表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CAIL~英雄の歩んだ軌跡~  作者: こしあん
第四章〜飛翔する若鳥〜
110/157

第百七話ー孤独な悪魔は天に叫ぶ

今話は読むのが怠くなったら流してくださって結構です。

ただ、最後にもうちょっと書いてますので悪しからず。

 





「あぁああああああアアァあぁぁああああぁぁああああアアあああぁぁああああぁぁああああぁぁああああぁぁあああ!!!!!!!!

セレーナ!!! セレェェェェエエナァァァァ!!!」


「落ち着け!! 落ち着くのじゃセドル!!誰か、誰か封化石を!!!!!」



――狭くて、苦しい世界を抜けた先は騒がしかった。



「このっ、殺してやる!! 

殺してやるううううううう!!!!!!」


 

――自分の身体を見ると、赤い液体で全身が染まっていた。

足元には、ピクリとも動かない女の人間。

自分は、その人間の腹を裂いて這い出て来た。

そのことから察するに、自分という個体を産み出して彼女は死んだのだと思った。


 

「止めろ! 止めるのじゃセドル!!!!

おいっ! 早くその封化石の錠をこの赤ん坊に嵌めるのじゃ!!」



 ガシャン!!!!


――人を拘束する道具、彼らが錠と呼んだものが嵌められた。

産まれたばかりの自分に合うサイズが無かったようで、片方の穴に両手を無理矢理入れられた。


 魔力が上手く制御できなくなった。

【形態変化】が解ける。力が抜ける。

周囲を見渡すと、安堵した表情の人間たち。

その中に、憎悪の感情を込めた視線をこちらに向ける男が一人。



「この悪魔(トイフェル)め!!!

お前は産まれてくるべきではなかった!!!


 返せっ!!!

セレーナを返せぇえええええええ!!!!!」



――どうやら、自分の名前はトイフェルと言うらしい。



 産まれて僅か数分のトイフェルは、そんなことを思うのだった。







――――――――――――――――――――








「なんでアイツが生きててセレーナは死んだんだ!!!」


「落ち着け、セドル」


「これが落ち着いていられるか族長!!

せっかく……幸せな生活が送れると思ったのに……っ!!

あの悪魔(トイフェル)が全部台無しにしたんだぞ!!」


「しかし……アレはお前の子供だろう」


「あんなもの……俺たちの子供じゃない!!あの悪魔(トイフェル)……俺たちの子供を殺して成り代わったんだ……っ!!!」



――父さんからの愛情はなかった。

あるのはただひたすらに恨み言だけだった。














「どうしてこの悪魔(トイフェル)が生きてるんだ!!

殺したって言ったじゃないか、族長!!!」


「……最近の世界の情勢は知っているだろうセドル。

この村がいつ帝国に露見するとも限らん。

あの悪魔(トイフェル)はその時の戦力として必要じゃ」


「その前にアイツが暴れ出したらどうするつもりなんだ!!!

アイツはセレーナを殺した悪魔(トイフェル)だぞ!!!」


「問題ない。封化石の錠を両手両足に嵌めた上、簀巻きにして一切の身動きを封じておる。

あの悪魔(トイフェル)は、食事以外になにもできんよ」


「………っ、くそっ!!!

お前なんて、さっさと帝国に殺されろ!!

殺されなかったら、俺が殺してやるからな!!!!

このっ!! このぉっ!!!!」


「おい、セドル!!!! 止めんか!!!」



――暴力。一年ぶりに会った父さんから与えられたもの。

蹴られた場所よりも、どうしてか胸のあたりが締め付けられるように痛かった。









「なぁ、どんな気持ちだよ、悪魔(トイフェル)

人の妻と子供を奪って、どんな気持ちだよ。

なぁ、俺が何をしたんだ。


 俺が!! セレーナが!! 産まれてくるはずだった子供が!!

一体お前に何をしたって言うんだ!!

ええ!? 何とか言えよこの悪魔(トイフェル)!!!!」



――知らない。ボクは何も知らない。

産まれてから二年経っても、ボクは牢屋の中の世界と、貴方の暴力しか知らない。


 一体ボクが何をしたんだ……。














「アイツは――セドルはもう来んよ。

お前への暴力が目に余ったのでな。

安心しろ、これからはお前を怖がらせるものは何もない」



――だったら、こっちを見てよ。

こんなに寒いのに、布切れ一枚しかないんだよ?

身動き一つ取れないんだよ?

貴方の家族は、気味が悪いと言ってボクをぶつんだよ?

貴方はそれをどうして止めないの?



