異世界でオークを殺した結果
長編にするのもどうかと思い、一話完結の短編でとりあえず書いてみました。
他にもアイデアが浮かべば同じ系統で短編を書いていこうかと思います。
「で、君。何したか分かってるの?」
「いいえ、わかりません...」
「はぁ~・・・」
目の前で兵士の格好をした姉ちゃんに説教されている。
絶対巨乳だな、じゃなくて何で俺はこんな目にあってるんだろう。
いつもの学校からの帰り道で急に目の前が暗くなったと思ったら変なおっさんが出てきました。
「異世界行ってみたい?」
「あんた誰?」
「神様だよ~ん」
「マジか」
「今ならなんと好きな能力プレゼント!」
「行くわーマジ行くわー。じゃあステータスマックスとか出来る?」
「人間の限界までってこと?うん、出来るよ」
「じゃあそれで!」
「後は異世界についたらアイテムボックスみたいなの渡すから、それに説明書が入ってて必ずそれを読んでから行動・・・」
「早く早く!チーレムが僕を待っている!」
「うぃーっす、じゃあその扉を通ればオケ」
神様的なサムシングにステータスマックスチート能力貰って異世界に飛ばされた。
テンプレ乙と思いインターネット小説で読んだチーレム展開を妄想していたら目の前に金髪碧眼巨乳の女の子がオークに追い回されながら
「キャー、たすけて~♪」
「あはは、待てよこいつ~♪」
とか言っていた。
めっちゃ好みだったのでオークをさっそくステータスマックスのチートを使ってぶち殺しました。
俺TUEEEと思いながら渾身のドヤ顔で
「お嬢さん、助けに来ました」
と言ったら
「い、いやああああああ!!」
と叫ばれ気づいたら衛兵っぽい人達が寄ってきて変な手錠掛けられて捕まって今の状況に至る。
異世界来てモンスター倒して女の子助けて、モテモテになる予定だったのに。
俺が何したって言うんだ。
「とりあえず、ラインハルト君を殺したのはあなたで間違いないわね?」
「ラインハルトって誰ですか?」
「君が素手で顔を破壊した彼のことよ」
「ん?あのオークのことですか?」
「そうよ、その言い方はやめて欲しいけど」
ラインハルトって言うのかあいつ。無駄にカッコいい名前してるな。
「で、あなたが殺したのよね?」
「はい、そうですけど」
「何で殺したの?」
「え、だってオークだし」
「はっ?」
「えっ?」
お互いが固まった。
え、あれおかしくないよな?
「なんでオークだから殺すの?」
「だってオークだし、モンスターだし、女の人襲ってたし?ていうかあれですか、名前を持ってるってことはネームドモンスター的な?それとも特殊ボス的な?」
「馬鹿にしてるの?」
「意味がわかりません、なんでそんなに怒っているんですか?獲物横取りされたからとかそういうことですか?だったら早い者勝ちでしょ。いい大人がみっともない」
「はぁ~・・・」
また溜め息を吐かれた。なんて失礼な女なんだ。
「いい加減この邪魔な手錠みたいなもの外して貰えます?いい加減僕も怒りますよ」
「凄いわね。いったい何処でどうやったらこんな常識知らずの馬鹿が育つのかしら」
ったく、人を拘束してわけの分からないこと言いやがって。終わってんなこの異世界。
「すぅ~ はぁ~」
今度は深呼吸しやがった。何なんだ一体。
「了解了解。じゃーどこぞの馬鹿にも分かるように親切丁寧に教えてあげる」
「人を馬鹿馬鹿言いやがっていい加減に・・・!」
「黙れ」
すごいドスの聞いた声で言われた。やっべーちょっとちびった。
「まずオークを殺すのは違法です。なぜならオークを殺してはいけないという法があるからです。人間も同じです。ここまでは大丈夫でしょうか?お馬鹿さん」
「はっ?ちょっと待て。だってオークでしょ?モンスターじゃね?」
「あんたいつの時代の人間よ?オークがモンスター扱いされてたのって多分千年、二千年くらい前よ?今ではこの国、いやこの世界でオークという種族は市民権というものを私達人類種同様に持っているの。分かった?」
「え?ちょっとありえないでしょ」
「ありえないのはこっちのセリフよ。どんなに馬鹿な子供でも知ってる内容よ」
どうなってるんだよ、想像してた異世界と違うぞ。
「いや、百歩譲ってそれが本当だとしよう。でもあの女性はあのオークに襲われていたんだぞ!仕方が無かったんだ!」
「はぁ~・・・」
「な、何ですか?」
俺間違って無いよな?
「その襲われていた女性は君が言うところの〝あのオーク"ことラインハルト君の婚約者です」
「はっ?」
「婚約者です」
「はっ?」
「婚約者です」
「いやいや」
「やっぱり知能に何か欠陥があるのかしら?何度でも言うけどラインハルト・ヴェールとその相手、ミリエル・ドナティアは明後日には結婚する予定の婚約関係です」
「じゃあなんで悲鳴なんて上げてたんだよ!」
「いちゃいちゃしてるのを悲鳴とは言いません。念のため彼女にも話しを伺いましたが確かに言った言葉は『キャー 助けて』とのことですが別に悲鳴を上げてませんし、近くにいた人達も『なんだあのバカップルか』ぐらいの認識です」
恋人との砂浜追いかけっこみたいなもんか?
そういや悲鳴では無かったような・・・
「で、どんな脳をしてたらそんな砂糖の塊みたいな甘いムードのセリフを悲鳴と聞き間違えられるのか、わたしはそこが疑問だわ」
「し、知らない」
「はい?」
「僕は異世界から来たんだ!オークを殺しちゃいけないかどうかなんて知るか!ていうかオークと人間が結婚とか出来るわけないだろう!」
「ふーん、異世界からね。で?」
「えっ?」
「異世界だろうが、魔界だろうがぶっちゃけ私の仕事と関係無いもの」
えええええええー!?
「そして一応言っておくけどこの世界でオークとの結婚は勝ち組よ。イケメンだし、しかもラインハルト君貴族だし」
「オークがイケメンとか目が腐ってるんじゃねぇの!?豚だぞ!しかもなんだ貴族って!?」
「いやあんたの顔よりよっぽどイケメンだけど。ていうかオーク種にも普通に貴族いるでしょうが」
地味に傷ついたが今はそれよりもオークがイケメンで貴族? 絶対おかしいだろ!?
そうかオークが人間を洗脳してるんだ!
「事情は分かった、僕が皆の洗脳を解いてあげよう」
「はっ?あんた今度は何言って」
「申し訳ないけどまずは君に気絶して貰うよ」
僕はステータスマックスの超人だこの手錠をまず壊し、壊して、あれ?
「壊れない?」
「あんた何やってんの?魔法の手錠が壊れるわけないでしょ」
心底可哀想な奴を見る目で言われた...
「いろんな意味で気絶しそうだから早くこいつ牢屋に連れて行って」
周りで待機してた兵士っぽい人達に牢屋に連れて行かれる最中に思った。
これって俺が悪いの?
だってオークだぜ?
豚が可愛いといってリアルの豚の写真を部屋に飾っている子がいたのを思い出して書いてみました。
オークもよく見ればイケメン?