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7times  作者: 滝沢樹
3/8

未来の殺人鬼

16:48


次の日の放課後

二人は本屋に来ていた。


「なんだよ、つとむ。エロ本でも買いに「んなもん買うかよ。ちょっと待って」


と、つとむはいそいそと専門書のコーナーへと向かう。


「何?」


つとむの手に取った本を横から盗み見る。そこには、『多重人格』と書かれた本が。


「ん??そういう道に進むの?」

「いや、別にそういうわけじゃないけど…」

「じゃあ、何」

「なんか、最近気になるんだよね。二重人格の人ってどんなこと考えてんのかなって」

「は?意味わからん」

「だから言ったろ?こなくていいってさ」

「終わったら勉強教えろって言ったのはどいつだ」

「ああ、俺だ笑」

「はやく終わらせろよー」

「はいよー」


とまなぶは専門書の棚から離れる。

その時、無意識にあの動作を行っていた。


16:55

目を瞑り、深いため息。

時間は進む。僅か7分。先の未来だ。


17:02


「あ、」


その直後に気付く。今、未来に来てしまったと。



キャーーーーー!


突然女の人の悲鳴が。

(なんだ?)

声のほうへかけていく。そこには、腹部から血を大量に流した男が倒れていた。付近に犯人らしき人は見えない。もちろん刃物や凶器のような物もない。


「う、、あ、、」


言葉がうまく出てこなかった。人が、目の前で、死んでいる。

17:05

救急車を!誰だ!誰がやった!ああぁっ、…

フロアは一気に混乱の渦に巻き込まれる。

殺される!逃げろ!助けてくれ!

その場にいるかもわからない殺人鬼に怯え出す人々。


「ひ、人…が……、つとむ?!」


と、つとむがどこにいるのか不安になる。専門書の棚は人が倒れている所の数メートル先。

17:07

慌てて走り出す。つとむの安否を気にして。


「つとむ!」


そこに、つとむはいなかった。


「…ど、こいっ…た……」


死体と化した人形のような物がつとむではないのは確かだ。じゃあ、あいつはどこに?

17:08

時計を見ると残り1分だというのに気付く。数分間で頭の中をグチャグチャとかき回されている感じだ。

人が死に、友人が消え、自分も殺されるんじゃないかという恐怖。心が潰れそうだ。


「なんだ?」

「!」


振り返るとそこにはつとむが。トイレで手を洗っていたようだ。


「どうしたんだい?酷い顔をしているよ」

「お前!どこに…いって……」


言葉が途切れる。つとむは頬が引きつり目は煌々と煌きながら気持ち悪いほど、笑顔だった。

17:09

その一瞬、まなぶは戻っていた。


「はぁ、はぁ、なんだ?人が…」


その瞬間走り出していた。なぜか、叫び声は聞こえない。間に合うのか?

殺害があった現場に行くのではなく、つとむが出てきたトイレに掛け込んでいた。


「つとむ!」

「うわっ!何?!」


そこにはいつもと変わらないつとむが。


「はぁ、はぁ、」

「何?どうした?」

「いや、別に……」

「もう見るもんないからいこっか」

「………ああ、」


まなぶの脳裏にはつとむの不気味な表情が焼き付いていた。


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