 寒い、寒いよ……。

安心なんて、できないよ……。











「五年経ったぞ!!! 族長!!!

帝国が建国してから五年だ!!

もうこの場所は帝国にバレないだろう!!?

だから頼む!! 俺にあの悪魔(トイフェル)を殺させてくれ!!」


「ならぬ!!! ここがいつバレるか分からんのだぞ!!!

あの悪魔(トイフェル)の力は計り知れん!!

アレは我ら悪魔族(デビル)が生き残る為の貴重な道具(・・)なのだ!!

ずっと儂が優しい顔をして手懐けてきたのだ!!

今更台無しになどできるか!!!」



――扉の外から、久しぶりに聞く父さんの声。

ボクは知ってるよ、族長。

貴方がボクに対して優しくなんてないことくらい。


 ボクのことを、忌み子の悪魔(トイフェル)だと思っていることくらい。















「気持ち悪い。


 赤い目も、白い髪も、お前の何もかもが気持ち悪いわ。

悪魔族(デビル)なら黒髪に黒目のはず。

ああ、本物の悪魔(あくま)は違うのね。


 村に不幸を撒き散らす悪魔(トイフェル)

生かされているだけ、ありがたいと思いなさい!!」


「ふん……気味が悪いったらありゃしない。

ほら、今日のエサだ。残さず綺麗に食べるんだよ」


「ちょっとー、おばぁちゃんったらー。

皿に盛ってぁげる必要なんてなぃよー。

どぅして私たちが悪魔(トイフェル)が食べ終ゎるまで待たなきゃぃけなぃのー?」


「それもそうさね。ほら、食いな悪魔(トイフェル)

この村に飼われているお前にはお似合いだよ。

イモムシのように這って、舐めてお食べ。残すんじゃないよ!」




――床に今日の分のご飯がばら撒かれる。

ボクはあの人たちの言うとおり這って動く。

ご飯に届きそうになったら蹴られて部屋の端にまで飛ばされる。

何度も何度も繰り返される。


 あの人たちが飽きるまで、それは続く。


 やっと届いたご飯は、土と血の味しかしなかった。













「ハハ、もう限界だ………。七年目だぞ……。

帝国なんてくるワケないんだ。殺してやる、殺してやるぞ、悪魔(トイフェル)!!!!!!」


「おい!! ここを開けろセドル!!!

その化け物を殺すんじゃない!!!!」



――ボクが産まれて六年。ボクは父さんに刺された。

すぐに族長が扉をこじ開けて入ってきて、父さんを押さえる。


 赤い血が、地面にどんどん吸い込まれて行く。

でも、ボクは何となく分かる。

ボクはこの程度じゃ……死なないってことを。














――やっぱりボクは生きてた。

次の日には、傷口が塞がりかけていた。

けど、ボクの不自然な回復力は全員の目に不気味に写った。


 化け物と言われた。


 悪魔(トイフェル)と言われた。


 何回も刺された。


 それも、数日で治った。


 さんざん殴られて蹴られて刺された後、とうとう人が来なくなった。

ご飯がこなくなった。

流石に死ぬと思って、目に付く物を必死に口に入れた。


 初めて食べた虫は、血以外の味がした。












――八年目、ボクは多分そろそろ死ぬのだと思う。

悪魔族(デビル)悪魔(トイフェル)と言われて。

誰も見向きもしないこの地下で。

ひっそりと死んでいくのだと思う。


 どうして、ボクはこんな目に合うのだろう。

産まれた瞬間に親に憎まれ、生きているだけで悪魔(トイフェル)と言われる。

人として扱って貰えず、最後は放置されて……餓死。


 どうして……?


 ボクが一体何をしたの……?


 ボクが……悪魔(トイフェル)だから?


 母さんを殺して、産まれたから……?


 でもそんなの……ボクにどうしろって言うのさ。

苦しくって、外に出ようと頑張ったのは悪いことなの?


 あんまりだよ……。

産まれたことが悪だって、産まれてこなければよかったって、父さんは言う。

けどボクだって……こんな風に産まれたくなんてなかった。

こんな力なんて、欲しくなかった。

母さんを殺したくなんかなかった。


 人間として、息子として、ボクを見て欲しかった。

ボクは……化け物なんかじゃ、ない……。

悪魔(トイフェル)なんかじゃ、ないよ……。












「おい…………おい!!!

良かった!! まだ生きてる!!

使えるぞ!! 早く引っ張り出せ!!!」


「くそっ! なんだって八年も経ってこの村が見つかるんだ!!」

 

「だが、相手は二人だ!!

