ぽろーろろー♪ (起動音)
「ついに買ったんだよね、ル○バ。コス○コでセールだったし、彼氏の母親がプレゼントにってお金出してくれて」
友達とそんな会話を交わしたのはそう遠くない昔のこと。
私は人生で初めて、掃除専用ロボットを家に迎えたのである。名は、ジェロニモと付けた。
買ってからの数日間は新鮮なことばかりだった。丸くて黒いボディがサカサカと家中を走り回る姿を眺めたり、追いかけてみたり、妨害してみたりもした。
さて、ジェロニモちゃんは我々が出勤している間に勝手に走り回るようにプログラミングされている。充電が切れそうになったら自らドッキングステーションに戻るようにも設定してある。
帰り着いても本体が充電ドックに戻ってない日は、ソファの下からトイレの隅々まで探すこととなる。ちなみに普段はトイレ(と、風呂場は一つつなぎになっている)に入らないようにドアを閉めるのだが、忘れる日も多い……。
そして先週。
床の片付けを満足にしていなかったある日にも、ジェロニモは起動してしまっていた。
あちゃー、と私は微妙な声を出す。
それを聞きつけた彼氏が、どうした、別にいいじゃないか何にも引っかからずにちゃんとドックに戻ったのだから、と不思議そうに言う。
トイレに入られたみたい、とやはり私は微妙な声を出す。
「朝急いで脱ぎ捨てたパンツが引きずり回された痕があるわー」
だからどうと言うことはないが、と私は付け加えた。
ジェロニモちゃんは今でも我が家の天使である。
お題:今日のロボット