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7times  作者: 滝沢樹
2/8

未来に行った過去の話

未来に行けるようになったのは一昨日の数学の時間で、最初はただの夢だと思った。


「ここの問題は微分を使って、」


数学の田中の授業だ。たんたんと問題を解くだけで何も面白くない。今は問の1問目を解いてるようだ。時計は、10:17を指している。


「はぁー」


深くため息をつき、目をぎゅっと瞑る。はやく終わってしまえ。


「この3問目は、積分を」

「え?」


時計は、10:24。


ガタッ

「?どうした?先生、何か、間違えたか?」

「…、いや、なんでもないです」


気付かないうちに、寝てたのか?そんなに、疲れているのか。ふと、腕時計を確認すると、10:18。


ガタッ

先生も周りの友達もキョトンとしている。


「…、すいません…」

「大丈夫か?体調悪いなら、保健室に行っても「いや、大丈夫です」


先生の言葉を遮り、席につく。とりあえず、時計が壊れたのかもしれない。電波時計なのに、困った時計だ。

そう心で愚痴りながら、時計の設定をし直す。10:28と…


にしても、時間の進みが遅く感じる…。まだ、30分しか経ってないのか…。はやく、終わらないかな。数学の予習は今年分、終わってるし…。


10:31


「この3問目は、積分を」

「え?」

時計は、10:24。



ガタッ


「?どうした?先生、何か、間違えたか?」

「………、いや、なんでもないです」

なんだ?また、24分?どういうことだ?さっきのは夢だったのか?もう一度、時計を確認する。

10:31


ガタッ

先生も周りの友達もキョトンとしている。


「…、すいません…」

「大丈夫か?体調悪いなら、保健室に行っても「いや、大丈夫です」


なんとなく、予想は出来ていたが、やはりその状況を受け入れられなかった。予知夢ではない。実際に体験したのだ。未来を少しだけだが、体験した。おそらく、7分。きっかけはわからない。しかし、7分先の未来に行ったのだ。

その後、まったく未来へ行けるような雰囲気は微塵もなく、家へ帰った。




20:56


その日の晩御飯、ふと数学の時間のことを思い出す。あの時、何をしていたのか。


(たしか、ため息吐きながら、目をつぶって…、目を開けたら……)


なんて、考えながら、同じことをしていた。

すると

21:03

時計は7分後の表示に。


「…、やっぱり……」

訳がわからなかった。よりによって何故7分?

そんなことを思う束の間、目の前に晩飯があることを思い出す。突然の空腹感が食欲をかきたてる。


「また、元の世界にもどるなら…、いただきます!!」


21:05

時計をチラチラと見ながらガツガツと食を進める。

(考えが正しければ…)


21:07

(あと3分か。全部はきついな)

食べるペースはいっさい落ちない。米に唐揚げ、ポテトサラダに味噌汁。どんどん胃袋に入れていく。

(5、4、3、2、1、)


21:10


(どうだ!)

パッと、時計を見ると21:03まで戻っていた。そして、食べたはずの食卓は綺麗に元どおりになっている。


「やっぱり!いただき…」


食べようとして、違和感に気づく。食べた記憶はある。しかし、食べた感覚はなくなっていた。


「はぁ?…」


残るのは記憶だけで、それ以外のことはなかったことになるのだった。未来へ行っても記憶以外は何も干渉できないらしい。

先ほどの勢いは幻だったかのようにゆっくりと晩飯をたいらげた。


3回目は大したことないよ。なんとなくだけど、未来へ行った直後には行けないことは1回目がおわった時に分かってたから、推測してみたんだ。7分後の未来に行けるのは何時間かあけなければいけない。簡単な推測だと、7時間くらいかな、ってことで起床後、5:15にやってみた。もちろん、行けたよ。8時間かもしれないし、もしかしたら1時間かもしれない。でも、そんなこと正直どうでもいいことだよね。まあ、今までで行ったのはこれだけ。話してみても、ほんとしょうもないよな。


じゃあ、また明日。

「ああ、またな。今度、競馬でもやって一儲けするか笑」

やらねぇよ。じゃあ。


そう言って二人の一日が終わった。


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