真ッ赤ナ地面…… 3日
……今でも、思い出す。
あんなこと、忘れるわけがない。
……一人で苦しんでいた男の子の最後の泣きながら浮かべていた作り笑いを。
……ぐしゃり、という何かがつぶれる音と真っ赤に染まった地面を。
「タカシ?」
「……あ」
タカシは目線を星空から自分の隣を歩くいとこにむける。
いとこは心配そうにタカシの顔を覗きこんだ。
「……どうかしたの?」
「ちょっと、思い出してた」
「何を?」
「僕らが小学生の時のこと。……忘れられない出来事をね」
「……ふーん」
「もう、夜は冷えるね。早く戻らないと風邪を引くよ……光希」
タカシはよく自分の家に通うようになったいとこと一緒に自分の家へと向かった。
*****
それは文化祭の片付けの時の事だった。
模擬店の片付けのじゃんけんに負けて、僕はシュンと一緒にごみ袋を運んでいた。
「シュン、衣装着替えちゃったの?」
「当たり前でしょ! もう、コウキもしばらく信じられないよ……」
「あはは、ごめんごめん」
ごみ捨て場に近づくにつれて、人が多くなってきた。
そのとき、一人の大きな段ボールを抱えた女子と僕はぶつかってしまった。
「あっ……」
「ごめんなさい!!」
段ボールから野菜が落ちた。
玉ねぎは転がるだけですんだが、トマトはベチャッという音がして、地面に落ちた衝撃でつぶれてしまった。
僕が無事な野菜を拾っていると、シュンが急に口に手を当ててしゃがみこんだ。
「ちょっ……シュン!?」
シュンの顔は真っ青だった。
僕はシュンのもとへ駆け寄った。
「体調悪いの?」
「ちょ、コウキ」
僕がシュンに問いかけていると、慌てた様子のヨシタカが僕の肩を掴んだ。
「ヨシタカ?」
「……そういうことな」
ヨシタカは僕らの周りを少し見て呟いた。
「コウキ、ちょっと先に保健室行ってベッド一つ確保しといて。シュンは俺が連れてくから」
「わ、わかった」
僕はいまいち状況を読み込めないまま保健室へ走った。