プロローグ
「俺、未来に行けるようになった」
まなぶは突然つとむにそう告げた。
「……、それで、この問題なんだけど」
「おい!スルーかよ!」
「当たり前だろ。テスト前に現実逃避とかやめろよな」
「はっ、テストなんて勉強しなくたって点取れるんだから、現実逃避なんかするかよ」
まなぶとつとむは学内の1位2位を争うほどの学才の持ち主だった。
「……、それもそうか…。で、この問題なんだけど」
「だから、きけって!お・れ・は・み・ら・い・に」
「はいはい、いけるのね、わかったわかった。どうだったよ。将来のお前は」
「え?いや…」
「未来言ったんだろ?聞いてやるから話せよ。5年後か?10年後か?」
「7分」
「へー、7分か…7分?!」
突然爆笑するつとむ。
「おまっ…ちょっ……な、なな、7分って……」
「おい!笑ってないで話聞けよ」
まさか、ここまで笑われると思ってもみなかったので少し腹が立つ。
「ごめっ……くくっ、ちいせぇ未来だなwwww」
「ああ、はいはい、ちいさくて、悪かったな」
「それで?……ふっ…楽しかったか?7分後」
明らかに馬鹿にした笑みを含みながらの問いかけだった。
「………、よくよく考えると、なんともない……」
「だよなwwwwだって、7分っ!あはははははははっ!!!」
「お前、今回のテストでもぶっ潰す」
「ふっ、だって、ああ、涙が…はは、ごめんよ。それで何回か行ったんだろ?どんななんだよ」
まだ、ニヤニヤが止まらないつとむ。
「はあ、まあ、どうってことないけど…。未来に行けるようになったのは一昨日の数学の時間で…」
結局まなぶの話を最後の最後まで笑い、馬鹿にして、2人は帰路に着く。