゃないのかなーとか思ってな」
少し照れたように伸が言う。
「誰が泣くか」
「鈴は一応女の子だからな。怖くなったか?」
「性別なんて関係ないって、先生よく言ってたじゃん。それに女子と男子の人数の差は男子が少し多いだけで、そんなに変わらないし」
「まあ、誰と討伐隊を組むかわからないからな。誰でも不安にはなるだろ」
僕達は渡り廊下を渡り、実習棟に向かった。
実習棟は、渡り廊下からのみ入れる特別な施設で、渡り廊下から入れるのは実習棟の1階と2階。全体は地上5階、地下3階まである。学園に入ってから、僕達は一階から五階までは、すべての部屋ではないが授業で行ったことがあった。今日の集合場所は一階にある、全校生徒が入れるくらいの体育館だった。体育館に入ると、入り口と反対側にあるステージの上に台とマイクが置いてあって、後ろの壁は巨大なモニターになっている。ステージまでは数百メートルはある。先に来ていた生徒が何人か大広場に点々と立っていて、友人と雑談をしている。
「別に並んだりしないよな?」
大広場の中央あたりまで歩いてから伸が聞いてきた。
「うん。どうせ整列してもバラバラになるし、並ぶ意味がないからね」
「なんとなくクラス毎に固まればいいか」
既に数人いたクラスメイトの近くに行く。
3年生になったばかりの生徒が集まってから5分後、ステージの上には教師が何人か並んで立っている。
「全員そろったな?では、本格的な医療討伐隊活動について詳しく説明する」
怒ると怖いと評判の教師の声で、大広場にいる生徒は全員口を閉じ、教師たちの言葉を真剣に聞き始めた。マイクの前には討伐隊監督教師の一人で僕や伸、鈴の担任でもある立花花桜梨先生が立った。少し穏やかな口調で話しだした。
「医療討伐隊監督教師の立花花桜梨です……みんな、緊張してるみたいね。今までいろんな先生が散々みんなを脅かしてきたけど、危険なことはほとんどないし、死ぬこともほぼありえないわ。安心して。じゃあ、みんなはもう聞き飽きていると思うけど、もう一度説明するわね」
立花先生はマイクを持ってステージの端に移動した。するとステージのモニターに大量の文字が映し出された。教科書で見たことがある。討伐隊の基本概念だ。
「元々、医療には大まかに内科と外科があって、薬を飲んだり手術をして病気を治していたわ。でも、そんな方法では治せない病気も数多く存在していた」
モニターが新しい画面に切り替わった。さまざまな疾病の名前が書かれている。
「精神的な病気や狂犬病、出血熱などは治療ができなかったり、治療方法が分からなかったりしていたわ」
モニターの画面が切り替わった。
「そんな問題をずっと抱えてきた人間ですが、21世紀、全世界を驚かせ、歓喜をわかせた大きな発明が成功。それが物体を百万分の一まで収縮させる“マイクロ法”。そのままの名前ですね。そのマイクロ法に目をつけた医学者たちは科学者と協力して22世紀、安全に人間を百万分の一まで収縮させ、また元の大きさに安全に戻すことに成功して、それを医療に取り入れた。それが医療討伐隊。当然みんな知ってるわね?」
立花先生は一つ、小さく深呼吸をした。
「これからはみんながその医療討伐隊としてこれからの医学を支えていくことになります。ほぼ安全だけど、完全に安全ではありません……これが最後のチャンスです」
立花先生は、今まで話していた表情を変えて、真剣な顔で言った。
「逃げたい人は今逃げなさい。医療討伐隊は強制的なものではありません。だけど、討伐隊は国家資格であり、医者と同等かそれ以上の立場です。この先に進んだら、勝手にやめることは許されません」
大広場は静まり返った。しかし、誰もその場を動こうとはしない。立花先生は生徒たちを見回してから、さっきの穏やかな口調に戻って話を続けた。
「はい。では雰囲気を替えて、これから討伐隊を発表します」