どんなに化け物じみた強さを持っていても、本物の化け物には敵わん!!!」



 永遠に沈黙しそうになっていたトイフェルの意識は呼び戻される。

目を開けると、数人の村人たちが自分をどこかへ連れ出そうと運んでいる様子が飛び込んできた。




 この日、トイフェルは産まれてから初めて外の世界に出ることになる。

悪意と暴力、暗い地下室の景色しか知らなかったトイフェルが、初めて異なるものを目にする。


 そのことが何を意味するのか、誰も気が付かないまま――。

 





――――――――――――――――――――






 トイフェルは、村の真ん中に連れ出された。

多くの村人たちが固唾を呑んだ表情を浮かべ、こちらを見ている。

しかし、トイフェルはそんなことにかまっている余裕はなかった。


 初めて、空を見た。

初めて、森の匂いを感じた。

初めて、拘束具からの自由を得た。

初めて、その二本足で立った。


 あらゆる初めてがトイフェルの周囲を埋め尽くしていた。

情報が目まぐるしくトイフェルの脳内を埋めていく。



――骨ばった足では立ち辛いな。どうすれば安定するんだろう? 重さの集まる点を足の下に置けばいいのか。森と土の匂いに混じって、血の匂い。やってきた帝国に何人かやられたのかな。目に見える範囲にはいない。でも匂うってことはそう遠くない位置に来てる……。



