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7times  作者: 滝沢樹
5/8

違う現実

18:38


「はあ、はあ、はあ、」

「どうした?」


ガシッ!

まなぶは突然つとむの胸ぐらを掴み、壁に追いやった。


「くっ、はっ……、な、んだ、、よ……」

「ふざけんなよ…てめぇ、殺す気か?」

「く、、るしい……、俺が……死ぬ…」


つとむの表情は、いつもと同じ、いや、苦しんでいた。


「や…、め、……」


どんどん力が抜けていくつとむを見て、パッと手を離す。


「ゴホッゴホッ……はあ、はあ、はあ、何、すんだよ……」

「いや…お前が……」


何も変わらないつとむに対し、落ち着きがないまなぶ。


「殺そうと……」

「落ち、着けよ…。未来で何が」

「お前に殺された」


18:40


「え?」


つとむは状況を飲み込めなかった。殺す気など、微塵もないらしい。


「えーっと、よくわかんないけど、未来行ったんだよね?」

「……、ああ、」

「で、俺がまなぶを殺したと」

「ナイフで心臓をグサリってね」

「……クスッ」

「え?」

「あははははは、なるほどね。そりゃ、俺が殺されそうになるわな。だって、俺に殺されるんだもん」


やはり、まだ未来の通りにと思い、つとむの表情を見つめる。そこには、涙目で安心しきった顔があった。


「逆の立場でもそうしたね」


一人で納得したかのようにつとむは頷いていた。まなぶは、キョトンとしている。

18:43


「つとむは……俺のこと刺すのか?」

「ない、ない笑」

「……わけわかんね」


まだ、死ぬ可能性はあった。未来から戻って7分は経過していない。残り2分もないわずかな時間で、少ない可能性に怯えていた。つとむとは、別れたがどんな状況であれ、死から逃れたのか、それだけが不安だった。

18:44

プァッーッ!!キキーッ!


「どこ見てんだっ!!」

「……あ、っ、…」


信号は赤だった。車は奇跡的に止まり、事故まで発展はしなかった。


18:45


7分経ったが、あの死んだ瞬間の映像が頭から離れなかった。感覚はない。しかし、記憶はある。死ぬ可能性はなくなったが、脳が死んでしまったかのようだ。


その日は、目が冴えたまま朝を迎えた。

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