その言葉を聞いて、生徒たちは少しざわついた。
「討伐隊は基本的に5人くらいの人数で、討伐隊ごとに名前もついているから、ちゃんと自分の討伐隊名とメンバーを覚えてね。それから、ここにいる何人かは討伐隊に入らず、討伐隊のサポートや別の仕事をしてもらうからね」
モニターの画面がまた変わった。
「じゃあ、発表していくよ。発表した討伐隊メンバーはモニターにも出るからね」
立花先生が討伐隊を一つずつ発表していく。発表されるたびに生徒が声を上げ、前に出ていく。ステージ手前でメンバーと対面して、討伐隊ごとにまとまって待機している。
「大。一緒になれるといいな」
「…そうだね。チームメンバーが知り合いだとやりやすいし」
僕と伸は小声で話す。声が大きいと教師に怒られるからだ。
「次、七つ目の討伐隊。リーダーは米山京さん!」
「あ、はい!」
大たちの近くで生徒が答えた。腰まであるストレートの茶色がかったストレートの髪の生徒は少し照れながらステージの前に出た。立花先生は発表を続けた。
「メンバーは…氷崎大君」
「え?…あ、呼ばれたのか」
急に呼ばれて一瞬固まった。
「大。お前、京と一緒かよ。この討伐隊は優秀になりそうだな」
「そうかなぁ…」
僕は前に出た。ステージの前で京に向き合う。
「よろしく、大」
「こちらこそ」
京と軽く挨拶をした。同じクラスだから、あまり緊張はしていない。
「じゃあ、残りのメンバー…時間がないから、一気に発表するね。えーっと、あとは串本進君、正井伸君、それから秋宮鈴さん。前に出てきて」
さっきまで一緒にいた二人と、串本進が前に出てきた。進は茶色っぽく、伸と同じくらいの髪の長さをしている。
「この討伐隊は、全員私のクラスだから、信頼関係はよさそうね」
立花先生はホッとしたように言った。
「討伐隊の名前は、“スメラヤ”だからね。じゃあ、次の討伐隊は…」
僕達は5人でステージ前からずれて、他の討伐隊と同様に小声で雑談を始めた。
「あたしがリーダーか……大丈夫かな?」
「京ちゃんなら大丈夫だよ」
不安そうに言った京を、鈴が励ました。
「私の方が不安だよ。このメンバー凄すぎるし…」
その鈴の呟きに答えたのは進だった。
「学年主席がなに言ってんだ」
「生物学学年トップの大、格闘技と近接戦闘では負けなしの鈴、遠距離射撃の伸。俺だけ平凡じゃねぇか」
「そのうちなんか得意なことが見つかるんじゃないか?」
「見つけてもこの4人に勝てる気がしねぇ……」
「そういえば、最初はどんなことをやるんだ?」
伸が疑問を口にする。それに答えたのは京だった。
「最初は簡単な事……病変部の調査とかだと思う。それでも何かしら病原体がいる可能性はあるけどね」
「ミクロ体験は回数を重ねないと慣れることはできないからな」
「練習なら何度もやったけど、何もない手術台の上だけだったからね」
「そうそう依頼もこないし、最初は殆どが学校で飼ってる犬や猫での練習になるらしいな。先輩が言ってた」
「とにかく慣れろって事か」
「はい。これで討伐隊は全部です。残りの人はサポート隊になります。そちらも重要な役割なので頑張ってくださいね。次は討伐隊とサポート隊に分かれてそれぞれの説明になります。教師の指示に従って移動してください」
発表が終わったらしく、立花先生が次の指示を出した。ステージの前に先生が数人いて、討伐隊とサポート隊で分かれている。
「俺達も行くか」
「そうね」
他の討伐隊に混じって僕達も移動する。
「別の部屋に行くみたいだな」
「多分座学室だね」
教師に誘導された道の先にはいくつかの教室があり、すべて座学室と呼ばれている。
「討伐隊は第Ⅰ座学室、サポート隊は第Ⅱ座学室に入ってください」
想像通り、目的地は座学室だった。教師を戦闘にしてそれぞれ生徒が教室に入っていく。その流れに乗って僕達も教室に入った。