 その情報を糧として、トイフェルの脳は新たな情報を創作する。

音から光から臭いから触覚から経験から知識から……それら全てから情報を引き出して、状況に照らし合わせて、新たな情報を生み出す。


 それは産まれて初めて外に出た子供がするようなことではないし、できることでもないのだが……トイフェルはそれに気がつかない。

気がつかないまま、彼は観察を続けて推察を続ける。


 そして、



「さぁ、頑張るんじゃぞ。

アイツらを殺せば、腹一杯に飯を食わせてやるからの」


「お前だけが、私たちの希望なんだからね」



 初めて、悪意以外の視線を感じた。

悪意以外の言葉を受け取った。


 心の中がじんわりと暖かくなる感覚を、トイフェルは感じた。



――ああ、これが嬉しいって感覚なのか。



 誰かに頼られて、期待されて。

トイフェルは初めて喜びの感情を知った。

それは、空の器に水を注ぐようにトイフェルの中の空虚さを満たしていった。


 村人の目が、決して期待などを向けていないことに気付かないまま。




「ほら、受け取れ。これがお前の武器じゃ」



 渡されたのは、トイフェルの身の丈に全く合っていない長刀。

銘はソロモンと言う。この村で最高の武器である。

トイフェルは、明らかに分相応な大きさのソロモンをじっと見つめていた。



――なんでかな。

この武器を見た瞬間、この武器の扱い方が分かった。

解放されてすぐに最適な二足歩行のやり方が分かったように、この刀の最適な使い方が……分かる。



 ぶん、とトイフェルはソロモンを一振り。

それだけで、トイフェルは全てを理解した。

この刀の振り方、握り方、戦い方。


 ソロモンを扱うに当たる最適(・・)を、トイフェルは僅か数秒の間で導き出した。



「頼んだぞ」



 族長に肩を叩かれ、トイフェルの胸が強く跳ねる。

今の今まで死に体だった身体に活力が湧いてくる。

自然と口角が上がってくる。


 と、同時にトイフェルの中に一つの期待が起き上がってきた。



――もし、ここにやって来ている敵を倒したら……

もし、ボクが立派に役目を果たせば……


 父さんは、ボクを褒めてくれるかな。

 よく頑張ったって、言ってくれるかな。

 息子として、見てくれるかな。



 その思いを胸に、トイフェルはぐっとソロモンを握りしめる。

すると、背後から怯えた声が発せられた。



「き、来たぞ! ヤツらだ!!」



 時間稼ぎの為に戦った悪魔族(デビル)の戦士たちを歯牙にも掛けず、その者たちは正面から堂々と現れた。



 一人目は、漆黒のドレスを纏った女。

鼻立ちのスッキリした、凛とした外見。

魔具である……ドレスと同じ漆黒の扇を優雅に仰いで闊歩してくる人物。


 当時の帝国軍第一部隊長。

 “魔女”ジャンヌ・ド・サンス


 全身を覆う漆黒の鎧。

覇王の気迫を感じさせるマントをはためかせ、一歩一歩を大地に刻み付けるようにその人は歩く。

かの人物が近づいてくるにつれ、身を竦めたくなるほどの重圧が襲ってくる。


 “絶対強者”帝王。


 現在の帝国における、最強の人物たちが悪魔族(デビル)の村に襲撃をかけていた。



――あの鎧は……強い。

勝てるかどうか……ってところかな。

でも女の方は……多分勝てる。



 トイフェルは、そう判断した。

どうしてそんなことが分かるのかは彼自身にも分からない。

しかし、如何せん初めての戦闘。

己の感覚が全てだと、トイフェルは思うことにする。



――人生二回目の……【形態変化】だ。



 己の身体を一つのクリスタルに見立て、トイフェルは自分に魔力を流す。

雷光の如き魔力がトイフェルを包む。

稲光のような魔力が、彼の姿を隠す。



 変化が、始まる。



 臀部から生えるのは縄のような細さの黒い尻尾。

柔軟でしなやかなその尻尾の先端は逆三角形をとっていて、武器として扱えそうな鋭さを備えている。


 こめかみからは巨大な角。

後方に向かい、螺旋を描くように捻れた形をした灰白色の角だ。


 背中からは翼。

闇のように黒く、羽毛に塗れた巨大な翼。

その翼を折りたためば、トイフェルがすっぽりと覆い隠れてしまうほどの大きさだ。


 そして体躯が膨れ上がる。

元の身長の二倍近くにまで巨大化し、体表も黒一色に変化する。

やせ細っていて折れそうだった腕は平均的な太さほどにまでなった。

目の覚めるような白髪や煌々とした赤眼まで、他の悪魔同様黒々と染まっていた。



 これが、悪魔(あくま)と呼ばれたトイフェルの【形態変化】。


 悪魔王(サタン)だ。


 周囲に与えるプレッシャーは帝王と同等。

村人たちに対しては距離的に近い分、より大きな圧力を感じている。


 この姿になり、トイフェルは変化前に抱いていた想いを強固にする。



――父さん。



 ずば抜けた力を持っていても、強い知性を持っていても、精神は子供。

忌み子と罵られても、悪魔(あくま)悪魔(トイフェル)と罵倒されて蹴られても……肉親の愛情に飢えた、ただの子供なのだ。


 

――優しい声をかけて欲しい。頑張れ、って言って欲しい。

戦いが終わったら、よくやったって抱きしめて欲しい。



 トイフェルはその巨体を帝王たちにではなく、村人の方へ……父の方へと向ける。



 そして……彼は産まれてから初めて、声を発する。



















「父さん……ボクを、息子って――」


「な、何をしてるんだこの化け物!!

さっさとアイツらを殺しにいけよ!!!」



 だが、



「お前は俺の大事な妻と子供を殺したんだ!!

戦えよ!!! この村のために!!!

何の為に生かしてやったと思ってるんだ!!!」



 その声は



「早く行け!!!!! 

その姿で俺の前に立つんじゃない!!!

そして相打ちになって死ね!!!!」



 その願いは



「この……悪魔(トイフェル)!!!!!!!!」



 絶対に叶わないと思い知らされた。




――――――――――――――――――――






――……無理だったんだ。初めから。

父さんの中で、『息子』はもう死んでるんだ。

ボクが産まれた、八年前に。

父さんにとって、ボクは化け物でしかない。

母さんを殺し、息子を殺した悪魔(トイフェル)でしかないんだ。


 族長たちの期待も、ボクが敵を倒すことへの期待じゃない。


 ボクとアイツらが相打つことへの期待だ。

皆のボクを見る目には、希望なんてない。

期待なんてない。


 あるのはただただ恐怖だけ。


 化け物に対する……恐怖だけ。


 何でだ……何で……何で何で何で何でっ。

知らないっ知らない知らない知らないっっ!

ボクが何をしたって言うのさ……っ。

ボクの何が悪いって言うのさぁ……っ!





















 息子としてだけじゃなくて……

ボクは……っ、人間としてさえ見てもらえないのか……!




「っああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ亜ああああああああ亜ああああああああ亜ああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




 それは、叫び声ではなく慟哭だった。


 泣き声ではなく、産声だった。


 親を喪った子供の慟哭。

そして、



「ウワァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」


「か、っ、ひゅぁ……っ!?」



 彼は父だった者の首を刎ねる。



――いいサ! 父サンがソレを望むナラ!

族長たちがそうボクのことを思うナラ!!


 いいヨ! なってあげルヨ!!!


 本物の悪魔(トイフェル)ニ!!!!!



 トイフェルと言う少年は、この時初めて世界に産み落とされる。

その産声は……とても悲しげに世界に響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