異変の元凶
あの日以来、つとむの様子がおかしかった。
まなぶも十分精神的にやられていたが、それ以上に肉体的ダメージを受けていた。
「っつ、また…」
「最近ずっとだな」
頭痛が1時間おきにきているようだった。頭の奥から何かが飛び出しそうな痛みらしい。
全然ピンとこない痛みだな…、とまなぶは思っていた。
「それに、最近…」
「ん?」
「耳元で誰かが、喋ってる…」
「は??」
2人は教室を出る。
「お化けでも憑いてるんじゃねぇの?お祓いいってこいよ」
「そんなんじゃ、ないと思う……。それに、声が…」
「そんなの、空耳だろ」
「いや、……ほら、いまも……」
「なんて言ってんだよ」
「…………、まなぶ…いけ……、まなぶ…いけ……、って…」
「は?」
その言葉を聞いてあの時の感覚が蘇る。死を体感したあの時の。
「まなぶ、行くとこ、ある?」
「ないね…。あっても、帰るだけ」
その時、直感で感じた。声の主も痛みの意味も。
あいつだ。あいつが呼んでいる。
また、行かなきゃ行けないんだ…。
何でもなかったたった7分の未来に恐怖を覚えながら、まなぶはギュッと目を瞑り、大きく息を吐き出した。
18:37
「おせぇよ」
18:44
つとむの苦痛の元凶の前にまた再び戻ってきた。