「討伐隊毎に固まって座ってください」
立花先生が教壇でそう言った。教室の中は出入り口の正面に教壇、左のほうに段になった席が十段、横に九人分ほどある、大学でよくある構造。ここの座学室はみんな同じ造りだ。僕達は男女で2段に分かれて座った。
「これから、討伐隊の基本講習に移ります。皆さんには討伐隊として必須の法律、薬理学、寄生虫病学等が詳しく書かれている教科書をいくつか配ります。午前はその教科書を読みます。殆ど今までで習ったことばかりなので、眠くなっちゃうかもしれませんが寝ないように」
補佐としていたらしい教師が数人で教科書と布製の大きなエコバックを運んできた。
「ちょっと……ここにいる人数から考えて、1人5冊はあるんじゃない?」
「いや、今運ばれてきたので7冊くらいになったと思うぞ」
「法律、薬理学、寄生虫病学って言ってたけど、公衆衛生学とか栄養学とか解剖整理学とか、医者と同等の知識が必要なんじゃないかな?」
「ええ~……私、座学苦手……」
京の隣で鈴が項垂れる。学年女子一位の運動神経を持つ鈴はその分座学の成績が悪い。討伐隊になれたのはその高い運動能力が討伐で活かせるからだ。
「まあ、京と大がいるし足りない知識は他のメンバーが補えばいいだろ」
鈴を慰めていたら立花先生が教壇で手を叩いた。注目させるときによくやる方法だ。
「はい。教科書7冊、全員貰いましたね?それぞれ法律、解剖生理学、寄生虫病学、薬理学、病理学、細菌・ウイルス学、英語の教科書です。必要に応じて他の学科の教科書を取り寄せたりしますが、一人で全部覚える必要はないので安心してください」
教室のいたるところで安堵の溜息や「よかった」という小さな呟きが聞こえた。流石に僕や京でもこの量を覚えるのは無理だ。なにせこの教科書、それぞれ辞書くらいの厚さがある。
「討伐の際には、討伐隊には必ずサポーターが付きます。サポーターは指示室で討伐隊の動きを見ながら、必要な知識を討伐隊に伝えます。指示室は手術室とは違い、教科書等を持ち込めるんです」
立花先生が、教壇に置いてあった解剖生理学の教科書を両手で持ち上げ、僕達に見えるようする。
「だからといって討伐隊が何の知識も持っていなければ、それは討伐隊の死にも繋がります。最低でも基礎知識、できれば教科書の3分の2は覚えてほしいですね」
教科書を重そう教壇に置いて立花先生はさらに話を続ける。
「まずは法律から読んでいきましょうか。法律の3ページ目から皆で見ていきましょう」
眠くなる授業が始まった。
「……さて、そろそろ終わりにしましょうか。この教科書は授業以外でも時々でいいから読んでね」
7つの教科書の序論を読んで午前の授業は終わった。立花先生は教科書を小さな台車に乗せて持って行った。他の生徒も殆どが討伐隊ごとに教室を出て行く。購買か食堂に行ったのだろう。
「俺達はどうする?」
進が教科書をエコバックに入れながら言った。
「食堂でいいんじゃない?お弁当持ってってもいいんだし」
「じゃあ私、ロッカーからお弁当持ってくる」
「俺も。三人で席取っといてくれ」
京と伸が家から持ってきたお弁当を取りに行く。僕と鈴、進で先に食堂に行くことになった。三人で教室を出て食堂に向かう。
「多分食堂で討伐隊の中での大まかな役割とか決めるんだろうな。京を中心に」
「大体想像できるけどね」
多分、リーダーが京で他4人は鈴を中心に近接戦術、スメラヤは攻撃的な討伐対になりそうな気がする。
「そういえば、討伐隊の武器って剣と銃なんだっけ?銃使える人、うちのメンバーにいなくない?」
座学から一時的に開放されてご機嫌な鈴が言った。
「あえて言うなら伸かな。ゲーセンで本格的な銃のゲームよくやってるし」
「そういや訓練でも成績よかったな」
「じゃあ伸が後方援護かな。あとは状況次第で僕と進が前衛だったり後衛だったり?」
「そうなりそうだな」
「あ、もう結構な人数いるね」
話していたら食堂に到着した。鈴の言った通り、食堂には5人組や6人組の生徒が板。他の討伐隊だ。それでも食堂自体が広いので席はまだ多く残っていた。
「端の方にするか。別に討伐隊同士で争ったりはしないだろうけど、作戦とかなんか聞かれたくない」
「そうだね」
三人で食堂の奥の隅にある6人掛けの机を取る。周りにはまだ誰もいない。
「いたいた。なんでこんな端っこ?」
「探したぞ」
丁度、京と伸が来た。
「あれ?まだお昼取って来てないの?」
「これから行くんだよ。ちょっと待ってろ」
今度は京と伸に席を取ってもらってお昼を買いに行く。今日は3人とも購買でパンを買うことになった。それぞれ会計を済ませて、席に戻る。
「早かったね」
京と伸はお弁当を開けずに待っていてくれた。全員席についてから食事を始める。
「……さて、想像してただろうけど討伐隊について話すわ」
想像通り、京が中心となって話が始まった。
「リーダーが京で、鈴が近接戦闘、伸が後方援護だろ?」
「まぁそうなるわね。私は戦闘よりも作戦を考えたりするほうが得意だし」
「俺と大は状況に応じてサポートでいいのか?」
「そうすればバランスがよくなるしいいんじゃないか?」
「大まかな役割は思ったとおりに決まったわね。次は訓練についてよ」
「そういえば訓練も基本自習だったね」
「剣も銃も基本練習は全員やる予定よ。現場では何があるかわからないから。その上でそれぞれの得意は戦術を伸ばす」
「普通だな」
「最初はそれでいいのよ。実績を積めば新装備とか作ってくれるらしいし。私日本刀が欲しい」
「成績優秀者の特権、だったか?」
討伐隊の装備は、基本的には扱いやすい剣と呼ばれるダガーと銃と呼ばれるオートマチックピストルが支給されている。それに薬剤の入ったUSBメモリに似た形状の使い捨て容器を装填して使う。剣と銃にはそれぞれ三つずつ同時に装填できて、容器を押し込んで薬剤を刃や銃の中にある針につけることが出来る。討伐隊の実績が上がるとライフルや太刀、ハンマーなどの扱いが難しい装備が使えるようになったり討伐隊が提案した装備を作ってくれたりする。歴代の討伐隊の中には、ハリセンやフラフープを使っていた人もいるらしい。
「訓練は毎日あるけど、簡単な依頼があればその訓練の時間内で討伐隊が交代で任務に当たるそうよ。かかる時間にもよるけど多ければ一日に5つの討伐隊が任務をすることになる計算らしいわ」
「実践も意外と早く来そうだね」
「依頼を受けるのは来週から。今週は訓練に集中できるから安心して」
「基本訓練だけで実践になるかもな」
「イレギュラーがあれば私達見習い討伐隊は撤退して本業が任務を引き継ぐわ。一度くらいはそうなったほうが本物の戦いを見れていいかもしれないわね……寄生虫が一匹出たくらいだとそのイレギュラーには入らないらしいけど」
「そりゃあノミ一匹くらいで撤退なんてしてられないよな」
「一応、見習いが時間がかかれば手伝ってくれるらしいけど、その討伐隊は評価がた落ちで最悪解隊だって」
「厳しいな」
お弁当を食べ終えた伸が不安そうに言う。
「人命がかかってるし、当然といえば当然か」
「今までの授業で十分な実力はつけているだろうし、討伐隊メンバーはどんな任務でも遂行しやすく決められてるらしいし、初っ端解隊なんてよほど運が悪くないとないわよ」
伸に続いて僕達も食べ終える。こ食堂にはどんどん人が来るが、僕達の周りはあまり混まなかった。
「今言えるのはこのくらいね。あとは個人の頑張り次第よ」
「全力でやってれば問題はないだろ」
「そうだね。あんまり考えすぎると失敗するよ」
こうして、僕達、討伐隊スメラヤの初ミーティングは終わった。




